冬ももう終わりを迎え、少しずつ暖かくなってきた今日この頃。
俺は白いベッドに横たわり、病室の窓の外にある大きな桜の木を見つめていた。
桃「ッぅ…つめた… 」
急に、病室に冷たい風が入ってきた。
窓が開いていたのかと思ったが、窓は鍵もしっかり閉まっている。
桃「どういう…?」
「よっ」
桃「ッうわぁっ!?」
気付くと、つい数秒前に確認したときには閉まっていたはずの窓が開いており、病室には小学校高学年ぐらいの男の子?と、桜の花びらが入ってきている。
男の子は、フードのついたオーバーサイズの真っ黒なパーカーを着て、深くフードを被っているため顔は見えない。
桃「き、君だぁれ?… ていうかここ5階なんだけど…どうやって入ってきたの?」
俺が問いかけると、男の子はふん、と鼻を鳴らしてこう言った。
「俺は死神だ。お前の魂を狩りに来た。」
……
桃「はぁ?」
思わず声が漏れた。
「はぁ?ってなんだよ!死神様に向かって!」
男の子が怒ったように俺に言う。
いやいや。急に病室に入ってきたと思ったら死神ですって…。
急にそんなことを言われて「ああそうですか。」なんて納得できる人なんてそうそういないだろう。
…まあでも、5階の窓から入ってくるなんて普通の人にできっこないし、嘘をついているようにも見えない。
桃「…まあいいや。」
「俺は何も良くないんだが??」
不服そうな死神さんは置いておいて、適当に話を進める。
桃「で?君は死神さんなんだよね?」
桃「死神さんが見えるってことは、俺の死期が近いってこと?」
「まあそういうことになるな。」
桃「ふーん…。なるほどねぇ。」
そう言ってニヤニヤと口角を上げる俺を、死神さんが怪訝そうに見てくる。
桃「なぁにその目。」
「いやぁ…?キモ…んん゙っ、か、変わったヤツだなと思って…。」
桃「ねぇ今キモイって言おうとした??」
「いや?」
桃「酷いなぁ…。」
桃「やっとこの弱い体とおさらばなんだよ?
そりゃあ嬉しくなるでしょ。」
俺がそう言うと、死神さんは自分の頬をポリポリとかきながら言う。
「大体のやつは死にたくないって喚き散らかすんだけどな…。そんな嬉しそうにされると調子狂うわ…。 」
桃「んふふふ。ごめんね」
「はぁ?なんなんお前、余裕そうな顔しやがって。ムカつく!」
桃「んははっw」
「笑ってんじゃねえ!!」
その後一通り笑って落ち着いてきた頃。
俺が一番気になっていたことを口にする。
桃「それで?俺はいつ死ぬの?」
「あー…あと丁度2ヶ月ってところかな。」
桃「ふーん…まだ結構時間あるんだ。じゃあ死因は?知ってたりするの?」
「知ってるけど。教えてやんねぇ。」
死神さんは、ベーッ…と舌を出し、そっぽを向く。
桃「えー…つまんないの」
「むっ…なぁにがつまんないの〜、だ!」
桃「ねぇ死神さぁん、拗ねないでよ〜…。」
「拗ねてねぇし!」
いやどう見ても拗ねてるじゃん。
「…んまあ、これからお前が死ぬまで毎日来るから。」
桃「え、毎日?」
「当たり前。」
桃「えー…。ちょっとやだ」
「なんでだよ!?」
桃「じょーだんw」
桃「じゃあ。これからよろしく…?」
「…俺は別によろしくするつもりねぇけど。」
桃「なにおまえ」
今日から死ぬまでの約3ヶ月間、少しだけ騒がしくなりそうです。
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