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俺は体育が始まる前にアイツの机へ置手紙をこっそりと入れておいた。
内容は[放課後、校舎裏へ来て下さい]というものだ。
昼休み、アイツがいない間に教室にいた女子一人一人に声をかけ代筆して貰ったものであり、宛名が俺だということは知る由も無い。
何百人の告白を受けて来たアイツは、全ての告白を無下に無視することなどしなかった。
絶対に来る。そう確信している。
着替えを終え、アイツより先に教室を出る。
丁度校舎裏が確実に見える位置に存在していた理科室へと足を運ばせ、アイツが姿を現すのを待つ。
その間に、ポケットに忍ばせておいた。
ガサッ___
落ち葉の踏み分ける音と共に姿を現す彼。
一瞬の隙を逃さず窓を開け、振り返るアイツの首に注射器を思い切り差し込む。
驚いた表情でのたうち回るアイツといったらもう、最高に気分が良かった。
数秒後、動きが止まり仮面下から小さな寝息が聞こえ始めた。
未だ首に手を伸ばしている様を見て嘲笑が溢れるも、我を取り戻す。
こんなことをしている場合ではない。
他の人間が来る前に、重くなった彼の体を理科室へと運び寝かせる。
全ての鍵を閉め終え、掃除用具箱へと自身の体を忍ばせる。
俺は前々から結論が出ていた。
アイツが急いで帰るのは家の用事ではない。
”誰かの為”なのではないか、と。
オレンジ色が沈み、闇が教室を飲んで行く。
すると、教室の扉が開く音がした。
あれ?でも教室の鍵は閉めたはずじゃ…
コツリ、コツリと音が鳴る。
やがて音は止まり、彼の横に影が出来る。
「坊ちゃん、契約違反ですね。」
黒い影が濃くなる。
カタカタと体の震えが止まらない。
次の瞬間、何かが盛大に音を立て飛び散る。
グチャ、バキッボキッ___
用具箱の隙間から見える”それ”。
思わず耳を塞ぎたくなるような、そんな___
「おや?」
ガチャリと、扉が開いてしまう。
「”オトモダチ”も一緒、でしたか。」
何かわからない。
ただ、ただただ怖い、
腹に空いた黒い穴に、体が吸い込まれていく。
気持ち悪い。嫌だ。
「嫌だぁぁあああああ‼︎‼︎」
最後に聞いたのは、全身の骨が砕ける音だった。
「あー、また”やり直し”か。」
「仕方ないでしょう?貴方の責任なのですから、今度はきちんと対処してくださいね。」
「はいはい」
幾度と殴り書きされた手帳を開き、”溺死”と書かれた下にペンを流れさせる。
「”注射器”、と。」
「それだけで良いのですか?」
「どうせみんなお前に殺されるんだから、死因なんて”原因”だけ書いてれば良いんだよ。」
「それもそうですね。」
「さて、丑の刻になった。」
精一杯、暗闇の中で伸びをする。
「【死に戻り】の時間だ。」