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彼と出逢ったのは小学五年生の頃。

死んだはずの両親が家に帰って来たというだけでも驚いたというのに、どこから来たのかも分からない‪”‬執事‪”‬とやらを連れて来てしまった。

更に訳の分からないことに、当時のまだ幼かった俺を騙し‪”‬契約‪”‬をしてしまったらしい。


だから俺は、‪”‬夜外に出られない‪”‬。


いや、正確には‪”‬アイツ‪”‬に着いて来られれば外出は可能なんだけど、かなりキツイ。

なんでも、妖狐と呼ばれる怪異らしく、誰にでも見た目を変化出来るというけど、夜外出する時には小さな狐のまま肩に乗ってくる。

嫌がらせなのか、元々気を遣って我慢していた体重を緩めてしまった結果なのか。

まあ絶対と言って良い程アイツがそんな気遣い出来るとは思えないけど。


と、こんな感じで夜に1人で外出していれば、どこへでも着いてくるし、最後には


【殺される】


それが結ばれた契約。

死んだ両親は結局、契約を交わしてからというものどこかへと消えてしまっていた。


死に戻り。

前回の、ああ、読者様方的に言えば‪”‬弐‪”‬で起きた通り、本当のことを知れば俺と同様殺される。

次の日には綺麗さっぱり誰もが忘れている。

そして最初に殺された俺は、明日の朝には、当然のようにベットの上で目を覚ます。


痛みも辛さも、全て残る体を動かして、また‪”‬何事もなく‪”‬学校へと足を運ぶ。


死に関わる人間は毎度のように違ってくる。

生徒、教師、あるいは全くの他人。

俺はその‪”‬原因‪”‬を一度一度に記してある。


もう、30ページまでになってしまったけれど。


「、行ってきま__」

「‪”魅六みろく様‪”‬。」


バレないように出て行こうとしたのに。


「…何」

「お弁当をお忘れですよ。」


ニコニコと猫のように釣り上がった目尻。

手袋の付いた手から弁当を奪い取る。


「じゃ」

「はい、行ってらっしゃいませ。」


いつも通り、玄関を出る。


通学時は割と普通。一般人と何ら変わりはない日常がただただ流れるだけ。

見える世界は、少し違うけど。

何か分からないモノが飛んでいる絵面や、コンクリートの上をフヨフヨと小さく変な生キ物が渡る動作を視界に捉えてしまう。

見たくて見えてる訳じゃ無いのに。


「魅六」


後ろから声がし、振り返ると変化した‪”‬アイツ‪”‬が立っていた。


「なんでお前が着いてくるんだよ。‪”‬銀狼‪”‬。」

「良いだろ別に減るもんじゃねぇし。」

「馬鹿言え。俺の気力が減るんだわ。」


いつもの日常とは少し違う、何故か銀狼が通学路に現れるという事態が起こった。

今度は何で死ぬんだろうか。


「魅六、今日一緒に夜出掛けようぜ?」




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