好きだから、離れる
1.一目惚れ 前編
「ごめんなさい。」
今日、好きな人に告白を断られた。 まあそうなるのも当然だ。 私と好きな人の接点といえば同じ学校、ぐらい。それに他学年なため会う機会が少なく全く話したことがない。
「あーあ、私馬鹿だなぁ。」
ため息をつく。こんな状況で何故行けると思ったのか。いや、行くしかなかった。なぜなら今日は卒業式。3年生、つまり卒業生である好きな人とはもう当分会えなくなってしまうのだ。そのことを考えていると自然と涙がこぼれ落ちる。
「なにやってんの。彩月(さつき)。」
「え?」
名前を呼ばれて振り向く。そこには、私の幼なじみである颯斗(はやと)の姿。
「…颯斗には関係ないから。」
「杉崎想(すぎさき そう)のことだろ。」
「え。な、なんで…。」
なぜこいつが私の好きな人、杉崎先輩の事を知っているのか…。
「さっき見たんだよ。お前が先輩に告ってるとこ。」
…。
最悪すぎる。よりによってなぜこいつに…。
「そんなやつと付き合わなくて正解。」
「…は?そんなやつって、杉崎先輩は…!」
「外見てみろ。」
そう言われ、私は疑問に思いながら窓の外から校庭を見下ろす。…え?
「ほら言っただろ。」
そこには、女の子と2人で楽しそうに歩いている杉崎先輩がいた。
「多分、その子彼女。」
「え…そんな…うそ。」
信じることができず、その場で固まる。
そっか…。でも普通に考えたら、こんな素敵な先輩には彼女くらい居るよね。涙で視界がにじみ、上手く先輩のことを見れない。
「多分もう諦めろってことなんだろうね、チャンスなんてないんだね。」
そんな事とっくにわかっていた。わかっていたけど。
一目惚れって辛いな。
コメント
2件
わぁ、凄く面白くて続きが気になります!✨ 更新頑張って下さい♪