ぼんやりと灯るベットサイドの卓上ランプを消す。窓辺からは雪が音もなく降り注ぎ、その向こうにある常緑の樹木や、冬でも葉を落とさぬ庭木の重々しいたたずまいを闇に滲ませている。 寝室は、静寂に包まれた。
「…メリークリスマス」
「唐突だな」
そうして、ベッドの上に組み敷かれたサンジの、ほのかに上気した肌を指の腹で堪能する。ささやかだが、張りのあるすべらかな手触り。ゾロはサンジの、この手触りが好きだった。その一方で サンジはゾロに組み敷かれ、その愛撫を享受する。
「だって、十二月二十五日だろ?」
「そうだな」
ゾロはサンジの耳の付け根に舌を這わせた。舌先がそこをくすぐると、サンジの背筋がびくり、と震える。そのまま耳朶を甘嚙みし、首筋へと愛撫を下ろしていく。鎖骨から胸へと、丹念に舌を這わす。
「アッ…」
ゾロの舌の動きに合わせて、サンジが吐息を漏らす。擦れるシーツの音がまどろっこしい。サンジは、ゾロが自分に覆いかぶさっているのを感じた。そうっと腕を伸ばしてその重みを受け止める。ゾロのしっかりとした身体が、彼の上で熱く息づく。
「…サンタ、待たなくていいのか」
「ん、待てねェ」
「ばか」
サンジはゾロの耳朶を柔らかく食むと その首筋に唇を這わせた。ゾロの、男らしい体臭が鼻腔をくすぐり、脳髄を痺れさせる。口でこそ直接は言わないがサンジにとって、とても好きで落ち着く香りだと思っていた。 その首筋から鎖骨を辿り、胸へと唇を這わせる。胸の突起を舌で転がしながら、ゾロ自身へと手を添える。すでに熱く猛ったそれにサンジはそっと指を這わせた。
「…積極的だな」
「うっせェよ…お互い様だろ」
サンジは上目遣いでゾロを見上げる。
「…そうだな」
ゾロはサンジの前髪をかきあげると額に軽く口づけた。そのまま、唇へ。舌を絡ませながら、お互いの熱を分け合うように、ゆっくりとその身体に手を這わせていく。互いに重なる肌の温もりと、冷えた部屋の空気が対照的に心地よい。ゾロは、サンジの脇腹から腰骨を、その形を確認するように撫でさすった。
「…本当にいいんだな?」
「ん」
サンジはこくりと頷くと、ゾロの首に腕を回し、ゆっくりと身体を絡ませた。
ゾロはサンジの両足を抱えると、その中心の秘められた入り口へと指を伸ばす。すでに温かく湿り気を帯びたそれは指先をやんわりと迎え入れじっくりと包み込んでいく。そのまま サンジの耳元に唇を這わせながら、指先を深く押し進めていき、入り口からそう遠くない位置にある、少し硬い部分を指の腹でそっと押し上げる。
「…っ」
サンジの腰がびくりと揺れた。その反応を見逃すことなく、ゾロは再度同じポイントを指で押し、柔らかな内壁を擦り上げるようになぞっていく。
「アッ…ッ」
サンジが喉の奥から絞り出すような、高い声を上げた。ゾロは指をさらに奥へと進めると、今度は少し強めにその部分を押し上げた。するとサンジの腰がびくん、と跳ね上がる。
「あッ……っ」
そのまま指を増やして、ゆっくりと抜き差しを繰り返せるようになる頃にはサンジの息がすっかり上がっていた。ゾロは指を引き抜くと、その入り口に己の切先をあてがう。 サンジはごくりと生唾を飲み込むと、ゾロの身体にしがみついた。
それはゆっくりと押し進められる。充分にほぐされ湿ったサンジの中は、ゾロ自身を柔らかく包み込み奥へと誘っていく。
「…っ!」
「ゔ、ぁ…あ!」
「っ…… 痛くねェか?」
ゾロはサンジの前髪をかきあげ、額に唇を落としながら様子を窺う。
「ん…平気だ…」
サンジはゾロの頭をそっと抱え、小さく頷く。ゾロはゆるゆると腰を動かすと、そのまま体重をかけて抜き差しを繰り返し始める。そのリズムに合わせてサンジが切なげに声を上げはじめた。
「あッ…あッ…」
「っ……」
「ゾ、ロ」
「…なんだ」
「すげェ…いい」
「…!」
ぐちゅり、と水音が混じり合い、結合部から溢れた白濁液がサンジの太股を伝ってシーツへと流れ落ちる。
「あッ……ん、はァ、ん……っ!」
「ハァ…っ」
「ン……んんッ!」
ゾロがサンジの首筋に顔を埋めると、サンジはぎゅっと、ゾロの頭に抱きつきその髪に口づけた。
「…愛してる」
「あッ…!やァ!あ、あ……!」
やがて二人は同時に達した。部屋の赤緑の淡い電飾が、二人の荒い吐息に合わせて点滅する。窓の外では相変わらず雪がしんしんと降り積もっていて、その静寂をさらに強調する。ゾロはサンジの隣にどさりと寝転んだ。
「あー……しんど」
「おれもだ」
汗ばんだサンジの頬を撫でると、ゾロはサンジをそっと抱き寄せた。汗に混ざって香る、甘いサンジの体臭と煙草の匂い。それが愛しくて、ゾロは肺いっぱいにその香りを吸い込む。そして互いに言うのだ。
「メリークリスマス」
「ああ、メリークリスマス」
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