紫やピンク色が飛び交う路地裏。
数えられる程の人間が行き交うその場所に、珍しく肩に乗らない銀狼に導かれ着いていく。
慣れないと思いつつも体が道を覚え初めてきている事実に羞恥心が湧いてしまう。
一方、俺が外出する為に同伴する銀狼はこの路地に通い詰め毎度違う女と夜を共にしている。
最近は少なくなってきていると思っていたが、どうやら彼なりの我慢の限界らしい。
「銀狼。どこまで行くんだ?」
慣れてない俺でも分かる程、路地の奥へ奥へと進んでいく彼の背中を追い続ける。
けれど流石に不信感が隠せなく聞いた所存だ。
後ろを振り返ることも無く、銀狼が答える。
「ん〜…」
俺は背筋に悪寒が走った。
彼が返事を曖昧にする時は、大抵他のことを考えていることが多いのだ。
道を間違えていたらどうしようか。
「なぁ、魅六。」
フェンスに囲まれた行き止まりの場所で、前を歩いていた彼が足を止める。
「なに?」
ゆっくりと振り返る彼。
「お前が毎度記している手帳。あれ偶然読んじゃったんだけどさ…」
狐の、ギラついた瞳が俺を捉える。
「お前って…童貞なの?」
数秒の時が止まる。
…え?、は?童貞?
「え?まぁ世間一般に言えばそうだろうけど…それがどうかしたの?」
相手の挑発に乗らず、受け流す。
彼が申し訳なさそうに目を逸らす。
しかし不思議だ。
手帳には死因の原因になることしか記さないようにしているけれど、なんでこのような話になるのかさっぱりだった。
「いや、お前顔とか性格とか全然良い奴だし、告白とか結構されるもんだと思ってさ、」
「はぁ、」
答えになっていない。
「それが何?」
いや本当に、何?
今の状況に何故その話が上がるのだろうか。
「いやさ?気持ち良さ知らないのかなって」
「は?」
身長の高い彼が、目の前で止まる。
「知らないまま何度も死ぬのって、ちょっと可哀想すぎない?って思ってさって言ってんの。」
「はぁ。」
意味がわからない。
ジッと、甘い瞳で見つめられる。
あ、そうか。
気づいた時には、既に遅かった。
「しま”ッ」
膝がガクンと力を失くし、そのまま地面へと落下する。
パタンと座り込んだ僕は荒くなった息を整えようとするも、意識すればする度に呼吸が荒くなっていくのが嫌でも分かってしまう。
腹の底から説明出来ない程の興奮が湧き上がってくるのを感じ、思わず抱え込む。
「ゔっ、うッ…、」
「はは、惨めだね”魅六様”?」
ビクビクと体が痙攣を起こし、肉棒に下着が擦れる感覚でさえも気持ちいいと感じてしまう。
そんな僕の顎を撫で、持ち上げる彼。
だから嫌いなんだ。
「やっぱ良い顔するじゃ〜ん♡」
口の中に入ってくる長い指。
追い出そうとするも力が出せない。
死因:快楽死
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!