「ありがとう。しかし、問題があるわ。」
「それは、どんな問題なんです?」
「魔界の生物は、野蛮な奴が多くてね。戦闘経験が無いと魔界では生きていく事は難しいね。」
「それは、大丈夫ね。星菜はボクシングや薙刀、剣道などの経験があるわ。」
「それは知っています。でも、晴夏さんの方が問題でして。」
「私?」
晴夏に問題?そーいや、晴夏剣道とかやったことないな。
「ええ、晴夏さんの経験が圧倒的に足りない。魔法を覚えるという手段もありますが、時間がかかり過ぎます。」
「魔法か、なら大丈夫だな。晴夏は記憶力が良いんでな。」
「記憶力が良くても、力が無かったら、意味は無いわ。」
魔力かぁ。俺達人間だもんな。魔力とか異世界の力無いしな。
「おや、またここにお客が来たようです、仕方ないわ。狛助、呼んでらっしゃい。」
あ、さっきの狐みたいなやつだ。あいつ狛助っていうんだ。
「良かった、不幸中の幸いだね。今来たお客が、膨大な魔力の持ち主だ。その子は自分の魔力に未練を託したみたいですし、それを晴夏さんに組み込めば、魔力問題は解決です。」
「クワァーン!」
狛助の鳴き声が聞こえた。結構遠いのに響くもんだなぁ。
「私に魔力を組み込む。そうすれば星菜と一緒に冒険することができますか?」
「ええ、もちろん。しかも、丁度良い時に来たじゃないか。その魔力が。」
それは、言霊のような形で光みたいな白色であった。
「やるよ。魂を導きし女神が魔力と宿る未練を晴夏に授ける。それは、魔力に宿る未練を果たした時晴夏から離れよう!」
詠唱中に、晴夏の足元に桃色の魔法陣が描かれ、紫色の光が晴夏を覆った。
「すごい!なんだか力がこみ上げてくる!」
「良かった、魔法が成功して。晴夏さん、この本を読んでください。雷光の魔導書です。あらゆる世界の雷と光に関する魔法がありますので。そして、星菜さんには武道書です。読んだら、拳法や剣技など武道に関するものがマスターできます。」
「ありがとうございます、ヒルデさん」
渡された、本を読み終えたとき、ヒルデさんは言った。
「神器をあなた達に託します。その名をイマジネイション。想像した通りの性能、形に変化します。」
その神器は、丸く水晶のような形をしていた。たしか、想像すれば良いんだよな。妖刀怨刀、名刀真沙宗、沢山の武器があるが何が良いだろう。
「丸い感触がしない。刀に変化している?」
持っていた、刀は禍々しく強い悲しみと怨みの念を感じる。
「多分、星菜さんの心奥深くに眠る、裏の自分が想像したのでしょう。嫌な予感はしますが、そろそろ準備は整いましたので魔界に繋ぐゲートを開きます。私の契約獣の一匹、八咫丸を連れていきなさい。」
八咫丸と呼ばれるのは、烏の体に鷲の羽を持ち薄紫色をしている。
「ヒルデさん、何から何までありがとうございます。ヘルニアに誘拐された夫さんを無事救出して来ます。」
そう言って、俺達はゲートをくぐった。
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