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僕は、恋など無縁だと思っていた。この、ざらっとした性格とゴミだまりに頭をつっこんだようなこのボサボサで汗臭い頭。おまけに、制服はよれよれのしみだらけ。誰がどう見ても、ゴミとしか思えない。だから、みんなは僕を避けた。いじめるのも汚すぎてされなかった。僕は青春とはかけはなれた孤独という世界の中で中学校生活を送ってきた。
明日は高校の入学式。僕はそれほど頭は良くなかったため、地元の共学の高校に入学することにした。どこの高校に行こうが僕にとっては関係なかった。
そして、入学式。地元の高校だったため、ギャルやヤンキーに近い人がそこら中うじゃうじゃいた。
「あれが噂のゴミ人間?まじ?めっちゃ名前通りで笑える」
「アイツ、きったねぇなウワックッッサ」
どうぞどうぞなんでも言ってください。もう、慣れてるんです。
「なに、あの人。メッチャタイプ…。」
あーいいですね、青春送ってますね。応援してますよー(棒)
「えーキャンディー、やめた方がいいってあのゴミ人間」
は?え?僕の話?
「風香が勝手に決めることじゃないでしょ?私の恋は私が決める。ちょっと、話かけてくるわ」
え?待って待って急展開すぎ。
そこに現れたのは真っピンクに髪を染め、化粧がベトベトついた、ザ・ギャルって感じの女子が前に現れた。
「ねぇねぇ君、めっちゃかっこいいね!私、桜キャンディー!覚えやすい名前でしょ!これからよろしくねぇ!」
戸惑った。周りからはヒソヒソと笑い声が聞こえる。こういうときってどうするんだっけ
「ごめん、君はタイプじゃない。本当にごめん。僕よりいい人は沢山いるよ」
沈黙が広がった。まるで先生がいきなり怒鳴ったときのように。
「え?あれ?あーなるなる!さっきの風香と私の会話が聞こえたんだね!いやいや、私、これから君を沼らせるから覚悟しときな!あっ、名前は?あーいいや、ゴミ人間!ゴミ人間でいいね!これからよろしくねゴミ人間ーー!」
僕の孤独な高校生活が一気に壊れてしまったようだ。
それから高校生活が始まった。キャンディーという女は積極的に僕に話かけてきた。努力家だなとは思ったけど、恋のヘチマすら感じない。
「ゴミ人間ー」
この呼び方もどうかと思う
「今日空いてるー?」
「すまん、今日は塾なんだ」
「ちぇーおっもんねぇー」
好きな人に対してこの態度はいかがなものかと思う。
ある日、キャンディーから夏祭りのお誘いがきた。夏休みも夏期講習で忙しくて、LINE(強制的に繋がされた)に、断りのメッセージを送ろうと瞬間、
「絶対に来て」
僕は断りのメッセージを送る手を止めた。
夏祭り。待ち合わせ時刻より1分早めに来ると、キャンディーが派手な携帯をガン見しながらぶつぶつとつぶやいている。そして、ゴミにゴミを被せたような格好をした僕に気がつき、そそくさと携帯を直し、僕のところへ駆け寄った。今日は彼女が一層派手に見えた。ジャラジャラした着物をきちんと身に着け、三つ編みをぐるぐると巻いていた。
「ごめんね、強制的に誘っちゃって」
そして、僕らは屋台へと向かった。まぁ、ザ・夏祭りっていう屋台しか並んでいない小さなものだった。21時から花火が上がるらしく、それまで僕らは屋台を何周もまわった。
そして、21時となった。一個目の花火がドーンと勢いよく空にはじけた。
「ねぇ、ゴミ人間」
そのあだ名、どうにかしてくれないかな
「私ね、入学式から言ってた通り、あなたのことが好き。確かに、私はこんな見た目で、こんな性格で、あなたとは正反対だけど、私はそんなあなたに興味を注がれた。私はゴミ人間なんてひどいあだ名つけられたら、すぐ泣いて、学校に来なくなっていたのに、あなたは前を向いて自分と戦いながら学校に行っていた。その姿がかっこよかった。今はまだ返事はノーかもしれないけど、もっと私を見て欲しい。お願いします。」
花火の音で声が聞こえずらかったが、全部聞こえた。多少、思うところはあるけれど、彼女なりの精一杯の言葉なのだろう。今でも顔がものすごく赤い。
それより、返事だ。一瞬で頭が計算して、この答えを出した。
「ありがとう。そんな風に言われたのは、君が初めてだよ。僕を見てくれる人がこの世にいてくれるなんて思いもしなかった。キャンディー、思い込みはよくないよ?答えはイエス。これからよろしくね。」
自分でもびっくりした。でも、これで良かった。この1日で彼女の今までの思いやりが全部わかった気がする。だから、僕は彼女を受け入れた。これでいいんだ。
彼女は加工した目を大きく見開いて、わんわんないた。化粧がどんどん落ちていった。僕はこのときやっと気がついた。彼女も初めは自分のようにいじめられていた。だから、化粧でモチベーションをあげていたのだと。自分で正反対だとか言っていた彼女に少し腹が立った。