TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

いつもより早く起き まだ薄暗い空を眺める 。 不安のせいなのか 、 普段よりも浅い眠いだった 。



 ” ふあ 〜 …… まだねむいなあ … でも今日が最後 、 頑張るぞ 、! ”



いつもよりも気合を入れて準備をする 。 輝く銀髪を櫛で解き 、 ヘアピンをつける 。 何だかんだしてるうちにもう出る時間になってしまったようで 焦って家を飛び出る 。



 ” やばいやばい !!!! 卒業ライブで遅刻はさすがにあせるってぇえ 〜 !! ”



綺麗な銀髪を揺らしながらスタジオに向かう 。 遅刻ギリギリでスタジオに着いた途端 ホロメンが駆け寄ってくる 。 妹を世話するかのように 、 皆で沙花叉をおめかしして ライブに備えるのだ 。 



 ”“ 沙花叉ったら 、 ほんとにドジでござるなあ 〜 … はい 、 仮面 ””



そのホロメンの中には風間もいた 。 最後までお節介を焼くのは 、 本当に風間らしい 。 

スタジオでダンスや機材の最終確認をする 。 そんなこんなで予定時刻がせまり 、 楽屋には緊張感が走る 。



 ” よし … これが最後 、 沙花叉クロヱとしての最後 … ! ”



そう心で言い 自分を落ち着かせる 。 配信スタートの合図が出た 。 いつも通り 、 いつも通りの挨拶をするだけなのに 、 こんなにも緊張する 。 それは緊張なのか不安なのか どちらかも分からないほど 強ばった状態で挨拶をする 。 



 ” ばっくばっくばく ~ ん ! ” 



途中のハプニングも特になく 、 順調に進んでいく 。 最後の曲の準備中 、 マネちゃんから突然 サプライズの手紙が送られた 。



 ” ええっ ?! 沙花叉こんなの聞いてないよ 〜 …… ありがと まねちゃん … ” 



純紅の瞳にすこし涙が浮かぶ 。 手紙を読み終え 、 最後の曲 、 海の幽霊を歌い終わった 。



 ” 飼育員さんたち 、 3年間ありがとう ! 皆だいすきだよ 、 ご馳走様でした !! ”



別れを告げたあとも 暫くそのライブの余韻は続いた 。 楽屋に戻り 、 ゲスト出演してくれたホロメンに感謝を伝える 。



 ” 今日は皆ありがとう !! 最後にいい思い出ができたよ 、 みんな大好き ! ”



その言葉に涙をうかべるホロメンもいれば 、 こちらこそ 、 と 感謝の気持ちを返してくれる人もいた 。 でも ただ1人 、 感謝とも 、 感動とも一括りに言えない 、 少しちがう感情をもつ子がいた 。



 ”“ 沙花叉の未来に幸あれでござる 

!! ずっとおうえんしてるでござるよ ! ””



なぜか 、 何故か引っかかる 。 応援してくれているし 、 いいことを言ってくれているはずなのに 、 何故か引っかかる 。 だが 、 そんなことよりも今は 悲しい顔をしているのを見られたくないのか 、 荷物をまとめてそそくさとスタジオを飛び出してしまった 。 



 ” はあぁ 、 ほんとにこれで終わっちゃった … ”



1人で歩きながらそう呟く 。 自分で選んだ道でも 、 すこしは後悔の念があったのだろう 。 ??? うしろから足音が聞こえる 。 それもどんどん近づいてくる 。 誰だろう 振り返ったその瞬間 



 ”“ 沙花叉 っっ !! ”“ 



そう叫びながら飛びついてくるのは 風真だった 。 



 ” おわあ っ ?! びっくりしたぁ … ” 



突然のことに驚くが 、 飛びついてきた風真をしっかり受け止め 、 優しく抱き締める 。 



 ”“ お疲れ様 っ 、 急に飛び出してどっかいっちゃったから 、 咄嗟にかざまも出てきちゃったでござる ””



へらへらと笑った顔でそう言う 。 でもやっぱり何故か引っかかる 。 



 ”“ ね 、 沙花叉 、 まだ話したいことたくさんあるし 、 このままかざまの家来ない ? ””



2人きりなら特に断る理由もない 。 その提案を受けいれ 、 家に行くことにした 。     家に着くと 、



 ”“ ふう 、 取り敢えず沙花叉お疲れ様 〜 !! いいライブだったよ ! ””



笑顔で沙花叉にそう語り掛ける 。 沙花叉も 、 ありがとう そう感謝を伝え ソファに座る 。 



 ”“ お隣失礼 …… ね 、 沙花叉 ”“ 



隣に座り 風真が沙花叉の顔を覗き込むように見つめる 。 



 ” ? どしたのいろはちゃん 、 ” 



名前を呼ばれ 、 咄嗟に返事をする 。 



 ”“ … まだ 一緒にホロで活動したかった … な 、 ”“ 



ここで初めて弱音を吐く 。 これまで明るい言葉で励ましたり 、 感謝を伝えていたのは 風真なりの気遣いだったのだ 。 



 ” ごめんね 、 でも 沙花叉はホロライブから卒業しても 裏で沢山遊びたいなって思ってるよ ” 



沙花叉なりにフォローする 。 風真は今まで堪えていた涙を一粒零し 、 腕をめいっぱいひろげ 沙花叉にハグを求める 。 



 ”“ 沙花叉 、 はぐ 、 。 ””



引っかかってたのはこれだった 。 素直になれない気持ちだったのだ 。



 ” … 本当いろはちゃんって 素直じゃないなあ ”



先に泣いたのはいろはちゃんだったね なんて 弄りながら 頭を撫でたり くだらない話をしてだらだらすごす 。 ああ 、 これからは ずっと共にすごしたい 。 静かで落ち着いた頃に 2人が同時に口を開く 。 



 ” 実は … いろはちゃんのことすきなんだよね ” 



 ”“  実は … 沙花叉のことすきなんでござるよ ”“ 



驚いた 。 奥手なふたりが 同時に愛を告げたのだ 。 こんなに幸せなことがあるだろうか 。



 ” え 、 ? ちょちょ 、 今なんて … ?? ” 



 ”“ だから 、 沙花叉のことがすき っ … て … ””



聞き間違いではない 。 静寂が訪れる 。 驚き 羞恥心 不安 全てが混ざり よく分からなくなる 。 



 ” … いろはちゃんの好きはさ 、 どんな好き … なの ? ” 



解釈違いかもしれない すこしの不安を抱え そう問いかける 。 



 ”“ 風真は … 恋愛的に すき でござるよ ? ”“ 



なんてかわいいんだ 。 沙花叉はきっとそう思っている 。 



 ” … 沙花叉も 恋愛的に 好き だよ 、 ね 、 いろはちゃん ”



名前だけを読んでとどまる 。 



 ”“ なあに 、 沙花叉 ””



 ” 沙花叉 いろはちゃんがすき 。 ずっと一緒にいたいな 。 彼女になってくれませんか ” 



2人の頬が赤くなる 。 風真は目を泳がせ 一目でもわかるくらいに照れている 。 沙花叉は 返答を まて と言われた犬のように従順に待っている 。 



 ”“ はぃ 、 おねがいします … ”“  



いくら辛くても 寂しくても 不安でも お互いを信じ続けたふたり 。 だからこそ得た信頼と共に喜ぶ共感性 この沢山の経験を糧に その後もふたりは 幸せを噛み締めながら 末永く過ごすことになった 。 


loading

この作品はいかがでしたか?

307

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚