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いつもより早く起き まだ薄暗い空を眺める 。 不安のせいなのか 、 普段よりも浅い眠いだった 。
” ふあ 〜 …… まだねむいなあ … でも今日が最後 、 頑張るぞ 、! ”
いつもよりも気合を入れて準備をする 。 輝く銀髪を櫛で解き 、 ヘアピンをつける 。 何だかんだしてるうちにもう出る時間になってしまったようで 焦って家を飛び出る 。
” やばいやばい !!!! 卒業ライブで遅刻はさすがにあせるってぇえ 〜 !! ”
綺麗な銀髪を揺らしながらスタジオに向かう 。 遅刻ギリギリでスタジオに着いた途端 ホロメンが駆け寄ってくる 。 妹を世話するかのように 、 皆で沙花叉をおめかしして ライブに備えるのだ 。
”“ 沙花叉ったら 、 ほんとにドジでござるなあ 〜 … はい 、 仮面 ””
そのホロメンの中には風間もいた 。 最後までお節介を焼くのは 、 本当に風間らしい 。
スタジオでダンスや機材の最終確認をする 。 そんなこんなで予定時刻がせまり 、 楽屋には緊張感が走る 。
” よし … これが最後 、 沙花叉クロヱとしての最後 … ! ”
そう心で言い 自分を落ち着かせる 。 配信スタートの合図が出た 。 いつも通り 、 いつも通りの挨拶をするだけなのに 、 こんなにも緊張する 。 それは緊張なのか不安なのか どちらかも分からないほど 強ばった状態で挨拶をする 。
” ばっくばっくばく ~ ん ! ”
途中のハプニングも特になく 、 順調に進んでいく 。 最後の曲の準備中 、 マネちゃんから突然 サプライズの手紙が送られた 。
” ええっ ?! 沙花叉こんなの聞いてないよ 〜 …… ありがと まねちゃん … ”
純紅の瞳にすこし涙が浮かぶ 。 手紙を読み終え 、 最後の曲 、 海の幽霊を歌い終わった 。
” 飼育員さんたち 、 3年間ありがとう ! 皆だいすきだよ 、 ご馳走様でした !! ”
別れを告げたあとも 暫くそのライブの余韻は続いた 。 楽屋に戻り 、 ゲスト出演してくれたホロメンに感謝を伝える 。
” 今日は皆ありがとう !! 最後にいい思い出ができたよ 、 みんな大好き ! ”
その言葉に涙をうかべるホロメンもいれば 、 こちらこそ 、 と 感謝の気持ちを返してくれる人もいた 。 でも ただ1人 、 感謝とも 、 感動とも一括りに言えない 、 少しちがう感情をもつ子がいた 。
”“ 沙花叉の未来に幸あれでござる
!! ずっとおうえんしてるでござるよ ! ””
なぜか 、 何故か引っかかる 。 応援してくれているし 、 いいことを言ってくれているはずなのに 、 何故か引っかかる 。 だが 、 そんなことよりも今は 悲しい顔をしているのを見られたくないのか 、 荷物をまとめてそそくさとスタジオを飛び出してしまった 。
” はあぁ 、 ほんとにこれで終わっちゃった … ”
1人で歩きながらそう呟く 。 自分で選んだ道でも 、 すこしは後悔の念があったのだろう 。 ??? うしろから足音が聞こえる 。 それもどんどん近づいてくる 。 誰だろう 振り返ったその瞬間
”“ 沙花叉 っっ !! ”“
そう叫びながら飛びついてくるのは 風真だった 。
” おわあ っ ?! びっくりしたぁ … ”
突然のことに驚くが 、 飛びついてきた風真をしっかり受け止め 、 優しく抱き締める 。
”“ お疲れ様 っ 、 急に飛び出してどっかいっちゃったから 、 咄嗟にかざまも出てきちゃったでござる ””
へらへらと笑った顔でそう言う 。 でもやっぱり何故か引っかかる 。
”“ ね 、 沙花叉 、 まだ話したいことたくさんあるし 、 このままかざまの家来ない ? ””
2人きりなら特に断る理由もない 。 その提案を受けいれ 、 家に行くことにした 。 家に着くと 、
”“ ふう 、 取り敢えず沙花叉お疲れ様 〜 !! いいライブだったよ ! ””
笑顔で沙花叉にそう語り掛ける 。 沙花叉も 、 ありがとう そう感謝を伝え ソファに座る 。
”“ お隣失礼 …… ね 、 沙花叉 ”“
隣に座り 風真が沙花叉の顔を覗き込むように見つめる 。
” ? どしたのいろはちゃん 、 ”
名前を呼ばれ 、 咄嗟に返事をする 。
”“ … まだ 一緒にホロで活動したかった … な 、 ”“
ここで初めて弱音を吐く 。 これまで明るい言葉で励ましたり 、 感謝を伝えていたのは 風真なりの気遣いだったのだ 。
” ごめんね 、 でも 沙花叉はホロライブから卒業しても 裏で沢山遊びたいなって思ってるよ ”
沙花叉なりにフォローする 。 風真は今まで堪えていた涙を一粒零し 、 腕をめいっぱいひろげ 沙花叉にハグを求める 。
”“ 沙花叉 、 はぐ 、 。 ””
引っかかってたのはこれだった 。 素直になれない気持ちだったのだ 。
” … 本当いろはちゃんって 素直じゃないなあ ”
先に泣いたのはいろはちゃんだったね なんて 弄りながら 頭を撫でたり くだらない話をしてだらだらすごす 。 ああ 、 これからは ずっと共にすごしたい 。 静かで落ち着いた頃に 2人が同時に口を開く 。
” 実は … いろはちゃんのことすきなんだよね ”
”“ 実は … 沙花叉のことすきなんでござるよ ”“
驚いた 。 奥手なふたりが 同時に愛を告げたのだ 。 こんなに幸せなことがあるだろうか 。
” え 、 ? ちょちょ 、 今なんて … ?? ”
”“ だから 、 沙花叉のことがすき っ … て … ””
聞き間違いではない 。 静寂が訪れる 。 驚き 羞恥心 不安 全てが混ざり よく分からなくなる 。
” … いろはちゃんの好きはさ 、 どんな好き … なの ? ”
解釈違いかもしれない すこしの不安を抱え そう問いかける 。
”“ 風真は … 恋愛的に すき でござるよ ? ”“
なんてかわいいんだ 。 沙花叉はきっとそう思っている 。
” … 沙花叉も 恋愛的に 好き だよ 、 ね 、 いろはちゃん ”
名前だけを読んでとどまる 。
”“ なあに 、 沙花叉 ””
” 沙花叉 いろはちゃんがすき 。 ずっと一緒にいたいな 。 彼女になってくれませんか ”
2人の頬が赤くなる 。 風真は目を泳がせ 一目でもわかるくらいに照れている 。 沙花叉は 返答を まて と言われた犬のように従順に待っている 。
”“ はぃ 、 おねがいします … ”“
いくら辛くても 寂しくても 不安でも お互いを信じ続けたふたり 。 だからこそ得た信頼と共に喜ぶ共感性 この沢山の経験を糧に その後もふたりは 幸せを噛み締めながら 末永く過ごすことになった 。