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「……やめろ、まどか。」
サブの声が低く、冷徹な響きを持っていた。
「その魔物、もう終わったんだ。」
「終わったって、そりゃお前の話だろ? 私の話じゃねぇ。」
まどかの言葉は、ますます軽く、挑発的だ。
「せっかく手に入れた”おもちゃ”を、簡単に壊しちゃうのもったいないし、ちょっと遊んでみようかなって。」
まどかが呟くと、再び魔物の姿が固まっていく。
その目はかつての”旦那”の目とは全く異なり、漆黒の闇が広がっていた。
「……違う。」
萌香は呆然とそれを見つめる。
「お前が見てるのは”元”旦那じゃない。私が作り上げた”新しいモンスター”さ。」
まどかがにやりと笑う。
「これが”本物”の力だよ、勇者。」
「……っ!!」
サブは一瞬で反応し、銃を構えた。
その鋭い眼差しは、まどかに向けられている。
「俺が手を出すのは、王国の腐った部分を壊すためだけだ。」
「ふぅん、勇者くんはそう言うけどさー、実際は”お前の力”が目的なんでしょ?」
まどかの挑戦的な目がサブを捉える。
「でも、私はそんなお前の力を試してみたいわけ。王国の連中が、勇者だの何だのと持ち上げてるけど、実際にどれくらい強いのか、試してみないと分からないもんね?」
「……そんなもの、興味ない。」
「じゃあ、私に勝てたら興味持ってくれるのか?」
まどかの一言に、サブの目が一層鋭くなる。
「俺に勝てると思ってるのか。」
「まぁ、やってみないとわからないよね? だって、私は──勇者殺しだし。」
「その力を使って何がしたい?」
サブの声に、冷徹な決意が込められている。
まどかは一瞬、笑みを浮かべた。
「王国なんてさっさと滅ぼしたいだけ。私にとって、勇者も魔物もただの駒。お前がいようがいまいが、王国が消えれば、それでいい。」
その言葉を聞いたサブは、ほんの少し、黙って考えた。
「なら、俺がお前を倒す理由ができた。」
その瞬間、サブは目にも止まらぬ速さでまどかに接近し、剣を振り下ろした。
だが──
「遅い。」
まどかは一歩も動かず、ただ指先を軽く動かした。
すると、サブの剣は急に反発され、手から滑り落ちる。
「何?」
その瞬間、サブは身体が重くなるのを感じた。
「これが私の魔法、”反転”。どんな力も、その向きを変えられるのさ。」
まどかは悠々と歩きながら、サブを見下ろした。
「お前がどんなに強くても、私の魔法でその力を逆転させれば、お前はただの”普通の人”に過ぎない。」
「……くっ。」
サブはその場でバランスを取るのが精一杯だった。
だが、心の中では冷静さを欠かない。
「その力を無効化する方法は?」
「無い。」
まどかが微笑んだ。
「だから、どうするか決めなよ。王国を守るのか、それとも……私を倒すために自分を犠牲にするのか?」
その言葉に、サブはしばらく黙っていたが──
「俺は、王国を守るために戦う。」
その決意が、まどかを驚かせた。
「フッ、いいねぇ。やっぱり勇者は言うことが違う。」
まどかはその場から一歩後退し、フクロウに何かを耳打ちした。
「ちょっと遊びすぎたから、そろそろ本気でいくよ。」
その瞬間、周囲の風が変わり、暗い森の中に一層の圧力が生まれる──