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「フクロウよ、私の命令に従え。」
まどかが静かに指示を出すと、そのフクロウがすっと飛び立った。
その羽音はまるで死神が迫ってくるかのように、暗く静かな森の中に響いた。
「……っ。」
サブは銃を抜きながら、その視線をフクロウに注いだ。
「なんだよ、そのフクロウ。」
まどかは微笑みながら、フクロウに触れるように手を差し出す。
「これは私の使い魔。”死を告げる者”という名前がついてるんだ。」
その言葉と同時に、フクロウは羽ばたきながらサブに迫る。
サブは瞬時に銃を構えた。
「撃つぞ。」
「そんなもんじゃ無理だよ、勇者くん。」
まどかはゆっくりと手を広げ、その力を強化し始めた。
「このフクロウが持つのは、ただの魔法じゃない。”死の霊力”を持っているんだ。」
その言葉を聞いた瞬間、サブは胸元に一瞬だけ冷たい汗を感じた。
「それがどうした。」
「それがどうしたって、どういう意味か分かるだろ?」
まどかがにやりと笑うと、フクロウの目が光り出した。
「死を司る魔物を前にして、無力感を感じないのか?」
サブは冷静に銃を構えながら、フクロウをじっと見据えた。
「……だとしても、俺はまだ負けない。」
その瞬間、萌香が短剣を手に取り、前に出てきた。
「サブ、私に任せろ。」
萌香はその美しい目を、真剣にフクロウに向けた。
「……お前、何する気だ。」
「この短剣はただの道具じゃない。魔物に効く刃だ。」
サブはその言葉に一瞬驚いた。
「それって、どういうことだ?」
「これには魔法がかけられている。フクロウのような魔物にも効くはずだ。」
まどかはその言葉を聞いて、笑みを浮かべた。
「面白い。だが、そんな程度の魔物に効く刃で、このフクロウに挑んでみるのか?」
その言葉と同時に、フクロウが急に猛スピードで迫ってきた。
サブはすぐにその動きに反応し、銃を撃とうとしたが──
「待て。」
みりんの声が響く。
「長剣を使うんだろ? それでいける。」
みりんは長剣を軽く構え、サブに向けてその刃を軽く振った。
「お前の銃だけじゃ、あのフクロウは倒せない。私が相手するから、サブはその間にチャンスをつかめ。」
サブは一瞬迷ったが、みりんの強い眼差しを見て、すぐに頷いた。
「分かった。」
「さぁ、始めるわよ。」
みりんは長剣を掲げて、フクロウに向かって素早く駆け出した。その動きはまるで風のように素早く、長剣が空を切り裂いていく。
フクロウはその速度に驚き、数度羽を翻した。
「……すごい。」
サブはその戦闘技術に驚き、思わず見入ってしまう。
「しかし……甘い。」
まどかが冷笑しながら、手を差し出した。
その瞬間、フクロウの目から不気味な光が放たれ、みりんに向かって直線的に飛んでいった。
「っ!!」
みりんはその攻撃をかわすが、フクロウの速度は尋常ではない。
「みりん!!」
サブは焦りながらも銃を構え、フクロウを狙い撃ちしようとした。
だが──
「だめだ、狙いが定まらない。」
サブの目の前で、フクロウの魔力が膨れ上がり、彼に直接向かってきた。
「死ね!」
その言葉と共に、魔力が炸裂した瞬間──
「うおおおおお!!」
突如、サブの目の前に現れたのは、萌香だった。
彼女は短剣を振り回し、フクロウの魔力を打ち払う。
「萌香!」
サブが声を上げると、萌香はしっかりとその攻撃を防ぎ、短剣を戻して冷静に言った。
「これで、少しは時間稼げたわよ。」
「よし、俺も行くぞ。」
サブは再び銃を構え、今度こそフクロウを狙う。
「さぁ、これで決める。」
だが──
その時、突然、森の中からもう一つの影が現れた。
その姿は──
「何者だ?」
サブの声に、今度は冷たく響く声が返ってきた。
「……私だ。」