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第5話
探求学習から二週間が経った。探求学習の後はすぐに夏休みだったため、俺らの関係は曖昧になってしまった。
夏休みの予定はといえばあと二日でダンスの試合がある。ダンス部で出る試合には颯太も来る予定だったが、避けられている今、来てくれるだろうか、
ーーー
試合の結果、俺らの部活は二位だった。二位を取れた嬉しさと一位を取れなかった悔しさと色んな感情があったがとても楽しかった。やりきった。
結果発表があった後はロビーでダンサーとお客さんが話せる時間がある。もちろん全員参加だ。
俺は無意識のうちに颯太を探していた。すると、颯太と目が合った。颯太は微笑んで
「海斗、ダンスめっちゃ良かった。」
そう言ってくれた。
-颯太は来てくれていた。そう思うと思わず涙がこぼれた。颯太は隣であわあわとしていた。
「ごめん、来てくれたのが嬉しくて、」
そう言うと
「そういう約束だったろ?」
と首を傾げて当たり前のように答えてくれた。
そうか、俺はいつも当たり前のように優しい颯太に避けられたから腹が立ったんだ。俺、颯太のこと好きすぎだろ、、w
自分でも呆れて笑えてきた。すると颯太が
「海斗、後で話をしたいから一緒に帰らないか?」
と真剣な表情で言ってきた。
避けられていた理由が分かるのは、嬉しかったはずが、少し怖かった。
俺が準備してロビーに向かうと颯太は入口近くで待っていた。
駅まで歩いている間、俺らはずっと黙っていた。颯太も何か考えているようだった。
電車に乗ると、颯太が意を決するように息を吸い、
「なあ、海斗の書いている小説って俺の事だよな?」
と、問いかけてきた。急いで消したからあの後見られることはなかったはずだ。ということは読んだことがあったのだろうか。
背筋に冷や汗がつたるのを感じた。誤魔化してもいいが、また避けられるのは嫌だ。もうここで好きだと伝えてしまおうか、なんて考えていると、
「やっぱりそうなんだな?」
と問いつめられた。俺はどうにでもなってしまえと思って
「そうだよ、」
といった。すると颯太は、
「俺は、海斗のことが好きだ。ずっと好きだった。」
そういった。最初は何を言われているか分からなかった。でもその真剣な表情は嘘をついているようには見えなかった。だんだん言葉の意味を理解してくると、颯太がなぜ俺なんかを好きになったのかわからず、つくづく平凡な自分が嫌になった。
自分が望んでいたにもかかわらず、実際に言われると俺なんかは相応しくないと思ってしまう。
「俺なんかじゃ絶対釣り合わないよ」
そう言わなければ自分がもたない気がした。すると颯太は
「釣り合わない、、ってことはチャンスはあると思っていいのか?
海斗が俺の隣に立ちたいと思うまでずっと俺は好きで居続けていいのか?」
俺はそう言って貰えたことが少し嬉しかったが、辛くなって
「勝手にしろ」
そう言い放ってしまった。
が、颯太は笑顔だった。なんだかいたたまれなくなって、
「探求学習の時、俺のこと避けていた訳では無いのか?」
そう聞いた。 颯太は
「ああ、それは、ごめん。」
そう言ってから、話してくれた。
颯太はずっと俺のことが好きで、颯太は俺の小説の初投稿から読んでいた古参だったらしい。元々俺と重ねて読んでいたらしく、俺がこの小説を書いていると知って俺とのエピソードと共通点が多すぎる、とか、俺のことを書いているのなら俺のことを好きだったり、?いやそんなことないか、なんて考えていただけだったらしい。
なんだか聞いている俺まで恥ずかしかった。