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鳥取は砂丘を蹴り、兵庫へ向かって突っ込んだ。
だが——
「遅い。」
兵庫の低い声が響いた瞬間、鳥取の視界が一瞬で切り替わる。
ドガァッ!!
「ぐっ……!!」
衝撃が全身を貫き、鳥取の身体が宙を舞った。
(な、何が起こった!?)
地面に叩きつけられる直前、鳥取は見た。
——兵庫の拳が自分の腹にめり込んでいるのを。
鳥取は砂の上を転がりながら、必死に体勢を立て直した。
「っはぁ……はぁ……今の、速すぎ……」
「さっきよりは良かったが……まだ甘いな。」
兵庫は動じることなく、静かに拳を握る。
大阪が腕を組みながら笑う。
「鳥取、お前なぁ……こいつは、ただのパワー系ちゃうで?」
「……どういうことですか?」
鳥取は息を切らしながら、兵庫を見つめる。
「兵庫は、関西の要や。パワーだけやなく、関西の各地を繋ぐ“調整役”やった男や。」
大阪の言葉に、鳥取は兵庫を改めて見つめた。
(関西の……調整役?)
兵庫は軽く肩を回すと、静かに口を開く。
「俺はな……関西全域の特性を知り尽くし、それを自在に使いこなす。」
鳥取はハッとした。
(まさか……さっきの速度も!?)
兵庫は微かに笑う。
「そうだ。俺は速さが武器の“神戸”の動きを取り入れ、パワーは“大阪”と同等に鍛えている。」
「そ、そんな……!」
鳥取の背筋に冷たい汗が流れる。
大阪は満足げに笑いながら、ポンと鳥取の肩を叩いた。
「せやから、お前がやるべきことは……“砂丘の戦い方”だけやない。」
「……!」
鳥取の脳裏に、一つの閃きが走る。
(俺はずっと、自分の得意な“砂丘”の動きを使おうとしてた……でも、それだけじゃダメなんだ!)
砂丘は確かに強力な武器だ。しかし、それを“どう活かすか”が重要なのだ。
兵庫のように、多様な戦い方を取り入れなければ——。
「……そうか。」
鳥取は深く息を吸い、兵庫を見据えた。
「俺も、成長しなきゃいけない。」
兵庫がわずかに口角を上げる。
「なら、来い。」
鳥取は砂を蹴った。
今度は、ただの突進ではない——!
(考えろ……砂丘の動きだけじゃなく、俺の戦い方を広げるんだ!!)
〈続く〉