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雨の日
「はぁ…雨の日って大嫌い」
『へー、葵って雨嫌いなんだ、俺は好きだけどな、雨』
「それはレマが特殊なだけじゃないの?晴れの方が良くない?」
『そうかなぁ』
私は葵、そして今話してる兄の名前はレマ。
「だって、雨の日ってジメジメするし、なんか暗いし、傘持ってかなきゃだし…良いことなくない?」
『そこだけ見たら、な。今から外行こうぜ、雨の日の良いところ言ってやるからさ』
「ええ!?せっかくの休みにわざわざ自分が嫌なことしたくないよ…」
『まあまあ…お菓子やるから』
「むー…わかったよ」
「んで、その良いところって何」
『まず、いま傘さしてんだろ?その透明な部分に映る雨水、流れ星みたいで綺麗じゃないか?』
「…そう?私にはそうは思えないけど」
私はレマほど想像力はないから、そう言われてもあんまりわからない。
『じゃあ2つ目。傘にポツポツ降る雨水、この音。俺すごい好きなんだけど、わかる?』
「んー…ピンとこないな」
私には、嫌いな日の音を楽しむことはできない。音楽もあまり好きじゃない。
『そうかぁ…』
「…これだけ?ならもう帰りたいんだけど」
『いや、もう一つある』
「え?じゃあ早く…」
『話すより、実際に見た方がいいと思うぞ』
…
しばらく経ったけど、レマが言うことはまだわからない。
「ねぇ、もう帰りた…」
『来た!!ほら!!』
レマの指が指す場所を見ると、そこには大きな、そして綺麗な…虹があった。
「綺麗…」
『な、さっき言ってたのはこういうことだ』
想像力も、音を楽しむ趣味もない私が、嫌いだった雨の日で、初めて感動した瞬間だった。
それからしばらく、私はその景色に見惚れていた。
お菓子なんてもうどうでも良くなるぐらい、ずっとこの景色を見ていたかった。
ーーー
どうも、作者のただのもちです。
急ですが、2人の名前の由来を話します。
葵は「向日葵」の花から取り、レマは「タマスダレ」という花から取って文字を入れ替えました。
タマスダレなどの花は、「まとまった雨の後に花茎を伸ばして開花する」らしく、雨が降ると(降った後に)咲くと言われています。レマが雨好きなのはここから取ってます。