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あの、どこかでお会いしましたっけ?
――あの、どこかでお会いしましたっけ?
僕はハヤト。高3だ。
僕は放課後、あるカフェでバイトをしている。
中学の時から、「高校生になったらバイトをしたい」って思ってたんだ。
まあともかく、僕はこのカフェで働いてる。
店のドアが開いて、1人の少女が入ってきた。
同い年くらいに見える背丈で、長いまつ毛とロングの黒髪が、どこか見覚えがあった。
‥‥まあ、見覚えがあるのも当然だった。なぜなら、
彼女は、僕の幼馴染である、美南(みなみ)だったからだ。
彼女は、僕の4歳の時からの幼馴染。長いまつ毛とロングの黒髪が印象的な、いわゆる美人だ。
そんな美南に僕は、恋心を抱いた。
そして、高1になった時、僕は美南に告白しようとしたんだ。
でも‥‥。
その日の朝、美南は交通事故にあって、記憶喪失になった。
家族や友人のことは忘れ、当然、僕のことも忘れた。
だから僕は、美南に告白できなかったんだ。
――そんな美南が今、僕が働いているカフェへやってきた。
僕の鼓動は一気に高鳴った。だけど(美南は僕のことを覚えていないんだ‥‥)と思うと、悲しかった。
彼女はカウンター席に座り、ブラックコーヒーを注文した。
小説を読みながらブラックコーヒーを待つ美南を眺めていると、自然と苦しい気持ちになってくる。
(思い出してほしいなぁ‥‥)と、思うからだ。
コーヒーが出来上がると、僕は美南の席まで運んだ。
「お待たせいたしました。ブラックコーヒーでございます」
「‥‥どうも」
少ししかない会話だったけど、美南の声を久しぶりに聞けて嬉しかった。
「ではごゆっくりどうぞ」と言い、立ち去ろうとしたその時、
「あの‥‥」と美南が話しかけてきた。
僕は「どうしましたか?」と振り返る。
すると、美南が思いがけないことを言った。
「‥‥どこかでお会いしましたっけ?」
僕はとたんに嬉しくなってきた。
美南が僕を、少しずつ思い出してきてくれている。
僕はこう答えたんだ――。
「ありがとう、美南」と、一言。