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湊の言葉が頭の中でぐるぐると回る。あの時の湊の顔が、どうしても忘れられなかった。
「俺が気にするの、おかしくねぇだろ。」
あの言葉、何度も反芻してしまう。湊が気にしてるってことは…まさか、私のことを気にかけてくれているのか?
(でも、湊はいつもあんな感じだし、毒舌だし…)
疑問とモヤモヤがぐるぐると絡み合って、頭が整理できないまま、私は次の日を迎えた。
**—登校日—**
いつも通り、湊と一緒に登校するが、相変わらず距離が縮まらないままだ。
私が話しかけても、湊は軽く相槌を打つだけで、会話が続かない。
「ねぇ、湊。」
「ん?」
「昨日のこと、ちょっと考えてて…」
「別に、考えなくてもいいよ。」
え?あれ、そんなに気にしなくてもいいってこと!?
「だって、あんなこと言っただけじゃん。俺、気にしてないし。」
**……ほんとに?**
湊が冷たく言うから、逆に気になる。こんなにもそっけないのは、やっぱり何かあったからだろうか。
**—昼休み—**
私は自分の席でお弁当を食べていた。紗菜が横に座って、私の様子を見ている。
「せりな、なんか元気ないね?」
「うん、なんか…湊のことで、いろいろ考えちゃって。」
「湊のことで?」
「うん、昨日さ、湊が私のことを気にしてるみたいなこと言って…でも、相変わらず距離があってさ。」
「ふーん。もしかして、湊もせりなのこと、好きなんじゃない?」
「えっ、でも…」
「いや、絶対そうだって。じゃなきゃ、あんなこと言わないもん。」
でも、湊の言動がしっくりこない。
(確かに、あの言葉が気になって仕方ないけど…どうして湊はあんなに素直じゃないんだろう。)
その後、何となく心にモヤモヤを抱えたまま放課後を迎えた。
**—放課後—**
いつものように、悠斗を探してみたけれど…
「せりな、あのさ…悠斗、風邪で休むってさ。」
「え?」
「熱が出て、しばらく学校来れないみたい。」
「ああ、そうなんだ…。」
悠斗、風邪!?どうしよう、心配だ。
「でも、しばらく休むんだって。」
「わかった…」
悠斗がいない間、どうしようか考えながら帰る道を歩いていると、ふと横に湊が歩いていた。
(また一緒に帰ることになるのかな?)
けれど、湊の様子はいつもと変わらず、無言で歩いている。
(本当に、湊のことが気になる…。でもどうしてあんなにそっけないの?)
私はその気持ちに引きずられながらも、帰り道を歩き続けた。