「トレーナーさま〜!」
「おはよう、ブライt___」
ぎゅうううううう♡♡♡
俺の担当、メジロブライトはトレーナー室に入ったと思いきやすぐに俺に抱きつく。
「ぶ、ブライト?」
「なんでしょ〜?」ギュウウウ♡
「………俺は今から仕事がしたいから、デスクに移動したいんだが………。」
今、俺はどうなっているか説明すると、がっしりと前からブライトにホールドされているため、動く事ができない。
「………トレーナーさまは、わたくしがハグをするのがお嫌いですか………??」グスッ
ブライトは上目遣いで俺の顔を見ながら頬を膨らませ半泣きになっている。
「いやいやいや!!そういう訳じゃなくて!!」
俺は慌てて首を横に振る。
「じゃあ…なんなのですか…?」
「いや…少し移動するからその間だけだから…な!?」
そう言うと、ブライトはゆっくりと俺から離れる。
「わかりましたわ………。」
「ありがとう、ブライト。」
俺はデスクに向かって歩き、椅子に座る。
「いいよ、ブライト。」
「!?………では、失礼します〜♡♡」
ぎゅうううううう♡♡♡
ブライトは改めて俺に抱きつく。
「っっっ〜♡♡♡」
「全く…かわいいやつめ…。」
そう言いながら、俺はブライトに後ろから抱きつかれたまま今日の業務を済ませようとパソコンを立ち上げる。
⏱
カタカタカタ…
部屋に響くキーボードの音。
「トレーナーさま〜、まだ終わりませんこと〜?」
「もう少しから待ってろよ〜、もうこれだけだからな〜」
俺が仕事をしている中、ブライトはひょこひょこと後ろで頭を出したり俺の肩に顎を乗せたりしていた。
「ん〜〜、あ!トレーナーさま!ストップですわ!」
急に体を掴む力が強くなり、ブライトは体を乗り出す。
「な、なんだ!?」
俺は声に反応し、その場所で止める。
画面を見ると、そこには、
『 男性の胃袋を掴め!ウマ娘流料理術! 』
というバナーがあった。
「トレーナーさま、どんなお料理が好きですか〜?」
俺の顔を見ながら、ブライトは俺に話しかける。
「ん〜、しいて言うならオムライスかなぁ…。」
「オムライス…ですかぁ…。」
ブライトは考える仕草をした後に、手を合わせ、話を再開する。
「では、わたくしがオムライスを作って差し上げましょ〜♪」
「いいのか?ブライト。」
「はい〜、日頃トレーナーさまには感謝してますから〜」
「じゃあ、お願いし___。」
その時、俺は思い出した。
メジロブライトはお雑煮にセロリを入れようとするぐらいの子だって事を…。
「ブライト…一緒に作ろうか…。」
「あら、トレーナーさまは休んでいて大丈夫ですのよ?」
「いや、ブライトがやけどとか指をケガしたら大変だ。」
「トレーナーさま………♡♡」
なんだか見られてる視線が気になるが…気にしないでおこう。
「それでは、今すぐトレーナーさまのお家に向かいましょう!」
「待って待って!まだ仕事が………。」
「じゃあ、抱きついたまま待ってますね〜♡」
ぎゅうううううう♡♡♡
「はあ…。」
その後、ブライトに抱きつかれながらなんとか仕事を終え、俺とブライトは帰路に着いた。
⏱
「ふん♪ふん♪ふふ〜ん♪」
「やけに元気だな…ブライト。」
しっぽをフリフリしながらブライトは俺のベッドに座り、部屋の中をキョロキョロする。
「はい〜、トレーナーさまのお家は初めてですので〜、ん〜♡トレーナーさまの匂いがします〜♡」
ブライトはベッドに寝転がり、俺の匂いを堪能する。恥ずかしくなるからやめてほしいんだが…。
「おーい、ブライトー。料理の準備ができたぞ〜。」
「はぁーい!」
こうして、俺とブライトは料理を始めた。
━━━━━━━━━━━━━━━
「えっと…まずは下準備としてチキンライスを作ろう。」
「そうですわね〜」
俺達の前には鶏肉と玉ねぎ、バター、ケチャップなどその他もろもろを用意した。
「じゃあ、わたくしは野菜などを切っていきますね〜」
「怪我には気をつけろよ、ブライト。」
「お気遣いありがとうございます〜」
こうして、俺とブライトは着々と作り始める。
⏱
「よし、あとは…ケチャップを…。」
「トレーナーさま〜、わたくし、ケチャップをかけたいですわ〜」
「お、いいぞ!上手くかけてくれよ?」
「はい!任せてくださいまし〜!」
ブライトはオムライスの真ん中にケチャップで綺麗なハートを書く。
「ふふっ…♡」
「ブライト…」
「上手く書けましたわ〜♡♡」
「お、おう…上手だな…。」
「トレーナーさまが大好きですから〜♡♡」
こうして、ブライトの愛情たっっぷり(?)オムライスが完成した。
━━━━━━━━━━━━━━━
「美味しいですわ〜っ!」
「ふふっ…よかったな。」
「はい〜!」
俺達は2人で1つのオムライスを分けて食べていた。
俺の隣で美味しそうにオムライスを食べるブライトに思わず見蕩れてしまう。
「ん〜?トレーナーさま、どうかされまして〜?」
ブライトは不思議そうに首を傾げ、俺の顔を見る。ブライト口の端を見ると、うっすらとケチャップが付いていた。
「ブライト、口の端にケチャップ付いてる。」
「あら…ふふっ…わたくしったら…。教えて下さりありがとうございます〜、今拭きま___。」
そうブライトが話そうとした事を遮り、俺は言葉を紡ぐ。
「ブライト、そのままじっとしてろ?」
「ふえ…?」
そう言うと、俺はブライトの顔に自身の体を近づける。
「とっ…トレーナーさま…!?!?///まだ、心の準備が…!?!?///」
ふきふき…。
「よし、取れたな。」
俺はブライトの口の端に付いていたケチャップをティッシュで拭き取った。
再びブライトの方を向くと、顔を真っ赤にし、俯いていた。
「???どうした、ブライト。熱でもあるか?」
「……………///」
声をかけるが、返事がない。
「………ブライト?」
俺は下からブライトの顔を見てみる。
「………ひゃああ!?!?///」
ブライトと目が合うと、ブライトはびっくりしたようで、声をあげていた。
「うわっ!急に大声出すなよ………。」
「も………申し訳ございません………///」
俺とブライトは再び顔を見合わせると、俺の口の端にもケチャップが付いていることにブライトは気づいた。
「あら〜?トレーナーさまもケチャップが付いていますわよ?」
「えっ、まじ?あはは…ブライトの口の端より自分の口の端を___。」
___ちゅっ。
___ぺろっ。
俺の鼻が一瞬甘いバニラのような匂いに包まれた。
「___お返しです、トレーナーさま///」
目の前には少し照れ笑いをする担当が居る。
今日は “ 2人 ” にとって、大切な日になったのかもしれない。
おわり。
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