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「どこだよ、ここ」
目を覚ますとそこは知らない? 場所だった。
天井が青く、照明が眩しい。床には草花が生い茂っている。
俺はここを知らない筈だ。だが、俺は知っていた。教科書に載っていた。
だが、それとは別のところで見た気がしなくもない。
この青い天井は空。照明は太陽。この床は草原と言うらしい。
そして、これらの特徴のある地を【地上】と言う。
ここは【地上】なのか、、、?
【地上】は人が生きていられる環境では無くなったんじゃ無いのか?
それなのに、何故俺はこうして息をして生きていられるんだ?
そして何だ、この頭のモヤモヤは俺は何を忘れているんだ、、、?
様々な疑問はある。
だが、それは今考えていても、しょうがない事。 町だ。まずは町を探すんだ。
辺りを見渡してみるが、木々が生えているだけだ。
だが、何故か後ろから呼ばれる気がして、俺は振り返った。
「誰よあんた、、、!」
そこにいたのは、黒髪の女性だ。体は俺より一回りくらい小さくはあるが、年は同じくらいだろう。
彼女の事もどこかで俺は見た気がする。
当たり前ではあるが、向こうはかなり俺を警戒している様子だ。
下手に動く訳にはいかない。何しろ情報が不足しすぎている。
ここがおそらく【地上】であるという事以外に、現状わかっている事が無い。
無い筈だというのに、先程から何故か知らない筈の事を俺は知っている。
だが、最優先とすべき情報が何かはわかっている。結局、町を見つけなくてはならない。
いや、町はあっちだよな。何故か方向が思い浮かんだのが、それは無視して俺は聞いた。
「この辺りに町とかありませんか? 道に迷ってしまって、、、」
「そう。じゃあ、この質問に答えてくれたら町まで案内してあげる。あなたは、どこから来たの?」
どこから来たのか。その質問の返答に遅れてしまって、怪しまれる訳にはいかないと思って俺は言った。
「わからない。目が覚めたらここにいた。」
北から来ただとか適当な事を言って、嘘だと見抜かれるのが怖くて俺は本当の事を言った。
「わからない、、、 まあ良いわ。案内してあげるから付いて来て」
上手くいって良かったと感じ、俺は溜め息をつく。その時、彼女は言った。
「他のモノに見られないように気をつけて、静かに付いて来てね」
***
連れて行かれて来たのは、彼女の部屋だ。玄関から入ると誰に見られるかわからないため、窓から入ったが。
「それじゃあ、お互い『はじめまして』って事で自己紹介しましょうか。私は愛よ。あなたは?」
「俺はーー」
「、、、? どうしたの?」
突如、俺の脳に大量の情報が流れてきた。
そうか、俺は、、、
「俺は【メグル】だ!」
俺は右手を伸ばして彼女の頬に触れた。
「ちょっと、急に何して、、、 メグル? メグルなの、、、、、!! 」
「ああ、俺だよ」
俺はアイの頬からアイの物質【X】を渡した。
彼女は前のアイとは違っても、物質【X】はその記憶を、想いを覚えている。
「でも、メグル。どうやってここまで来たの、、、?」
「それはーー」
俺は大きく息を吸ってから答えた。
「瞬間移動だよ」
『 ぷっ、、、ははははは!! 』
俺たちは笑った。
それはそれは、大きな声で笑った。
最終話 「巡り巡る」
《巡り巡る》 完
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