TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する


「……え?あ……!」


もう一つの手で肩を掴まれ、右京はベッドに押し倒された。


「な……がつ…き…!」


右京を押し倒した永月はぐっと太腿の下に腕を入れて、右京の脚もベッドの上に持ち上げた。


「―――あ」


その力の強さに、恐怖と共に興奮も覚える。


こんなに甘いマスクをしてるのに。

こんなに優しく微笑んでいるのに。


彼は―――。

自分よりずっと強い、雄なんだ―――。



顔の左右に手をつき、永月がこちらを見下ろす。


「嫌だったら言って」


「――――っ」


肘をつき、顔を寄せる。

親指で唇をなぞられると、ゾクゾクとうなじあたりに鳥肌が立った。


力が入る膝に重心がかからないように、永月が足を開いて右京をまたぐように膝をつく。


「右京……」


その声が脳髄を溶かす。



こんなこと……。想像もしていなかった。


テレビ画面で永月の姿を見つけ、その高校名を必死にメモした時も、


雨の中、全国大会の観戦チケットを買い、国立競技場の列にならんだ時も、


転校が決まり、注文した学生服の袖に腕を通した時も、


校内で、廊下で、体育館で、グラウンドで、永月の気配を探そうと、感じようと、神経と研ぎ澄ませていた時も、


同じクラスになった時でさえ、



こんなことになるなんて、想像していなかった。


体重がかかる。

自分よりずっと重い体がのしかかってくる。

その圧迫感と温度に、心臓が爆発しそうになる。


息がかかる。

睫毛の1本1本が見えるほどの近さに、耐えられずつい瞼を閉じてしまう。


唇が僅かに触れた。

と思ったのは一瞬で、すぐさま熱い舌が入ってきた。


「ん……あ、ん……!」


重心が少しずらされ、Tシャツの下から、永月の手が入ってくる。


永月のそれとは違い、筋肉が発達しているのではなく、ただ贅肉がないために浮き出ている腹筋のラインをなぞられる。


「……は……」

舌の間から息が漏れる。


肋骨の中心を撫でていた指が左の突起に到達する。


「―――永月……!」


このままじゃ、突っ込まれた舌のせいで、あられもない声が漏れそうで、右京は顔を背けた。


「ちょ……、ストップ……!」


「ここ、感じやすかったよね、右京……」


永月は右京の唇を解放すると、再び肘をついて右京の胸を覗き込んだ。


中指がそこを優しく撫でる。


―――感じやすいんじゃない。感じやすくされたんだよ…!


一瞬、脳裏に赤い髪の毛が浮かぶが、硬くなったそこを永月が軽くつねると、その姿はたちまち見えなくなった。


「―――ふ……」


腕で口を覆うと、永月はTシャツを捲りあげ、色素の薄いそこに舌を這わせた。


「んん……!」


甘く熱い刺激が体の中を通って、熱として股間に集まる。


そこに、今まで彼に寄せてきた想いが混ざり、うねるような欲が溢れ出してくる。


「……………!」


右京は思わず永月の背中に腕を回した。


盛り上がる肩甲骨、引き締まった腰の筋肉が、ますます右京の思考回路をとろけさせていく。



……夢、みたいだ……。


こいつと、こんな風に………。



右京は潤む瞳を、ゆっくりと閉じた。



◆◆◆◆◆


ーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーー


ーーーーーー


意識が、溶ける。


風景が回る。


右回り。


いや―――。


左回りか?これ……



「聞こえる?蜂……?」



揺れた声が聞こえてきて、

視界に誰かが覗き込んでくる。


顔は見えないのに、黒ずんだ鼻の頭の毛穴だけよく見える。



「本当は、赤い悪魔のことを聞きたくてお前を呼んだわけじゃな



―――赤い悪魔?


しつけえな。


知らねえって言ってんだろうが。


被害者に話を聞けよ。頭わりいな……。



被害者に?聞いたよ。話。だから探してるんだろうが」



頬に痛みが走る。


殴られたのか?


蹴られたのか?


それとも踏みつけられたのかも。


―――わかんねえ。



「なあ。お前の学園のさ。生徒会長いるだ……?」



せーとかいちょー?



「右京賢吾君だ



「――――」


―――なんでこいつらからあいつの名前が……。



「あの子って?」



―――何者って。ただの生徒会長だろ。



「最近転校してきたんだよね?



―――だからなんだ。


もしかしてこの間のこと引きずってんのか?

あんなことで小さい野郎だ。アレも小さいんじゃねえのか?



はは、言うねえ



笑い声が複数聞こえる。



「右京君はどこから引っ越してきた?」



―――はあ?



「それって―――」



―――なんだよ。



東北のどっかだったりする?」



―――どうしてそれを……。



胃からゴポゴポと変な音がする。

強烈な吐き気が上ってくる。



「うわ、こいつ吐きやがった」


「おいおい、勿体ないだろ。高い酒なのにー」


「しょうがない。吐いた分また入れてやるかー」


「口開けよ、ほ


ら、寝ん


「これからだろうが


酒より俺のチンコのほうがい?」


「はは、えげつないっすよ、多川さん


「小さいかどうか、確かめてみろよ」


「うはは、やべー


どうだ、蜂谷?小さいか?」



「ーーーー?」



ーー、ーーーーー」



「ーーー!ーーーー」



ーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーー


ーーーーーーー





loading

この作品はいかがでしたか?

40

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚