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◆◆◆◆◆
「……ああ……ん……っ」
右京は右へ左へ顔の向きを変えつつ、今や両手の指先で弄ばれている胸の突起への愛撫に耐えていた。
極限まで熱くなったそこは、わざわざ自分で見なくても、赤く腫れあがっているのがわかる。
「右京」
低い声が耳元で囁かれるのとほぼ同時に、耳孔に舌が入ってくる。
「あ…!はぁ……!」
快感と、耳を犯される恐怖に、身体が軽く跳ねる。
「……ねぇ、気づいてる?」
永月の吐息を含んだ声が色っぽくて、耳に挿し入れられる舌が熱くて、右京は彼のトレーナーが伸びるほど背中を強く掴んだ。
「さっきから―――押し付けてる」
「………?」
その言葉に右京はやっと目を開けて、自分の身体を見下ろした。
「―――!」
よく見ると自分の下半身は、跨っている永月に押し付けるように腰が浮いていた。
「―――ご、ごめん……!」
赤面しながら顔を手で隠し、身体を軽く横に向けた。
「………謝らなくていいのに」
永月が足に軽く力を入れ、その身体をまた仰向けに戻す。
「嬉しいよ。右京が俺を求めてくれてるのがわかって……」
「――――」
右京は片手だけ外し、永月を見上げた。
「お前、そういうのサラッというの、慣れすぎ……!」
「慣れすぎって」
永月は苦笑しながら、右京を見つめた。
「俺、そんなに経験ないよ?」
言いながら右京のもう一つの手も外す。
「こんなに誰かに夢中になるのは―――」
唇が近づいてくる。
「右京が初めてなんだ……」
痺れるほどに先ほど合わせた唇が再び触れる。
嘗め上げられ、柔らかい下唇を吸われる。
そのまま舌が奥まで挿ってきて、今度は口内を犯していく。
―――慣れてないわけないだろ…。こんないやらしいキスしやがって……!
想いとは反対に、されるがままにだらしなく口を開いてしまう右京は、今度は下半身を押し付けまいと、欲を逃がそうと足を軽く開いた。
と、すかさず永月の手が、腹を滑り、股間に到達する。
「―――!おい……!」
その手が右京のハーフパンツの上から、右京の硬くなったものを掴む。
「い、いいよ。そんなとこ触んなくて―――」
「なんで?」、
言いながらも永月は力を緩めることなく、右京のそれを上下に扱いてくる。
「……!そんなとこ弄って、楽しい男なんていないと思って……」
「―――かわいいこと言うね」
言いながら永月はフワッと手を膝裏に移動させた。
「膝、もう痛くない?」
その問いに、
「………ほとんど」
あいまいに返す。
「そ。よかった」
永月の手が足を滑り、太腿を撫でて、ハーフパンツの中に入ってくる。
「……あ……!」
ボクサーパンツまで到達すると、その上から、感触と熱を確かめるようにゆっくり触られる。
「―――!―――っ!」
自分でも極限まで硬くなっているのがわかるそれを、他でもない永月の手で、さらに高められていく。
「夢みたいだよ。右京とセックスできるなんて―――」
―――セックス。
そうか。するんだ。永月と。
『セックスしている最中に攻撃してくんのは無しだぞ』
右京は目を開けた。
―――なんでお前が出てくる…。
「―――今、何考えてる?」
こちらの感情を、どこか見透かしたような永月は、右京を少し怒った瞳で見下ろすと、ボクサーパンツの中に指を入れてきた。
「う……ああッ!!」
敏感になりすぎて、まるで体の内側を直接触られているような違和感に、右京は悲鳴のような声を上げた。
「シーーーッ」
永月が笑いながら唇に人差し指を付ける。
「一応両親の寝室は1階だけど、あんまり声大きいと聞こえちゃう」
言いながら今度は、右京の口に、その大きい手を当てがった。
「口、苦しくしないから、押さえていい?右京、自分でやっても気持ちよくなるとすぐ外れちゃうから…」
永月が優しく微笑みながら、それでもしっかり右京の口を塞ぐ。
その上でもう一つの手で股間のソレを容赦なく刺激する。
「すごい、先、濡れてるね……?」
言いながら再度、耳を舌が犯す。
「気持ちいいの?右京……」
「……んん……ンんっ」
声も、息も、永月の指に吸い込まれていく。
ちゃんと鼻から息は出来るはずなのに。
苦しい……。
苦しい……!
下半身から広がる熱が全身を溶かす。
足に乗られているため、動くこともできず、口を抑えられ喘ぐこともできず、熱は股間に溜まり、必死に我慢している欲は、目から涙となってあふれ出てきた。
「イきそう?」
永月が耳に舌を這わせたまま言う。
「……んん……ん、んん―――っ」
右京は瞳を開け、潤んだ瞳で、必死に永月を見つめる。
「かわいい……。イッていいよ、右京……」
下半身から、自分から漏れ出た液体で嫌らしい音が聞こえてくる。
太腿が痙攣する。
手の動きが、強く、激しくなる。
「んっ、んん…!ん……ンんん!!」
右京は自分の口を抑えている永月の手を握った。
「んんん……ッ!!」
右京は永月の手の中に、熱すぎる自分の欲望を吐き出した。
永月の長い指の間から荒い息をつきながら、右京は彼を見上げた。
「――――」
永月は少し眉を下げて、右京を見つめている。
そして右京の呼吸が収まると、そのまま手の中に吐き出した右京のソレを、トロリと指先に移動し、今度は右京の後ろの方に指を滑らせた。
「―――んんっ!?」
力が入る右京の身体を押さえつけるように、永月が体重をかける。
ただ片足は下から膝を入れられ、強制的に上げられる。
「………ん…!」
足を片方上げられたことで、股間と臀部が突き出されるような格好になる。
短パンとさらにボクサーパンツは履いているものの、恥ずかしくて顔が熱くなる。
しかし永月はお構いなしに、手を臀部に滑らせると、その中心に指を突き立てた。
「んんっ!?」
身体が跳ねる。
自分の液体を付けた指先が中をこじ開けるようにして入ってくる。
「んフっ!…んっ、…ン…」
その圧迫感に腰が逃げようとする。
口が永月の熱い手から逃れようとする。
でも永月は許してくれない。
どんどん奥へ指先を伸ばしていく。
「――――っ!!」
右京の身体がひときわ高く跳ねた。
―――なん…だ、今の……!?
「……ここ?」
永月が耳元で囁きながら、ソコをぐりぐりと引っ掻くように刺激する。
「んんっ!ふ……!ンん……!!」
そうされるたびに身体が痙攣する。腰が浮く。
「……気持ちいい?」
永月が目を細める。
「……右京のすごく気持ちいいここ、俺ので突いていい?」
言いながら自分の短パンをずらし、右京のものと比べ物にならない大きさのモノを引き出した。
「…………!」
「いいよね?」
右京の口に当てた手を緩めないまま、永月は右京のハーフパンツも膝までずり下げた。
むき出しになった臀部に自分のものを宛がう。
―――挿れられる……。
右京は潤んだ目を見開いた。
永月と、本当に、セックスするんだ……。
こんなに嬉しいことはないじゃないか。
それなのに―――。
どうして―――。
……あいつの顔がチラつく?
「俺を受け入れて……」
永月が吐息と共に囁き、腰に力を入れる。
押し付けられた圧迫感が挿入される違和感に変わる。
―――嫌なわけじゃない。
嫌なはずがない。
でも。
俺の初めての相手は―――。
あいつだと思っていた……。
挿ってくる恐怖感と、違和感と、快感に、つま先がシーツを引っ掻く。
「………全部、入ったよ……」
永月がそう囁いた瞬間―――。
右京の瞳から、涙が一粒こめかみに流れ落ちた。