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―Episode 9―
翌朝。校内の掲示板前には、ざわつく生徒たちの姿があった。
ザワ…ザワ……
生徒A)「ついに出たな、演習の選抜メンバー……」
生徒B)「やっぱあの人たちは当然として、意外な名前もちらほらあるな……」
その場に、くれなの姿もあった。貼り出されたメンバー表に目を走らせる。
【第13回 特別演習・選抜メンバー(1年生枠)】
・モトキ(B+)
・シルク(A+)
・くれな(B+)
・ザカオ(B-)
・アリス・マーガトロイド(A+)
・古明地さとり(A+)
・緋月 蒼(B+)※回復
・ンダホ(A-)
・久遠疾風(B-)※影を纏う程度の能力
・ヒイラギレイ(A-)※石生成
くれな)「……うわ、本当に選ばれた」
モトキ)「お、いたいた。な?言ったろ?お前はもう注目枠だって」
シルク)「演習って言っても、ほぼ模擬戦トーナメントみたいなもんだからな〜。これでどれだけアピールできるか勝負よ」
くれな)「アピールって……体育祭じゃないんだけど」
シルク)無料で戦闘練習出来るようなもんだぞ()
くれな)「えぇ!?戦闘演習…?」
くれなは思わず声を上げてしまう。周囲の生徒たちもどこかワクワクした顔をしている。
モトキ)「お、戦闘演習か!面白そうだな、やりたい!」
シルク)「異能を生かすチャンスだな!」
くれな)[いやいやいや、無理無理無理無理…私は戦闘なんてできないよ…]
くれな)[本当に無理だってば…でも、もし強制だったらどうしよう…]
くれなは心配そうな顔をしていたが、他の生徒たちは楽しそうに話しながら戦闘演習の話に盛り上がっている。
シルク)「くれなも参加しないのか?君、あの振動弾は結構ヤバいって思ったんだが」
くれな)「あれはただの…まぁ、えっと…思いっきり振動させただけだから…」
シルク)「マジであれ、すげぇよ。戦闘向きの異能だと思うけどな。参加しようよ、絶対楽しいって」
くれな)「あ、あの、私は…戦闘とかあまり得意じゃないんで…」
モトキ)「でもさ、戦わなきゃ自分の能力の限界とかも分からないし、試してみるのもアリじゃない?」
くれな)[いや、そんなことしたら絶対ビビって失敗するって…]
くれな)「うぅ…そう言われると、少し心が揺らぐ…」
その時、隣に座っていたンダホが声をかけてきた。
ンダホ)「くれなちゃん、怖いの?」
くれな)「えっ!?あ、いや…怖いわけじゃないけど…」
ンダホ)「僕、怖いこととか平気だよ!だって、異能を使うのって楽しいしさ!あ、圧縮系だから、物を縮めたり圧力かけたりするの、面白いんだ!」
くれな)「圧縮…って、どうやって使うの?」
ンダホ)「例えばね、このペットボトルをちょっと圧縮してみると…ほら、こうやって簡単に小さくできるんだ。力加減を調整すれば、何でも圧縮できるんだよ。」
くれな)「おぉ…すごい!でも、ちょっと怖いな…」
ンダホ)「うん、ちょっとした調整が必要だけど、それも面白いんだ!お前も、やってみればいいのに!」
くれな)「やってみるって…私はあなた達みたいにすごい能力じゃないの。」
モトキ)「でも、何か面白い結果が出るかもよ?」
くれな)「そんな…私は別に能力を戦いに使いたくないし…」
その時、教室の扉が開かれ、佐藤先生が再び入ってきた。
佐藤先生)「皆さん、すみませんが、あまり特別演習に選抜された生徒に行きなよ!行きなよ!というのはやめてあげてください。あくまで本人の意思なので。」
くれなはその言葉を聞いて少し安心したような表情を浮かべた。
くれな)「あ、よかった…強制じゃないんだ…」
モトキ)「おっと、そっか。無理に参加しろって言ったわけじゃないけど、くれなも面白いと思うんだけどな〜」
シルク)「まぁ、無理なら仕方ないけど、ほんとに楽しそうだし、あの振動弾をもっと使いこなしてみたらどうだ?」
くれな)「いや、振動弾はあくまでちょっとした応用だから…本当に戦闘には使えないよ…」
その時、他の生徒たちの声が耳に入ってきた。
生徒C)「でもさ、くれなちゃんも選ばれたんだし、やっぱり少しは参加してみたらどう?」
生徒D)「あれだけの能力を持ってるんだし、参加して無駄にはならないと思うよ?」
佐藤先生)特にシルクさん達?さっきもいった通り本人の意思に任せるんです。あまりそういうことを言うのはやめてください。あんまり言い過ぎると普通にぶっ飛ばしますよ?
シルク)わーお…
佐藤先生)ふぅ…みなさんは話してる時に相手の顔は伺っていますか?
佐藤先生)皆さんは、相手の意向を確認してから言葉を掛けることを心がけなさい。強制ではなく、お互いの意思を尊重することが大切です。今、くれなさんは相当嫌そうな顔をしていました。何を話していたかは言えませんが。
くれな)[バレたー!?佐藤先生エスパーかよ!?]
佐藤先生)「それでは、今日で演習に関しての詳細を全て皆に伝えます。今日で全部覚えてください。メモ取っていいので。明日クラスを見て、一人でも演習の話題で嫌そうな顔をしていたら演習の話題話すの禁止にします。」
シルク)「あー、すみませんでした!くれな、無理に参加しろって言ったわけじゃないんだけど、つい…」
モトキ)「ほんとに、くれなが嫌だったなら、俺たちも気をつけるよ。」
佐藤先生)「それでは、演習についての詳細を伝えます。まずは、日程です。演習は来週の金曜日に行われます。それまでに、自分の能力をどう活かすか、戦う時の戦術を考えておいてください。」
モトキ)「わかった!じゃあ、俺ももっと練習しないとだな!」
シルク)「おっと、俺も気合入れていこうっと!」
佐藤先生)….B地点へTP…
佐藤先生が後ろの黒板に何かを書いている…
〝話を聞いている時は静かに。いちいち反応しないではい。とだけ言う。〟
佐藤先生)A地点。
佐藤先生が前の黒板にテレポートした。
先生の能力便利すぎワロタ((
佐藤先生)後ろの黒板に書いてある事を実行してくださいね。
生徒たちはその指示を一斉に確認し、しばらく静かな空気が流れた。佐藤先生の能力の便利さと、冷静さに改めて感心する生徒たち。
佐藤先生)演習は来週の金曜日です。演習中に他の生徒が手助けするのは禁止ですが演習後、能力で回復等をするのはOKです。1年生は演習にでる方が10人なので5対5で戦います。今から校庭で練習するもよし、相談するのも良いです。それでは今から30分間。スタート。
シルク)「それにしても、来週の金曜日か…。いよいよ本番だな。」
くれな)「うぅ…本当に大丈夫かな、私…。戦闘演習…」
くれなはまだ心配そうな顔をしていたが、周りの生徒たちはすでに自分の戦術を考え始めている様子だった。
ンダホ)「くれなちゃん、そんなに心配しないで!きっと面白いことになるよ!」
くれな)「うーん…でも、私、戦闘なんて…」
シルク)「いや、くれなの能力なら、振動弾をうまく使えば十分戦えるだろ。なんなら、最初はその場を避けるだけでも十分だし。」
モトキ)「そうだよ。戦わなくても、どんな戦術を使うかで差が出るんだから、参加しない理由がないって!」
くれな)「でも、戦わないってわけにはいかないんじゃ…」
その時、佐藤先生がくれなの前で再び口を開いた。
佐藤先生)「まぁ、無理に強制するつもりはありませんが、戦闘を避けるだけでは、逆に自分の能力を最大限に活かせなくなります。どうしても嫌な場合は、無理せず見学に回るのも一つの手ですよ。」
くれなはその言葉に少しだけ安心したように肩の力を抜いた。
くれな)「見学かぁ…。でも、やっぱり少し怖いし、見学でもいいかな…」
シルク)「まぁ、何があってもいいように準備だけはしておけよ。せっかく選ばれたんだし!」
モトキ)「その通り!自分の力を試す機会はそうそうないからな!」
くれな)ゔ…う、うん…分かった…はぁ…
モトキ)「おい、くれな。あまり無理するなよ。お前がどうしてもやりたくないなら、無理にやらなくてもいいんだぞ。」
シルク)「でも、無理して参加しないのも後で後悔するかもしれないぜ?やりたくない気持ちも分かるけど、どうせなら自分の可能性を試してみた方が楽しいよ!」
くれな)過度な期待とプレッシャー….すぎるぜよ…
くれな)「どうせなら自分の可能性を試してみた方が楽しいよ!」って言われても…普通に絶対参加したほうがいいって言ってるようなもんじゃん…うちはみんなが思ってるような戦闘狂じゃねぇんだわ…私は本当はあまり参加したくないし…そう言われると更にプレッシャー感じる….あぁ…もう嫌になってきたんだけど…はぁ…
くれなは心の中で言っていたつもりだったが普通に言っていたらしい。
シルク)「あ、えっと…今のは本音だったのか…?」
モトキ)「うわ、くれな…正直すぎるだろ!」
くれな)あ゙ー?悪いけど今の時間は話しかけないで。ちょっと機嫌わるいわ。
モトキ)「……あっ、え、うん、ごめん。ちょっと軽率だった。」
シルク)「モトキ、マジで今のはタイミング悪かったな……くれな、ごめん、ちょっと俺ら配慮足りなかったかも。」
くれな)別に。大丈夫。
くれな)先生…校庭行ってきます。
佐藤先生)「……はい、分かりました。無理はしないようにしてくださいね。」
くれな)ありがとうございます…