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司祭の呻き声が続く中、レイスは冷徹にその目を見据えたままだった。血の支配が強化され、司祭の体は完全に動かなくなった。
「お前の命は、ここで終わりだ。」
レイスの声は、まるで冷たい刃のように響いた。その言葉に恐怖を感じたのか、司祭は必死に口を動かすが、血の霧に覆われた喉では何も言えない。
その姿を見て、萌香は一歩後ろに下がる。レイスの冷徹さに、言葉が出なかった。
「誰が、こんなことをさせた。」
レイスは再び司祭に問いかけるが、司祭の口からはただの呻きが漏れるだけだった。
「……鈍いな。」
レイスは再度血の霧を集め、さらに圧力を強くする。司祭の体が歪み、苦しむ様子が見て取れる。
「命を奪って、俺が聞く番だ。」
その言葉を耳にした司祭は、ようやく目を見開いた。だが、その目に宿るのは、絶望と恐怖しかない。
「お願い、許してくれ……」
司祭が必死に命乞いをする。その瞬間、レイスは一瞬だけ手を止め、じっとその顔を見つめた。
「許す?」
レイスは冷徹な表情を崩さず、再び低く笑った。
「俺にそんな義務はない。」
その言葉を終わらせるように、レイスは指を一振りする。
血が司祭を包み込み、瞬く間にその体を引き裂く。
司祭の絶叫が響くが、それもすぐに霧の中に呑み込まれ、音を立てて消え去った。
数秒後、静寂が訪れる。
レイスは冷静にその場を見渡し、満足げに吐息を漏らす。
「無駄な命は、こうして消える。」
その視線は萌香へと向けられた。彼女の目には、わずかな動揺があったが、レイスは気にする様子もなく、平然と立ち上がった。
「教会の連中が何をしたかは知らないが、死に意味があるとは思えない。」
萌香はその言葉に驚きつつも、レイスの決断を無意識に受け入れる。
「でも、レイス……こんなこと……」
「気にするな。」
レイスは軽く手を振り払うように答える。
「生きる価値もなかった。」
そして、レイスはそのまま後ろを向き、歩き始める。
「次は、あの男の番だ。」
その言葉に、萌香は思わず振り返る。
レイスの視線が、すでに次のターゲットを見据えていることに気づいたからだ。
それは、まるで彼の中に何かが目覚めた瞬間のようだった。
あの司祭の命を奪った瞬間、レイスは何かの「境界」を越えたように見えた。
そして、萌香はその後ろ姿を見ながら、何とも言えない感情が胸に込み上げてくるのを感じていた。
彼の冷徹な一面と、その中に潜む深い闇。
そのすべてが、萌香には理解できないが、確実に彼が自分たちの運命を握る存在であることだけは分かっていた。
次なる戦いが、すぐに訪れることを予感しながら─