「明日はきっと覚えてないから」
「ぅぇのやまくん…、」
時計は深夜2時を回った。静まり返った部屋に真冬の声が溶ける。
「そんな格好で寝たら風邪引くぞ、」
襟が伸びた薄いスウェットから除く白い肌を隠すようにブランケットで包む。
「お前ら、遠慮とか無いの」
柊は完全に酔いが回り、玄純の膝の上ですやすやと小さく寝息を立てていた。その柊を俺の物だと言うように慣れた手つきで玄純が撫でる。こいつらこそ遠慮はどうしたのか。
「お前、そんな状態の柊どうやって風呂入れるんだよ」
今日は時間も時間な事もあり、玄純と柊はうちに泊まることにしてもらった。
「こいつ、寝るのも早いけど起きるのも早いから。平気」
「あっそう、相変わらずだな」
机に置かれたコップ一杯の水を勢いよく煽る。今日は音楽の話で盛り上がり、少し飲みすぎてしまった。これは自分も真冬も明日は出かけられないな、と思い席を立つ。
「じゃ、俺風呂入ってくるから」
「真冬と一緒じゃなくていいのか」
「真冬は寝たらしばらく起きないタイプなんだよ。俺終わったらお前ら先入っていいよ」
「なんで一緒に入る前提なんだ」
玄純もコップの水を飲み干すと、まあ入るけど、とだけ言い柊を置いて廊下へ出た。
⟡.·
「風呂あがったから、入っていいぞ」
「お、サンキュー」
風呂からあがると、玄純の言う通り柊は既に起きて追加のつまみを開けていた。
「じゃ、シズ入ろーぜ」
食べかけのつまみを置いてどたどたと部屋を出て行く。
「いや、片付けろよ…」
グラスやらつまみやらを片付け、机を拭く。机の横で小さく肩を上下させる真冬を起こさないよう、慎重に。
ある程度片付けが終わり真冬の隣に腰を下ろす。ほんのり赤く染まった頬を撫でると、小さな犬のように擦り寄ってくる。
「来週からまた予定詰まってるからな…、あんま無理させたくねえけど、」
「ん…、」
真冬の肩が触れる。少しずつ伝わってくる温かさと幸せに目を閉じる。
コメント
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短いです。今はりつまふに狂わされてるので、りつまふ多くなるかもしれないです