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私の一日は、まるで時間割りのようにきっちり決まっている。
6:30、起床。小学生のころからずっと同じ時間に起きているので身体が覚えてしまったのか、夜どれだけ眠れなかったとしても、朝になるとスマホのアラームか鳴る前に自然と目が覚めるようになった。
起きたらすぐに制服と通学鞄を持って部屋を出て、洗面所の横を通るときに制服を衣装ケースの上に、鞄はリビングの入り口に置いておく。トイレを済ませたら洗面所に戻って、さっと顔を洗い、適当に寝癖を直す。
前は寝癖なんて気にもとめなかったけれど、バイトを始めてからは最低限の身だしなみは整えなくてはいけないかなと思うようになった。と言っても、顔を洗うついでに濡れた手でぱぱっと撫でつけるくらいだけれど。
今日の寝癖はなかなかしつこい。
6:35、パジャマを脱ぎ、洗濯のかごの中の汚れ物をまとめて洗濯機に投入。洗剤と柔軟剤を入れ、漂白剤を入れ、スタートボタンを押す。制服に着替える。
6:40、台所に移動して、ふたり分の食事を作る。私の朝ご飯兼お父さんの晩ご飯。メニューはだいたい毎日同じようなものばかりだ。ご飯に味噌汁、玉子焼きとほうれん草のおひたし、炒めたウインナーと焼き魚。あとは海苔の佃煮や納豆、漬物などを冷蔵庫から出すだけ。見た目や栄養バランスよりも、とにかくさっと用意できることと、傷みにくいことが最優先だ。
ふたり分の皿に盛りつけ終わったら、余ったおかずは弁当箱に詰めていく。
6:50、朝ご飯を食べる。終わったら、食器を洗う。そのあとお弁当の粗熱がとれているのを確認して、蓋を閉めて保冷剤と一緒にランチクロスで包み、通学鞄の中に突っ込む。
7:05、洗濯機のブザーがなったら洗面所に行って、洗濯物をかごに移す。濡れた服って、どうしてこんなに重いんだろう。ベランダに移動して、物干しざおにかけていく。
毎日まったく同じ時間に、まったく同じことをしている。時計を確認しなくても、何も考えなくても、身体が勝手に時間をカウントして、勝手に行動している感じだ。
ときどき、ふと、ロボットの中にいるみたいな気分になる。一日の動作すべてがプログラムしてあって、自動で次々に動いてくれるロボット。私はそれを操縦する必要もなく、ただぼんやり座っているだけでいい。何にも考えなくていい。
すべての家事と身支度を終えると、家の中から音がなくなる。
耳がいたい。軽く頭を振ってから、静寂を振り払うように、シャッと音を立ててカーテンを閉めた。
7:15、火の元と戸締まりを確認してから、家を出る。アパートの駐輪場にある自転車にまたがり、最寄りの青南駅に向かってペダルを漕ぐ。けっこう飛ばすので、髪やスカートがばさばさと風に踊る。
7:30、駅の駐輪場に自転車を置き、定期で改札を通り抜ける。三番ホームに行き、下りの準急に乗る。満員電車というほどではないけれど、基本的に空席はない。吊り革にぶら下がり、窓の外を流れる景色をぼんやりと見つめる。
7:50、瀬山駅で電車を降りて改札を出ると、同じ制服の人たちの波にのって、高校に向かう一本道を歩く。