私情により遅くなってしまい本当に申し訳ないです。
注意事項は前回同様です。
🍌side
🍆「ごめん、俺から、1個話したいことがあって」
静かな病室に優しく響く声。
いつもはサングラスでわからない視線。
今だけは自分に向けられているとはっきりわかる。
🍌「……なん、ですか」
話したいこと……。
聞き返すのも怖くて声が強ばる。
彼がいう「話したいこと」に心当たりがありすぎて分からない。
🍆「俺、おんりーチャンのこと傷つけたよね。」
🍌「……、!」
頭に浮かんでいたどの心当たりとも違うもの。
驚きで顔をあげると、すぐに目が合って。
……何故か逸らす気にはならなかった。
🍆「……ごめん。」
🍌「…、なんでぼんさんがあやまるんですか、」
ぼんさんが悪いわけじゃない。
恋に溺れて、勝手に傷ついて、挙句の果てには倒れて。
迷惑をかけたのは自分の方だ。
🍆「俺、昔から人の気持ち読み取るのが苦手でさ、」
🍌「…そうなんですか」
初めて知ったけど、貴方らしいかもしれない。
🍆「いつも自分だけで精一杯で、よく周りからも注意されてた。」
🍌「……」
🍆「今回だって、おんりーチャンの気持ちも読み取れてなかったし、おらふくんだって…」
🍌「……!」
おらふくんとぼんさんの間に何かあったのかな。
自分が知らないやり取りが、いつの間にか。
🍆「おらふくん、雨の中すごい勢いで走っておんりーチャンの家行ってて」
🍌「!……あの時服濡れてたのは……そういうこと、か」
🍆「……あー、やっぱり濡れていったんだ。」
途切れ途切れだった出来事が、自分の中で繋がっていく。
おらふくんの真剣で必死な表情が、脳に蘇る。
🍆「ゆっくりでいいから聞いてね。」
🍌「……?はい」
見つめ直された、感じがする。
普段とは違う真剣な表情に、小さく息を飲む。
🍆「今日やっと気づいたんだけど、俺、自分の気持ちすら見て見ぬふりしてた。」
🍌「……?」
🍆「おんりーチャンが倒れたってドズさんから聞いて、ほんとに目の前が真っ暗になった感じがしてさ、」
🍌「……、」
🍆「気づけたのは今だけど……。ずっと前から───」
僅かな沈黙。
彼が一瞬俯いた後、顔をあげる。
もう一度目が合って、鼓動が早まる。
そっと開いた口から言葉が紡がれた。
『……俺、おんりーチャンのことが好き。』