暑い中、右足で地面をミシミシを踏んではまた左足で地面を踏む。今日はなぜか機嫌が悪い。なんだか落ち着かない訳ではないのだが、とても嫌気がさして仕方がないのだ。そう思いながらも後ろを振り返る。やはり、あるのは私が歩いてきた道と乱暴に積み上げられたダンボールのみだった。
気味が悪い。
そう思いながらまた前を向き、右足から歩き始めた。
しばらく歩くと東の町に付いた。何度かは来たことはあるので、別に観光しようとも思わなかったが今回はすこし歩くことにした。
歩き始めて30分後、もう辺りは暗かった。月の光がいやで仕方なかった。そう思いながらも誰も居ない公園で歩いているとき、後ろに気配がした。急いで後ろを振り返っても誰もいなかった。おかしいなと思いながらきょろきょろしていると…
「ま え だ ぜ」
そんな声が前から聞こえた。びっくりして前を向くと、誰も居ないはずの公園に一人、私と同じぐらいの年の少女が突っ立っていた。おそらく、まえだぜといったのもこの少女だろう。
「やっと気づいたか」
と少女は言い、また口を開いた。
「よぉ お前さんは何処からきたんだ?」
少女が良くわからない話をしだすので、こちらから話を持ち出す事にした。
「貴方は誰?私は幸。よろしくね」
私はニッコリ笑ってみせた。それに彼女は驚いたようでしばらくきょとんとしていだが、すぐに表情を変えた。
「私は非道だ よろしく」
彼女はそういい手を前に出してきた。多分握手をしようとのことなのだろう。私は彼女の手をとり、
「なにか目的があってここにきたの?」
と問いかけた。
「あー…無いと言えば嘘になるのだが…」
彼女は私から目を逸らしてそういった。私は反応に困ったが最適はこの言葉だと思い、実際に言ってみせた。
「言えないなら全然平気よ。少し歩きながら話そうよ」
彼女は「そうだな」と受け入れてくれた。
「なぁ ここは何処なんだ?」
彼女は思わぬ質問をしてきたのでつい笑ってしまった。
「ここはね 東町の公園だよ 誰も居ないことが多いから一人になりたいときとかによく寄るよ」
彼女は自分で聞いてきたのにへぇと興味がないような返事をした。
「貴方は何処からきたの?」
私はずっと気になっていた事を質問した。服装もそうだが明らかに私が住んでいるところではあまりしない格好をしているため、気になってきたのだ。
「あー…まぁ強いて言えば…別世界かな」
意外な言葉に私はびっくりして尻もちをついてしまった。
「別世界!?」
「あぁ、そうだ」
当たり前のように放つ言葉が一つ一つ良くわからない理由がやっとわかった。
「私はな世界を破滅させる組織、まぁ正規に言えば世界を乗っ取ろうとしている組織だがな。まぁ…その組織に入ってる…いや…入れさせられたんだったな。」
話をまとめると、ひどうの世界は沢山の異世界を乗っ取ろうとしているらしい。ひどうはその組織の一員だが、どうもそれが気に入らないらしい。なぜならそのせいでお姉さんは亡くなってしまった。葬式すら行われず、任務をこなせなければ殺される。暴力と洗脳でできたこんな世界を誰が望んでいるんだ、と。
「ハハ…こんな優しくされたの久しぶりだぜ。そしてこの平和な世界を壊す気なんてもう消えちまった。じゃ、私は帰るな。気分が楽になった」
「────まって」
気づいたら、私は無意識に非道を止めていた。
「このまま帰ったら殺されちゃう。ひどうには死んでほしくない…」
「そうか…」
なら…!
「それは無理だな」
「へ?」
「私が帰らなければ、この世界は私と共に消える。私が帰れば、まだ私が死ぬだけで済むかもしれない。それに私に友達なんていない。悲しむ人なんて、もう居ないんだ」
私にはわかった。死にたくない、まだ行きたいと思う気持ちが非道の中にはあること。そして…この世界で暮らしてみたいと思うこと。
「非道、私と一緒にその世界を止めよう。」
「───は?」
「まだ助かるかもしれない。諦めないで少しでも進むことが大切だよ。私達が、みんなで力をあわせればその世界を止めることだって可能かもしれない。だから…だから行かないで…」
頬を何かが伝う気がした。じきに涙だと気づいたが、それどころじゃなかった。
「まだ会ったばかりだけどさ…一杯遊んだじゃん。だから私達、友達…いや…私達は親友、ベスト親友だよ!」
彼女は目を大きく開き、静かに閉じた。
「そうだな…わかった。一緒に止めよう。」
「本当!?」
私は非道に抱きついた。もう、自分を捨てさせないために。
「ありがとよ 幸、おかげで大事なことに気づかせてもらった。本当に感謝している」
「非道──」
「その名前で呼ばないでくれ」
彼女は悲しそうな顔をしていった。
「ならさ…リンドウって言う名前はどう?」
彼女は一瞬驚いた顔をした
「リンドウって花の名前なんだけどね。花言葉は勝利、正義感なの。丁度いいでしょ?」
「リンドウ…いいな。ありがとよ」
彼女…リンドウそう笑っていた。心の奥底から笑っていた、気がする。
リンドウは満足したように来ていた白いファーがついたジャケットを川に脱ぎ捨てた。
「え?いらないの?」
リンドウは嗚呼と言わんばかりに頷いた。
「もうあれは私には必要ない」
リンドウはそれだけ言って歩き始めた。幸せだな…そう思いながら、私はリンドウ後をついていった。
暗かった道も月に照らされて、とても綺麗に見えた。
めっちゃ長くかいた〜…頑張ったぜ☆
コメント
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ストーリー性があり過ぎて 考察が捗る捗る… ふふふ…素晴らしく馬鹿らしい提案だけど それでリンドウが嬉しい、 って気持ちになれる。 それだけでリンドウの救いになれたなら 幸は嬉しいね!!