「個性華」
それは一人一人が生まれた時、左腕に彫刻の様に花が刻まれているもの。
一人一人違っていて、色によって地位がある。赤色は下層、黄色は中層、青色は上層だ。それぞれ赤華(せきか)、黄華(おうか) 、青華(じょうか)と呼ばれる。人数は赤華が全体の間1割、黄華が7割、青華は2割に満たないほどだ。上層位になるほど人間的能力も上がっていく。
花の色は遺伝する事が99.999%だ。
そう。0.001% はそうではない。
これはその0.001%の不運な女の物語だ。
1話.個性華
16xx年、西国の国王の元に1人の女の子が生まれた。国内はお祝いムードとなるはずが何も起きなかった。その理由は女の子が産まれたことが城の一部関係者にしか知らされていなかったのだ。
国王夫妻、両者とも青色の花が刻まれ、王妃にはネモファラ、国王には、リンドウの花が。だか、女の子の右腕には、真っ赤なアネモネが。
国王はデネガー家の権威を守るため、その女の子を地下牢に閉じ込めたのだった。
女の子の名はファネット・デネガーと名づけられた。
「はぁ」
「いつ出られるのかしら」
いつも同じ景色。
いつも同じ日。
朝起きて、与えられたご飯を食べ、薄々汚れた布団で夜を過ごす。唯一の生きる意味といえば本を読むくらいだ。最近読んだのでは第4の個性華の色を持って生まれた女の子が魔法が使える様になると言う話だった。第4の色は…黒の様な赤だったな?まぁいい。ここから出られないのは試みる前から知っている。
赤華の人間は上の人間に逆らってはいけない。しっかり理解している。赤華の人間が生きられる条件は、・上の者には逆らわない。・理不尽な事も長い目で見る。・本心を口に出さない。この3つが必要だ。
分かっている。赤華の人間は身体障害者が多く、そうではない場合でも何らかの異常があるのだ。分かっている。立場が弱いのだ。だが、私にはそう言った異常は見られない。でもそんなわけ無いのだ。そうだ。何か異常がある。
そろそろ寝よう。
ん?
なんだこの焦げ臭い匂いは?
上だ。
ガチャガチャガチャガチャ
「おいお前らも上がれ!」
「上で火事だ!!」
1話 終
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