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朝の登校で湊に振り回されたせいか、私はなんだかソワソワした気持ちのまま教室に入った。
すると、すぐに悠斗が私に気づいて、ふわっと優しい笑顔を向けてきた。
「せりな、おはよう!昨日はちゃんと寝れた?」
「えっ?あ、うん。寝れたよ?」
悠斗はいつも通り爽やかで、話しているとなんだか落ち着く。昨日初めて話したばかりだけど、もうすでに友達って感じがする。
「そっか、よかった!昨日、せりな初日だったから疲れたかなーって思ってさ。」
「え、優しい…!」思わずポロッと口に出してしまう。
悠斗はちょっと恥ずかしそうに笑って、「いやいや、普通でしょ。あ、席つく前にちょっといい?」と私を呼び止めた。
「ん?」
「昨日、みんなで自己紹介したじゃん?でも、ちゃんと話せなかったからさ、これ。」
そう言って悠斗は、小さな紙を私に渡してきた。
「え、なにこれ?」
「俺のLINEのID!せりな、まだクラスのグループ入ってないでしょ?だから、よかったら追加して!」
「え、いいの!?ありがとう!」
私は思わず嬉しくて笑顔になった。悠斗、ほんとに優しい…!
すると、そのやり取りを見ていた湊が、すぐ隣からボソッと冷めた声を出した。
「…へぇ。」
「え?」
「あっという間に男とLINE交換かよ。さすがモテ期。」
私は一瞬ムッとして、湊を睨む。「何それ?別に普通でしょ?」
湊は少しだけニヤッとして、「ま、俺は興味ないけど。」と適当に言いながら、自分の席に座った。
…いや、絶対なんか言いたそうだったよね?
悠斗はそんな湊をチラッと見たあと、優しくフォローするように言った。「湊はツンツンしてるけど、悪いやつじゃないから、気にしないでね。」
「うん…まぁ、慣れてきたかも。」
正直、気にしてないって言ったら嘘になる。湊の態度、さっきの一言、なんでちょっと引っかかるんだろう。
**—昼休み—**
昼休み、私は紗菜と一緒にお弁当を食べていた。悠斗も一緒で、みんなで楽しく話していたんだけど…。
「せりな、好きな食べ物って何?」悠斗が何気なく聞いてきた。
「え?うーん…オムライスかな!」
「へぇ!じゃあ、今度作ってきてあげようか?」
「え、ほんと!?悠斗って料理できるの?」
「うん、まあね。母さんが仕事忙しいから、ちょっとした料理はできるんだ。」悠斗は照れたように笑った。
「やばい、悠斗、めっちゃいい男じゃん…!」紗菜がこっそり私の耳元で囁く。
「わかる…!」私は小さく頷いた。
すると、突然後ろからスッと誰かが近づいてきて、私のお弁当の卵焼きをヒョイっと取った。
「えっ!?ちょっと!」
「オムライス好きなら、卵焼きも好きなんだろ?」
…湊。
「いやいやいや!勝手に食べないでよ!」
「味見してやっただけ。ま、普通。」湊はニヤッとしながら言って、すぐに自分の席に戻っていった。
「…あいつ、マジで何?」私は呆れながらも、なんだか胸がドキドキしてしまう。
悠斗は苦笑しながら、「湊、意外とそういうことするんだな。まぁ、仲良くなってきた証拠かも?」と言ってくれたけど、私としてはもう、湊の行動が謎すぎてわけがわからない。
**—放課後—**
帰り道、悠斗と一緒に歩いていたら、「送っていこうか?」と優しく言ってくれた。
「え、いいの?でも悪いよ!」
「いいって!せりな、引っ越してきたばっかで、まだこの辺の道とか慣れてないでしょ?」
「確かに…!じゃあ、お言葉に甘えようかな?」
悠斗と並んで歩いていると、なんだか安心する。この人、ほんとに優しいな…。
すると、不意に後ろから誰かが近づいてきた。
「お前ら、仲良しだな?」
その声に振り向くと、湊がちょっとムスッとした顔で立っていた。
「え、湊?」
「へぇ~、悠斗がせりなを家まで送るんだ?」
「え、別に普通じゃん?何?」私は湊の態度が気になって、思わず言い返してしまう。
湊は少しだけ目を細めて、「…別に。」とだけ言って、ふいっと顔をそらした。
…なんか、いつもの湊っぽくない?
悠斗はちょっと苦笑いしながら、「湊も一緒に行く?」と声をかけた。
「俺は別に。」
そう言いつつ、結局ずっと後ろをついてくる湊。
なんなの?なんか機嫌悪くない?
悠斗が優しくしてくれた日なのに、湊の態度が妙に気になってしまう。
私はふと、自分の胸に手を当てて、小さくため息をついた。
…これって、もしかして。
いやいやいや!違う違う!私はただの隣の席の子!これは、ただの偶然!
…なのに、なんでこんなに気になっちゃうんだろう。