第二十三話:試練の扉と選ばれし者の証
試練の刻印が輝きを増したその瞬間、遺跡全体に静寂が広がり、風が止んだ。リュカたちはその場に立ち尽くし、まるで時間が凍りついたかのような感覚に囚われた。
「この扉……ただの門じゃない。」
セラがそっと紋様に触れると、青白い光が流れ始めた。紋様はまるで生きているかのように動き、リュカたちの存在を認めるかのように輝きを放つ。
ゼノが低く唸る。「この魔法の流れ……大昔の記憶を司るものか。試練とは、ただの力の試しではない。」
ノクタが静かに扉の前に歩みを進める。「俺たちがこの先に進む資格があるかどうかを問うためのもの……そういうことか。」
すると、扉の中心に刻まれた星の紋章が淡く揺らぎ、一つの問いが彼らの心に響く。
——汝の願いは何か?
リュカは息を飲み、仲間たちと視線を交わした。
「俺たちはただ星を救ったわけじゃない。願いそのものが運命を導くことを知ったんだ。」
セラは静かに微笑みながら頷く。「だからこそ、この扉は私たちに問うのね……私たちが何を願うのかを。」
ゼノの目が鋭く光る。「選ばれし者とは、ただ強き者ではなく、願いを持つ者のことだ。この試練を超えるのは、己の願いを示せる者だけ——。」
ノクタは扉にそっと手を置く。「……俺の願いは、運命に囚われないこと。もう過去に縛られるつもりはない。」
リュカもまた扉に手を伸ばす。「俺の願いは、未来を創ること。星を導き、新たな世界へと進むこと。」
すると、扉が光を強く放ち、その紋様が回転を始める。試練の刻印が完全に覚醒し、扉がゆっくりと開かれた。
「進める……!」
扉の先には、新たな世界への道が広がっていた。未知なる魔法の輝き、そして眠る運命の秘密——リュカたちは、その先へと歩みを進める。
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