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登場人物
主人公【海月 優弦】ウミツキ ユズル
友達【暁 志弦】アカツキ シズル
優弦の関係者【星生 璃舞】セイリュウ リム
(璃舞)「優弦、何で僕の事を避けるの?」
「…お前が一番、分かってるだろ。」
「忘れてる訳が無いよな?お前が、俺に…無理やりした事…ッ。」
(璃舞)「でも、優弦さぁ。彼れ、本気で対抗してないよね?」
「本当は、満更でもなかったんじゃないの?」
「そんな訳無いだろ!」
(璃舞)「でもさぁ、好きなんでしょ?〝俺〟の事。」
「優弦、言ってくれたじゃん。」
「俺の事——————。」
「やめろッッ!!!!」
「ハッ、ハッ、ハ…ッハ……ッ。」
最近、悪夢の鮮明度が上がって来ている気がする。何時もこんな風に起きていると、寝るのが嫌になってくる。璃舞から、編入学試験の話を聞かされてからと言うもの、日に日に、俺の中の、不安と焦りと、恐怖が増長して行く。其の所為か、毎日起こる、嫌な事も重なり、どんどん気が滅入って行く。学校に行っても行かなくても、アパートの、俺の住んでる部屋の、隣が璃舞だから、結局、何かしら璃舞に干渉を受けてしまう。もう俺に、逃げ場等、無いのかも知れない。
「学校…行くか…。」
悪夢で何度も起きるのだ。しっかり睡眠が取れている筈も無い。今まで感じた事の無いくらいの、酷い倦怠感で、体は、錘が付けられているかの様に重たい。
(志弦)「なぁ…。優弦。お前、どんどん窶れていってないか…?クマも出来てるぞ…?今日は学校休めよ…。」
「大丈夫。行く。」
ちゃんと眠れていないからだろうか、志弦の言動にイラッと来てしまった。そもそも、璃舞と毎日遊ぶ羽目になったのは、お前の所為だと、思ってしまった。
一旦落ち着け…。志弦は何も悪く無いだろうが…。
(璃舞)「あ、志弦君!」
(志弦)「璃舞さん!」
(璃舞)「今日は、途中迄、一緒に行こうって誘ってくれてありがとう。」
(志弦)「いえ!」
「優弦!行こうぜ!」
「……。」
(志弦)「優弦?」
流石に俺も、そろそろ我慢の限界だった。怒りが口から吐き出る前に、俺は、其の場から、踵を返して走った。正直、腹が立って、腹が立って仕方が無い。でも、志弦は何も知らない。だから、仕方無いんだ。志弦に怒りをぶつけても、志弦は、何で自分が怒られているのか、分からないだろう。どれだけ俺がムカついたって、ムカついた所で、如何にもならないのだ。
怒りの儘に、全力で走った。
「ハァ…ッハァッ、ハァ…ッハァ…ッ。」
一体、何処に走って来たのか、気づけば、人気の無い、よく知らない場所に居た。
「ハァ…ッ、何処だ…此処…ハァ……。」
焦らずとも、スマホを持っている。スマホの地図アプリを使えば、帰れるだろう。其れに、怒りの儘に走った御蔭で、今は、綺麗さっぱりイライラしていたのが消え去っている。
「現在地を確認するか。」
地図を見ようと、スマホを、鞄から取り出していた時だった。
(璃舞)「優弦?俺の事、避けないでって言ったよね?」
其処に居た璃舞は、何時もの笑顔は無く、真顔で其処に立っていた。だが、怒っているのがストレートに伝わって来る。
「や、避けた訳じゃ無くて……。」
(璃舞)「酷いな?俺は、めちゃくちゃ優弦の事が好きなのに。」
「………。」
(璃舞)「其れに、避けない、普通に接するって、約束したのにさ。」
「…璃舞。」
「自己中にも程があるだろ…。」
「…俺は…ッ、お前の事なんか嫌いだ…ッ。」
(璃舞)「…。」
「大ッッッッ嫌いだ!!!!」
「ッお前なんか!!」
(璃舞)「……。」
怒りの儘に吐き出した俺の言葉に何も返さず、無言で立っている璃舞に背を向けて、俺は走った。
何で、お前がそんな顔するんだよ。俺が悪いみたいじゃん…ッ!
確かに、俺は逃げている。璃舞を、本気で好きだった自分が、酷く、気持ち悪いんだ。
俺は、お前に酷い事をされたと思っている。なのに、俺は、抵抗仕切れなかった。心の底から、お前を憎む事も、嫌う事も、俺には出来なかった。
どれだけの時間が経っても、俺の中には、気持ち悪さが残った儘だ。
だから、早く忘れてしまいたかったんだ。璃舞にも、自分にも、背を向けたかったんだ。