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うわああ!!好きだ!!!リアルで泣いちゃったよ、、、😭😭
ドールバース初めて知ったけど めちゃくちゃ面白かった‼️🥹 後で検索してみよ🤤
何がなんだか分からない方へ. 作中に常に出てきていて、かなり重要である「不思議な森」。その森に入り、また森から抜けると、その森の中で体験したことの記憶が消える。 トウヤは度々、異能力的なの(森から司の家、司の家から森など、瞬間移動的なの)を使っているが、そこは気にするな。気にしたら負け👉 またこのお話続くかもです‼️‼️私のモチベ次第で‼️‼️((🤛
⚠注意⚠
※司類、冬彰、妙冬類表現があります。
類愛されっぽいです
見る人によっては司彰っぽいとこあるかもしれ ません
ノベルに慣れていないので、変な文になっていたらごめんなさい🙈
クソ程長いです😊😊s
___________________
「終わらーーーーーん!!!!」
「うるさいんで黙りやがれくださーい」
「なんだそのカタコトな言い方は!!!」
_8月、夏。
とっくに夏休みにも入り、今は彰人の家で夏休みの課題に苦しんでいる。
「司せんせーい、ここ教えてくださーい」
「”司先生”……!?ま、まあ、教えてやらんこともないが…」
“司先生”と言われたのが少しばかり嬉しく、つい甘々になってしまう。
「はぁ……ガチで終わんねー…答え見りゃいいのに」
「駄目だ!!自分の力で解かんと意味がないぞ!!」
「はいはい、分かりましたよーだっ」
生意気な返事を返すと、オレから視線を外しプリントに目を向ける。
改めて見ると物凄い文字数に、思わず顔をしかめている。
「全く……」
「………はぁ……センパイ。アイス買ってきてくれません?? 」
やっと再開するかと思いきや、またペンを置いてそう言う。
「ア、アイスか……」
「めちゃくちゃ暑いじゃないっすか。無性に食べたくなったんで」
「んじゃ、金は渡すんでよろしくお願いしまーす」
「お前もついてこんか!!」
すぐそこにあった財布を取ろうとする彰人に叱り、それを阻止する。
こんなに偉大な先輩をパシるとは、なんてヤツだ。
「ええ…嫌っすよこんな暑い中!」
「ええい!!『こんな暑い中』、先輩をパシるつもりか!?」
「ほら、行くぞ!」
「へいへい……はぁ」
承諾しながらもため息を吐く彰人に、少し不満を抱きながらも近くのコンビニへと向かった。
「うおっ、冷た」
「このくらいの時期に食べるアイスは最高だな!!」
隣でシャクシャクとアイスを食べる彰人を見つめる。
「……ん?」
「んぁ?なんすか?」
「いや……あんな森あったか?」
彰人を見つめると、その奥の方に緑がゆらゆらと揺れる森が写った。
なんだか見覚えがなく、疑問を抱く。
「ああ……んー……どうだっけ」
「は?」
「まあ、あったんじゃないすか?あんま覚えてねぇ」
「そうか……」
その時、なにか不思議な気持ちに襲われた。
『疑問』。それも確かにそうだ。
だが、それ以前に………
「なあ…彰人……あの森の中を探索しないか?」
「は??」
その森をみた見た間、オレのすべてがあの森に引き寄せられる感覚になった。
あの森に、何かある。そう確信した。
「……いいっすけど」
すると彰人は、何かを察したような言い草をし、森の方へと歩み始める。
そこで歩みが止まり、オレの方を向く。
「ほら、行かないんすか?」
「!!あ、ああ……」
「うお……暗……」
「なんだ、怖いのか?」
「うっざ。そんなんじゃないっすよ」
頭でも撫でてやろうとした手を振り払われ、拗ねたように言う。
彰人は歩みを速め、オレを置いていこうとしている。
「ちょ、は、速いぞ!!」
「うるさいんで黙りやがれください」
それ、さっきも聞いた気がするぞ。
今のでかなり拗ねてしまったようで、いつも冷たいのが更に冷たくなる。
あれから数十分は歩いただろうか、
ずっと奥の方に光が見えてきた。
そろそろ、この暗い森から外へ出るのだろう。
「うわ………すっご…」
_その光を目指し辿り着いたのは、きれいな湖と茂み、花が沢山咲いていて、上からは太陽の光が差している。
そんな光景を目の当たりにしたオレは、
「綺麗だ………」
と、その一言。
「綺麗」、その言葉が無意識の内にポロッと出るほどの絶景。
「…そっすね……」
オレが呆然と景色を見て出た言葉に、適当に相槌を打つ彰人。
彰人もオレと同じ心情のようだ。
彰人も目を輝かせその景色を見ており、先程までの怒りがその景色にすべて吸い込まれたようだった。
「む?」
ポチャン……と水の音が聞こえ、湖の方を見る。
「タ、タコ…??」
そう、タコ。タコが数匹湖の中で優雅に泳いでいる。
「は?タコ?」
「……タコっすね」
湖にタコ…?タコって湖に居るのか…?
それに、こんな小さな湖に…?
本当になんなんだ、ここは。一体どこなんだ?
ふいに、空中でパタパタと音が聞こえた。
「うおおっ!?!?」
「うわっ、な、なんすか!?」
完全に呆気に取られていた彰人は、オレの急な大声に驚愕したようにビクッと体を揺らしこちらを見た。
「ち、蝶が…!!!!」
「蝶?ああ……結構いますね」
「ぐぬ………む」
その蝶達は、オレ達の頭の上でくるくると回り、次第にはみんな一斉に奥の方へと飛び始めた。
恐らく、何かを伝えようとしているのだろう。
「……ついていってみようか」
「は?」
死ぬほど虫嫌いなオレがそんなことを言うなんて…と、そう思ったのだろう。
目を見開いて、間抜けな声を出した。
「…後で蝶にビビっても、オレ知らないっすからね」
「ははっ、ああ」
オレ達はその蝶達についていった。
少しだけ歩き、茂みの方へと誘導された。
パタパタと前を進んでいた蝶達は、急にまたオレ達の頭の上で回り始めた。
「ここに何かあるのか…?」
険しい顔で蝶を見て話し掛けるも、蝶が喋れるはずも、頷いたり出来るはずもない。
だが、ここに何かがあるのだと、何故かそう確信できた。
「彰人、探そう」
「え、探すって………何を?」
「何かを、だ」
真剣な眼差しで彰人を見る。
「………あーもー!!探せば良いんでしょ探せば!!」
「アンタそっち!オレこっち探すんで」
ふんずふんずと左の方の茂みに入っていく彰人が、何だか子供みたいに見えて、ふっと笑ってしまった。
「う~~~む……中々見つからんなぁ…」
あれから数十分と経ったが、その”何か”が見つかる気配がない。
「う”う…」
「センパーイ、なんかありました?」
眉間にシワを寄せて唸っていると、後ろから声が聞こえ振り返る。
「いや、一向に見つからんな…彰人はどうだ?」
「オレの方も駄目でした」
「む……」
「……はぁ…もう帰りません?本来の目的、課題なんだし」
呆れたように溜息をついて、原っぱに座り込む。
「いや!まだ諦めきれん!!見つかるまで徹底的に探すぞ!!」
「いや……でも、本当になんかあるって決まったわけじゃないでしょ?」
「うぐっっっ」
それはそうだ。事実を言われ、少し凹む。
「……む?」
「あれは……きつねにシカに…カラス?」
「は?」
すぐ近くの茂みで姿を出していたのは、きつね、シカ、カラスだった。
なんだか皆、何かを見つめて心配している様子で鳴いている。
「は、おい、センパイ!?」
オレは無意識に、その動物の群がりに足を運んでいた。
「…なあ、お前たち、どうかしたのか?」
動物達に声を掛けると、動物達はキュウキュウ、ピィーピィー、カーカー
独自の鳴き声を発しながら何かを訴えかけてくる。
「!!」
そこ絵で、とあるものを見つけた。
藤色に、水色が差し掛かった美しい髪。手足は長く、全体的に細い…例を出せば、モデルのような体型。安らかに目を瞑っていて、とある童話のように、真実の愛のキスでもしない限り目覚めそうにない。
ハッキリ言って、凄く綺麗だ。
「こ、れは…… 」
人間…??
「…いや、」
違う。人間ではない。だって……
「おい、センパイ!!」
「おお…彰人」
彰人がオレを呼び掛け、駆け足で寄ってきた。
「急に行かないでください……」
「って、は!?!?ひ、人!?」
彰人も大層驚いたようだ。
「…ん?ツギハギ…??」
そう、ツギハギ。首にツギハギがあるのだ。だとすれば、人間ではなく人形か何かだろう。
まるで人間みたいだが、そうじゃないみたいだ。
いや、ただの仮想とかかもしれないが……
「人形っすか?随分と綺麗っすね」
まじまじと顔や体を見る彰人。人間のような人形があったことにはもちろん、その美しすぎる容姿にも驚いているようだ。
「そうだな……だが、何故こんなところに?」
「だな……誰かが落としたとか?」
「いや、それはないだろう。だってこんなに大きいんだぞ????」
「たしかにwww」
冗談交じりで言ったのか、オレの反応にケラケラと笑う彰人。
「……もしかして、捨てられたとか?」
「ああ…あり得るな………いや、 」
嘘だろう…こんなに綺麗な人形を捨てる?「捨てられた」、というのが一番あり得るのだが、こんなに綺麗な人形をどうして捨てるんだ…??
顔なんてオレの好みドストライクで、持ち帰っていいのなら持ち帰りたいくらいだ。
それを捨てるだなんて……
「あり得ん……」
「どっちなんすかw」
先程の発言とは真逆な言葉に、またまた笑われる。
それに、何だかこの人形…見たことが_
ガタンッ!
「うおおおおおっ!?!?!?」
「ちょ、くっつかないで下さいよ!!?」
急に物音がし、隣りに居る彰人に抱きつくような形になる。
「あの……あなた達は?」
茂みの裏側に居るオレ達を覗くように見ていたのは、自分達と同じくらいの歳であろう青髪の青年だった。
わかりにくいが、ちゃんと顔や首を見ると火傷の後のようなものがある。
「え…?あ、えーっと!天馬司です!!」
「『天馬司』さん…ですね」
オレの名前を繰り返し、少しだけ引き攣った表情になる青年。
「馬鹿、センパイ!!」
「ば、馬鹿とはなん…う”っ」
服を掴まれ、彰人の方に思いっきり引っ張られたせいで首が苦しい。
「急に話しかけてきた人に本名言うって…なんかあったらどうするんだよ!?」
「い、いや…同い年みたいだし、大丈夫だろう」
「そういう問題じゃねーって!!」
青年に聞かれないよう、ひそひそ話で会話をする。
「とにかく、この森からさっさと出ますよ!この森なんかおかしいって!」
本当に焦っているようで、顔を顰めている。
「だが……」
そこにある綺麗な人形に視線を移す。
「……」
「…あの……どうかされたんですか?」
「ひっ!?」
後ろから声をかけられ、肩を震わす彰人。
その青い青年は、なんだか妙に不気味に見える。
「あ、えっと…… 」
返事に戸惑う。今のオレは、きっと目が泳いでいるだろう。
なんだか物凄く威圧的な青年に、急に恐怖を感じて体がよろけてしまった。
「だ、大丈夫かよ、司センパイ!」
「あ、ああ……」
「大丈夫です、か……」
青年がこちらに駆け寄る。が、心配の言葉は途中で途切れた。
「!!ルイさん!ここに居たんですね!!」
「「え?」」
オレと彰人がその人形の前に立っていて、オレ達の後ろに人形が隠れていたんだろう。
よろけた拍子に人形が見えたのだと思う。
「全く……探したんですよ。」
喋るはずもない人形に話しかける青年。
オレも彰人も顔を合わせ、何がなんだか分からないという顔をしている。
「_ふふ、バレてしまったね。」
「「はぁ!?!?」」
喋った。人形が。さっきまで無表情で目を瞑っていた人形が、自ら目を開かせ、 微笑んでいる。
「急に居なくなるから……心配していたんですよ。」
「いつものことだろう?慣れておくれ」
「慣れようにも慣れません。」
「怒ってる?ごめんね。」
さっきまであんなに死んだように眠っていたというのに、可愛らしい微笑み顔からしょんぼり顔になった。こうしてみると、表情豊かだと思う。
「お、おい……な、なな、なんで喋って……」
「うん?」
「人形…??人間…???」
彰人も完全に混乱しているようだ。
「ああ……ふふっ、びっくりした?♪」
「っ!!!」
首を傾げ、オレ達に向かってニンマリと笑う。
初めに見た時は「綺麗」、「美しい」、という印象だったが、喋ったり表情が変わったりすると案外「可愛い」、「抱きしめたい」、という方が強かった。
「あ……すみません、ルイさんがご迷惑を…」
「ちょっとトウヤくん、君は僕の母親か何かかい?迷惑だなんて……」
「……いや、うん。ごめんね、びっくりさせてしまって。」
「あ…いや……全然大丈夫だが……」
「人形…人間………人形が人間?人間が人形???人形が…人形????」
彰人は今も混乱していて、人形と人間を連呼している。
「……ねぇ、君達。お名前なんて言うの?」
「え、オ、オレっ?」
声が裏返ってしまい、ゴホンと咳払いをして言い直す。
「オレは……そこの青髪には名乗ったが、」
青い青年はオレの方を見て、ペコッとちょっとしたお辞儀をする。
「…すーっ…天翔けるペガサスと書き天馬!!世界を司ると書き司!!!その名も…天馬司だ!!!」
お決まりの自己紹介をし、決まったなと鼻で笑う。
「……うん、天馬司くんだね。ねえ、君は?」
「…?」
少しだけ嬉しそうな顔を見せ、次は彰人の方へと視線を向ける。
「ねぇねぇ、」
「……………」
「…彰人?おい、彰人!!!!」
「はっ!!す、すみません…!!で、なんすか?」
あまりの衝撃に硬直状態だったようだ。いつもとは逆のような立場に、心の中で苦笑してしまう。
「ねえ、君の名前は?」
「あ…えと……し、東雲彰人だ。」
「ふーん……司くんと彰人くんだね。」
その人形?はクスッと苦笑し、目を細めている。
やはり、この人形……どこかで見たことがある、というか……何かの面影?よくわからんが……
「……あ、俺の自己紹介が遅れました。トウヤと申します。」
「以後お見知りおきを…」
なんだか不思議なオーラを纏っている青年…トウヤは、またもやお辞儀をする。
「そしてこの人は、」
「もう、自分で名前くらい言えるよ。」
冬弥の言葉を遮り、拗ねたように頬を膨らますのが可愛い。
「僕はルイ。よろしくね♪」
…ルイと言うのか。
ルイ………か、
「ああ、よろしく頼む!!」
「まあ……よろしく」
彰人はどこか落ち着かない様子だ。
「はい、よろしくお願いします。」
「ところで……お二人はどうしてここに?」
どうして……?
どうしてここに来たんだ、オレ達………なんでだ、どうしてだ?思い出せない……
気づいたら…ここに………
「……どうしてだったかなあ」
「センパイ?」
「…なぁ、彰人。オレ達はどうしてここに来たんだ?」
「は?そりゃ……」
「……んー…なんでなんすかね?オレも分かんないっす」
「……」
「??」
トウヤが少しだけ笑ったように見えた。
いや、気のせいか。
「さあ、彰人。帰るか!!」
「そうっすね」
「え……もう帰ってしまうのかい?」
なんだか寂しそうだ。
「ああ、すまない…また来るぞ!!」
どうやって??
そもそも、どうしてここに来れたんだ?
オレ達はどうやって……何の目的でここに来た?
「良ければお見送りしますよ」
「あ、ああ!すまない、よろしく頼むぞ 」
「ルイさんは戻っていてください。それと…あまり外へは出ないように」
「はーい。じゃあ……ばいばい。二人共」
「?ああ!!」
「さいなら〜」
_別れ際に、ルイは寂しそうな目をしていたような…
「…あそこを真っ直ぐ行けば、元の場所に辿り着きますよ」
「ああ、ありがとう。すまないな、こんなに遠くまで……」
「いえいえ。では…お二人共、お元気で」
「ありがとうございました〜…」
別れを告げ、彰人と二人でまたこの長く暗い道を通る。
……また??
通ったことがあっただろうか……
…まあ、良い。
それにしても…彰人が何だか不思議そうな目でトウヤを見つめていた気がする。
「やっと出たな!!」
「そっすね。」
「む……まだ明るいな」
「本当だ…あの森が薄暗いから、てっきりもう夜なのかと思ってました」
「だな。」
外に出ると、案外明るく安心した。
もう夜になっているのではないかとヒヤヒヤしていたが、今考えればあの森にそんなに長時間居たわけでもなく、外が明るいのも納得する。
「じゃあ、また!!」
「へーい、課題頑張ってくださいねw」
「む!!彰人こそ、な」
「分かってますよーだ。じゃ、さよなら」
「ああ、答え、見るんじゃないぞ」
うげ…と嫌そうな顔をしながら彰人の家の前で分かれた。
「ねえ……トウヤくん」
「…はい。」
「どうして司くん達がここに来てたんだい…?」
不思議なそうな目て俺を見つめるルイさん。
「……それは、俺にも分かりません…」
「……そうかい」
「帰ってしまったねえ……引き止めれば良かった」
「…そう、ですね」
ああ…そうしたら、あなたは壊れてしまうんですよ
俺は今まで何度も見てきた。
『ドール』と『プレイ』が結ばれて、『ドール』がボロボロと崩れて消えてしまうのを。
「……」
「…トウヤくん?」
「!あ、すみません。ぼーっとしてしまいました。」
「ううん。」
ルイさんが俺の顔をじーっと見ている。
変な顔をしているだろうか。
「ねえ、トウヤくん。お願いがあるんだ」
「はい…?何でもどうぞ」
『何でもどうぞ』、そう言ったが、あなたの言うことは……
「司くん、司くんだけを、ここに連れてきてほしいの」
まんまと予想が的中した。
「…何故?」
「僕、司くんに思い出してほしいから」
「思い出す……」
「うん」
「後悔しませんか?」
「…しないよ。悔いはない……あ、ある」
「あるんですね」
「司くんのお母さんが僕を縫ってくれてる時、お母さんの指に針が何回か刺さっちゃってた」
「それが?」
「僕のせいだよ」
「そうなんですね」
中身のない会話がダラダラ続く。
「謝らないとなあ……」
「……そうですね」
「……お願い、トウヤくん」
「…………」
「お願い、僕は壊れても良い。司くんが思い出してくれれば、良いんだ」
「……____」
「!!」
俺のこの判断は、合っているのだろうか
「むむむっ、これは何だ…??」
あれから家に帰り着き 部屋に戻れば、またまた颯爽と課題を始める。わからない問題ばかりで唸り声が出てしまう。
後5日間くらいで夏休みが終わってしまうので、かなり焦る。
こういうのは初日から始めるタイプなのだが、こればっかりは最終日にまで残ってしまうのが悔しい。
「うーーーむ………ああっ!!分かっ」
ピンポーン_
「む…??」
やっと理解できたというのに、誰なんだ。
まあ、誰かが出てくれるだろう。
「司ーー!!お友達が来てるわよ!!」
「な、なに!?」
下から母さんの声がし、ハッとする
答えが思い浮かんだ課題を前に、一旦ペンを置いて下へと降りた。
「こんにちは、また会いましたね、司さん」
「む…?誰だ、君は…」
玄関へ向うと、見覚えのない青い青年が一人。
「……ああ、そうでしたね」
「??」
何かを悟るような目をした青年は、改まって、
「はじめまして、天馬司さん。俺はトウヤと申します。以後お見知りおきを」
青年はペコッと綺麗なお辞儀をする。
「な、何故オレの名を!?!?」
「説明は後です。少し、俺についてきてほしいのですが、」
「はぁ!?!?」
「さあ、行きますよ」
青年はオレの腕を掴み引っ張る。
「い、いや!!知らないヤツにそんな事言われて、ついていけるわけが…!!」
「……仕方がないですね、」
パチンッ
「あっ…ったたたた……ん…?…うおおっ!?!?」
そんな音と共に、目の前の景色がガラッと変わった。
「さあ、まだ先です。ほら、立って」
「ど、なんっ、はぁ!?!?い、いやいやいや!!何故またこの森に!?!?」
「説明は後と言ったでしょう」
さっき初めて会った時より、少し冷たい気がするが今はどうでもいい。
なんだ、今のは。今の一瞬で何があったんだ。オレの頭の中はパニックでしかない。
青年……トウヤと言っただろうか。
トウヤはオレの腕を掴んだまま、森の中をずんずん進んでいく。
しばらく歩くと、ある小屋の前で足は止まる。
「ルイさん」
「ルイ…??」
小屋の中に誰かいるのだろうか…
トウヤが『ルイさん』と呼びかけるも、返事はなく、シーン…としている。
「…ルイさん、」
シーン……
「……ルイ、さん……司さんを連れてきましたよ」
「…?????」
オレ…?小屋の中に居る「ルイ」はオレに何か用があるのか…??
バンッッ
「!?!?」
先程まで呼びかけてもシーン…としているだけだったが、小屋の扉が思いっきり開き驚愕する。
小屋の中からは、よろよろと力なくこちらへ歩く紫髪の青年が。
「司くんっ!!!!!」
「うおっ!?!?な、なんだなんだ!?」
紫髪の青年は、勢いよくオレに抱きつく。
その重力に倒れそうになるが、何とか受け止める。
「つかさくんん……っ」
「ど、どうしたんだ、君…!!」
「っルイ、ルイって呼んで……」
「…ルイ………?」
「…司、くん……」
なんだ、この状況は……
紫髪の綺麗な青年…ルイに、抱きしめられている。
トウヤは…なんだか嬉しそうで、でもどこか悲しそうで……
「…『ルイ』、これね、司くんがつけてくれた名前なんだよ…?」
「は…??」
「昔、よく遊んでくれたよね……公園に行くときも、旅行に行くときも、悲しい時も辛い時も楽しい時も、いつも持ってくれてた」
「ま、まて…さっきから、一体何の話をしているんだ…?」
「ねえ、司くん。もう全部忘れちゃった?」
何を、言い出すんだ……
「ふふ、君がまだ小さい頃…スーパーのおもちゃコーナーで僕を見つけてくれたよね。確か…6月1日」
「……ぁ」
_2011年.6月1日_
「母さん!!あのお人形さんが欲しい!!」
「ええ…?うーん…そうねえ……」
その日は母さんと咲希とオレで、買い出しに来ていた。
父さんは仕事が忙しくてこれなかったみたいだけど、仕方ない。
買い出しを終え、咲希とオレがおもちゃコーナーに行きたいと言ったので、母さんは連れて行ってくれた。
色々なおもちゃを見ていると、とある人形に目を惹かれた。
いや…それは人形というより、ぬいぐるみ。
それはまさしく、ルイのような…いや、ルイ本人だ。
今、目の前にいるルイの10分の1くらい…普通の人形サイズだったが。
その人形がどうしても欲しくて、母さんにおねだりしたんだっけな、
「お願い!!いっしょーのお願い!!!」
「んー…司がこんなに欲しがるなんて滅多にないしなぁ……うん、良いわよ!」
「!!ほんと!?やったーっ!!母さん、大好き!!」
「さきもすき…!!」
「ふふふ、お母さんも大好きー♪」
その後は咲希にも可愛らしい女の子人形を買って、家に帰った。
小さい頃の俺は、本当にその人形を気に入って、ご飯の時も、歯磨きをする時も、寝る時も、遊ぶ時も、ずっと一緒だった。
周りの友達に自慢しても、女の子みたいだとか、変だとか、散々言われてしまっていたな…
それでもオレは、この人形を手放すことなく愛していた。
「ねえ、母さん!そこにあるお人形さん取って!!」
「ん〜?ふふ、本当にこのお人形さんが大好きなのね〜♪はい、どうぞ」
母さんのすぐ側に人形があったので、それを取ってくれと頼んだ。
「ありがとう!!」
「うん。…ふふ、お名前でもつけてあげたら?」
「おなまえ…?」
そうすると、母さんからある提案をされた
もう1年くらい一緒に居るこの人形…いつも「お人形さん」と呼んでいたので、それは名案だと名前をつけることにした。
「うーん……どうしよっかー……」
「どうする?そこは司に任せるよ、」
母さんは微笑ましいものを見るかのように、こちらを見つめていた。
「…うむー……あ!!そうだ!!」
「ん〜?」
「”るい”!!”ルイ”にする!!」
「まあ!可愛らしいお名前ね〜!!でもどうしてルイなの?」
「オレとル イが出会った日!!6月1日だから!!」
自信満々に胸を張り、ルイを抱きしめた。
「え…?…あ!!そう言われれば そうね…!司、凄いわ。ルイちゃんと出会った日まで覚えてるだなんて……」
「えへへっ!!」
心做しか、ルイも笑っているように見えた。
「…あ、じゃあ、ルイちゃんのお誕生日は、6月24日ね!!」
「んぇ?」
「ふふふ、ほら、ルイちゃんのお名前が決まったのは今日、6月24日でしょう?」
「…あ!!!ホントだー!!じゃあじゃあ、お祝いしないと!!」
「そうね!!」
その日はルイの名前を決めて、ルイの誕生日になって。
母さん自身も、『司の遊び相手が出来た』と喜んで、ルイのことを気に入ってくれていた。
だが、そんなルイの居る幸せな生活が何年も続くはずがなかった。
_2013年.9月27日_
「はい、じゃあ皆さん!!皆の大切な物、待ってきましたかー?」
「「「はーい!!」」」
「はいっ!!!!!!!」
「お、いいお返事だねえ司くん!」
その日の学校は、「大切な物」という課題で、それぞれの大切な物を持ってきて、考えてきた文章を読み上げ紹介する、というものだった。
もちろんオレは、ルイを持ってきていた。
「皆、ちゃんと文章も書けたかなー?」
「「「はーい!!!」」」
「(文章…!!)」
我ながら上手く書けた文章を、早く発表したくてソワソワしていた。
これで「女の子みたい」だとか「気持ち悪い」だとか言ってきたやつも、オレのルイへの愛が伝わるだろう、そう思っていた。
「じゃあ出席番号順で!!」
出席番号順なので、オレは早い方…だと思う。中間くらいだが。
それから次々に生徒達が紹介を終えて、ようやくオレの番がきた。
「よし、じゃあ天馬くん!!」
「はい!!!!!!!!」
「司くんは…お人形さん?可愛いねえ!」
「はい!!本当に可愛いんですっ!!!」
「ふふふ、そっか」
「僕の大切な物は、」
昨日、夜遅くまでびっしりと書いた紙を読み上げる。
「お人形さんの『ルイ』です!!」
そう言ってルイを教卓の上に置くと、今まで散々なことを言ってきた奴らがひそひそと話しだした。
それをかき消すほどの大声で文章を読み上げていたので、何と言っていたのかは分からない。
「僕が5歳の時からずーっと一緒で、本当に大好きなお人形さんです!!一緒にご飯を食べたり、絵本を読んだり、おふとんに入って寝たり、ぎゅーって抱きしめたり、そのたびに、ルイも喜んでるような気がします!!」
「6月24日にルイのお名前をつけて、6月24日がルイのお誕生日になりました!!」
「お名前が『ルイ』なのには理由があって、ルイとお友達になった日が6月1日だからです!!」
そこから数分経ち、長い長い文章を読み終えた。
「これで、僕の発表を終わります!!ありがとうございました!!!」
文章の終わりを告げると、パチパチと拍手が聞こえてくる。
「司くん、難しい言葉たくさん使ってたね!凄いなあ」
先生も凄く感心していたように見えた。
だが、オレのことを散々言ってきたヤツらは拍手も何もなしに、ただ塊になってひそひそ話をしている。
その時はどうでもよくて放っておいたが、それが仇になった。
「なあ、司! 」
放課後、さっきの嫌なヤツらが数人話しかけてきた。
「その人形さ、ルイ?だっけ。」
「…ああ、そうだが」
前まで嫌なことをたくさん言われてきたので、多少の警戒があった。
「ふーん……ま、それはどうでもいいけどさ!!それ、俺達に頂戴よ!!」
「え…?」
かなり衝撃の言葉に、硬直する。
今まで散々馬鹿にしてきたというのに、頂戴?頭は混乱状態だ。
「ね、良いでしょ?そのくらい」
「だ、だめに決まっているだろう!!ルイはオレのお友達なんだ!!」
もちろん渡すはずもなく。
「なんだよ、俺達も友達だろ!?いーから早く頂戴ってば!!」
紙袋に入っていたルイの頭を引っ掴んで、取ろうとして来る。
「ちょっと、やめろよ!!!」
ルイを取り返すべく、そいつが持っていない体部分を掴んだ。
どうしても取り返したくて、そいつはルイが欲しくて、お互い力が籠もっていたんだろう。
「離せってば!!」
「お前が離せ!!!!」
「あ……」
そんな鈍い音と、そいつの焦ったような声。
「え…なんで…ル、ルイが……… 」
「っも、もう行こ!!」
そいつは、連れていた数人と走って去っていった。
「ルイ……」
ルイは頭と体が分かれていて、首部分が千切れていた。
中からは白い綿が出てきており、ルイはなんだか悲しそうな顔をしている気がした。
「…………帰ろう」
千切れたボロボロなルイを丁寧に拾って、オレは教室を後にした。
「……ただいま、母さん…」
「おかえり、司……って、元気ない?また何か言われたの?」
「………これ」
困惑している母さんに、ボロボロのルイを見せた。
「!!ルイちゃん……何があったの?話してごらん」
無意識に涙が出ていたみたいで、母さんはオレの頭を撫でた後に目元を拭う。
「なにそれ…酷い」
放課後あったことを全て話した。
大号泣しながらだったので、聞き取りづらかったと思うのに母さんは静かに聞いてくれた。
「……よーっし!!今こそ母さんの手芸技術を見せる時ね!!ほら、ルイちゃん貸してみなさい!」
「え…?う、うん……」
ルイを渡すと、母さんは優しく受け取って『待ってて』と言ってどこかへ行ってしまった。
_翌朝_
「司ー!!」
「なあに、母さん」
昨日はボロ泣きで、目が真っ赤に腫れてしまったオレを優しい目で見つめる母さん。
後ろに手を回し、何かを隠すようにしている。
「…じゃーん!!」
「!!わあぁ…!!!!!」
母さんが後ろから前に手をやり、そこに隠していたのは、紛れもなくルイだった。
「ルイだ…!!!!!」
「ツギハギが残っちゃってるし、ちょっとグラグラしてるんだけど……ごめん ね、元通りにしてあげられなくって」
「ううん!!十分だ!!!!ありがとう、母さん…っ!!!」
感謝をしてもしきれなかった。
その日からルイをそばから離さず、1日中ぎゅーっと抱きしめていた。
咲希や父さん、母さんは、それを微笑ましく見ていてくれた。
しかし、そのまた翌朝。
「ない……ルイ、どこに行ってしまったんだ…??」
「あれ、司だったの…?物音がしたから起きたけど……あら?ルイちゃんはどうしたの?」
「か、母さんっ……ルイ、ルイがいない……」
「え!?!?」
そう、居なかったのだ。ルイが。
昨日はいつも通り抱きしめて寝て、それっきり。
朝起きた頃には居なくなっていた。
「ごめん、ごめんなさい……せっかく母さんが直してくれたのに…っ」
「ううん、良いのよ。どこにもなかったの?」
「うん…っ家中さがしたけど、いなかったっ……」
「…そっか……」
「きっと、オレの事が嫌になって出てっちゃったんだぁ……オレが、ルイのこと守ってあげられなかったから……っ」
そんな事を言いだし泣きだしたオレを、母さんは抱きしめてくれた。
その日は食欲も湧かず、眠れる気もせず、今ルイが無事なのか…そればかりを考えていた。
母さんも父さんも咲希も、もちろんオレも。色々なとこを探し回った。
結局、家の中には居なかった。
よく行く店や母さんと父さんの実家、学校にまで探しに行った。
でも、ルイはどこにも居なかった。
そこから日が立つにつれ、ルイの事が頭から離れていってしまった。
中学に上がる頃には、すっかり忘れてしまっていた。
でも、心にぽっかり穴が空いたような……そんな感覚だけは、残っていた。
「司くん、僕のこと、思い出してくれた?」
「っルイ…!!!!!!!」
「わっ」
気づけば、二人共泣いていた。
そして、思いっきりルイの事を抱きしめ返した。まるで、昔のように。
「ルイ、ごめん…ごめんなあ……っ」
「良いの、良いんだよ…思い出してくれてありがとうっ…」
そんな様子を、トウヤは暗い表情で見ていた。
もらい泣きをしたのか、トウヤまで目に少しだけ涙を浮かべている。
「ルイ、何故あの時どこかへ行ってしまったんだ…?心配したんだぞ…っ!!!」
「あ…い、いや…それが僕にも、わからなくて…」
「はぁ…?」
さっきまでの雰囲気が少し崩れ、ルイが口を開き話し出す。
「あの日司くんと寝てたとき……目を開けたらここに居たんだ。」
「そしたら、隣にトウヤくんが座ってこちらを見ていて…」
「ほ、ほう……」
これは長々と続きそうだな……そんな事を考えながら、改めてルイの事をまじまじと見る。
「そして、そこの湖の方まで歩いてみたんだ。水面に映った自分にびっくりしたよ」
「まるで人間みたいに手足も身長も伸びていて、喋れて、歩けて、音が聴こえて…」
「あ……それは俺も同じ状況でした」
ルイの話に、トウヤが割り込む。
「え、そうなのかい?初耳だよ」
「あ、言ってませんでしたか」
二人共しっかりしていそうで、意外と抜けた所があるんだな……少しほっこりしてしまう。
「……あ、それからトウヤくんにこの小屋の中に連れられて、お互い自己紹介なんかをして……」
そこからはトウヤとの日常を振り返るルイ。
楽しげに話していて、少しモヤッとしてしまう。
話が少し脱線し始め、ルイが突然ハッとする。
「恐らく、僕達は生まれ変わっているんだと思う。」
「生まれ変わっている…??」
人形って、生まれ変わるのか?
「ああ、そうでしょうね」
「そ、そうなのか……???…ん?『僕達』ってことは……トウヤも人形だ ったのか!? 」
「ええ、司さんが今日、一緒に連れていた人が俺の持ち主ですよ」
「…え」
オレが今日、連れていて人…??
「……彰人か!?!?!?」
「正解です。」
「え、そ、そうなのか……」
「えっと……何故、お前も生まれ変わった?のだ…?」
「人形供養です」
「に、人形供養!?!?」
「ええ、」
「だが…何故人形供養を?」
「…昔から、周りを不幸にさせていたので 」
「『呪いの人形』だとか言われてましたね」
『呪いの人形』……ホラー映画とかホラーゲームとか、そういうのでよく見るあれか…?
「でも、彰人だけは…彰人だけは、愛してくれてたんですよ。まあ結局、彰人の両親に取り上げられて燃やされましたが」
淡々としすぎていて怖い。
「……ああ、俺の話は終わりにしましょう。ルイさんが拗ねています」
「すっ、拗ねてなんか…!!…ないことも、ないね。」
「ふはっ、可愛いなあルイ!!!」
「!ふふっ、司くんはカッコいいよ♡」
「な、何っ!?!?ま、まあ…未来のスターだからな!!!」
胸を張って、ルイをチラッと見る。
「…っ!!!!」
見たことがない顔をしていた。
顔を赤らめ、瞳を潤ませ、唇を噛み締めて、いかにも『幸せ』だという顔。
「…っル、 」
「ねえ、司くん。僕のこと好き? 」
「え”っ、なっ、は!?!?す、好!?」
「僕は大好きだよ」
「はっ!?!?!?そ、そんなサラッと!?!?」
横に居るトウヤは、先程のように暗い顔をしている。
何故なんだろうか。
「ね、どうなの?」
「………そりゃ………す、好きだが……」
「ん〜?聞こえないよ」
「〜〜っ!!」
「っ好きだと言っている!!」
「……ふふ、そっかあ…」
「……、」
ボロ……
ボロボロ……ボロ………
「は…?」
「ごめんね、司くん……」
ルイの左腕が、ボロボロと崩れていく。
「どう、なっているんだ…????」
「僕も、愛してる…ずっと前から、今も、これから先も……」
ボロボロ……
「ルイ、ルイ!!どうなっているんだ、これは!!!」
どんどんルイの体が散り散りになっていく。
下の方を見ると、足も段々崩れていっていることに気がついた。
「わっ……」
「!!ルイ!!!!」
左足が塵になり、倒れそうになったのを慌てて抱きしめる。
「ごめん、ごめんね……」
「ルイっ……ト、トウヤ!!どういうことなんだ…っ!?!?」
トウヤを見ると、トウヤの暗い顔から地面にポタポタと水滴が落ちていることに気がついた。
「トウ、ヤ…??ルイ、ルイは、どうなるんだ…??」
「………」
「司、くん……」
ボロボロ……ボロ……ボロボロ………
「ル、イ…っルイッ!!!!!愛してる!!オレもずーーっっ…と!!前から!!今も!!これから先も!!死んでも!!!!!」
「いつまでも愛してるっ!!!!愛してるから……っ…ルイ……」
「はは………うん、うん…知ってるよ……… 」
「ルイっ…!!!」
「……、」
遂には左半分が塵になって消え、ルイは喋れなくなってしまった。
ルイの目からは涙が溢れていて、それはオレも同じだ。
オレの右肩は、ルイの涙で湿っていた。
ボロボロ………サァァ………………
「……ル、イ…??」
抱きしめていた温もりが一気に消え、冷たい風が吹き抜ける。
「……」
「……司、さん…」
「………何故、ルイは……」
「…っ」
「…………司さん、帰りましょうか」
「……」
パチンッ
ああ…またこの音か……
その音と同時に、自分の部屋へと景色が変わる。
先程までどこかの森の中に居たはずなんだが……
「司さん、大丈夫ですか……?」
「……ん?な、なんだ君は!?!?何故オレの名前を!?!?」
「………ルイさんのこと、忘れちゃいましたか?」
「ルイ…????誰だ、それは……そ、その前に!君は誰なんだ!?!?」
「……、」
「はじめまして、天馬司さん。俺はトウヤと申します。以後、お見知りおきを…」
「ト、トウヤ…??」
青年は綺麗なお辞儀をし、顔を上げる。
「彰人のこと、よろしくお願いしますね」
「は!?何故彰人のことまでっ!?!?」
「ふふ………ああ、それと……」
「またいつでも、来てくださいね」
オレの勉強机に2枚の紙を置き、 またもやパチンッという音と共に消えてしまった。
「な、なんだったんだ……」
「……あ、この紙…トウヤ?が置いていったやつ…」
その紙は、汚い字で2枚ともびっしり文字が書いてあった。
子供が文章のようで、漢字を間違えていたり、所々おかしな部分があったり。
「……、」
ふとその文章を読み上げる。
「えっと……『僕の大切な物』?」
今回のお話は、「ドールバース」というのを題材にして書きました。
[ちょっとしたキャラ詳細]⬇️
天馬司(18)
小さい頃、おもちゃコーナーに置いてあった人形に一目惚れ?し、司の母に買ってもらって以来ずっと大切にしていた。
ルイが居なくなってからは、段々ルイの事が頭から離れていき、ルイの事を完全に忘れてしまっていた。
東雲彰人(17)
小さい頃、物置部屋でトウヤを見つけた。だが、トウヤを持ち歩いて以来不幸なことが起こるようになった。
そのため、両親からはトウヤを取り上げられて人形供養に出された。
司と同じく、トウヤの事は中学時代くらいには忘れてしまっている。
ルイ(??)
スーパーのおもちゃコーナーで売れ残っていた所、司に買われた。
司と同級生が争った日の夜、目が覚めたら不思議な森に倒れ込んでいた。
森の中の小屋で、トウヤと他の人形?達と共に暮らしていた。
首元にはツギハギのようなものがある。
トウヤ(??)
人形だった頃の持ち主は彰人。
東雲家に来てから、周りを不幸にさせており「呪いの人形」と言われ、とある場所で供養された。
顔や首には何かの火傷の痕がある。
オメガバースやdom/subユニバースらへんが有名ですが、私はなんやかんやでドールバースが一番好きです。
かと言ってアイスバースやバタフライバースも捨てがたいです🙈🙈
皆さんもドールバース、調べてみてくださいね!!👉👈
※じゃんじゃん書いたので、ごちゃごちゃになっててドールバースを少しだけアレンジ的なのしてしまってるかもしれません。
※一応コメ欄に、この物語の色々な説明を記載しておきます。