あなたの歌と日記帳 。
START
「なあ、梗香!」
「新しい曲ができたんだ!」
「聴いてくれよ!」
『…良いよ。笑』
「〜・〜・・・・・〜〜・〜・〜・(歌唱)」
「なぁ、どうだった?!」
『良かったと思う。』
「だろ!今回は俺も自信ありだったんだよね〜!」
へへっ、と笑うあなたは、ちょっと悔しそう。
「でも、つぎはお前を泣かせる歌、作ってやるからな!」
『期待しとくね。笑』
その歌声じゃ、厳しいよ。
『でも、今回の歌、良かったよ。』
「ほんとか!?」
「よっしゃっ」
矛盾した言葉が喉から吐き出される。
でも、嘘はついてないんだよ。
なぜだかわからないけど、下手くそなあなたの歌は、私の心にいつも少しだけ小さな風穴を開けるの。
特段上手なわけでもないのに、何故だろう、…。
『また、聴かせてね。笑』
「おう。笑」
何故だろう、。
あなたの顔が少し、暗く見えたのは。
『死なないでよね。笑』
半分冗談のつもりで言った。
でも、あなたは。
「ッはは、笑」
「俺だって、できることなら、」
はっとした。
させられた。
そうだよね。
死にたい人なんていないよね。
あなたはうつむいていて顔はよく見えなかったけど、
死にたい人なんていないよね。
でも私は一粒の疑問があった。
私にはどんな顔も平気で見せるあなたが、
うつむいていたこと。
でも誰だって俯くことぐらい、
あるから。
でも、
『ねぇ、』
ねぇ、、
なんであなたはそんなに苦しそうな顔をするの、?
見せたこともないようなひどい顔。
私の言葉、そんなに重かった?
そうなら、ごめんなさい。
でも、いつもなら、軽く笑うだけなのに。
どうしたの?なにかあった?
辛いなら辛いって言って。
なんでそんなに苦しそうなのよ、
「ん?」
『あなたって、嘘つきなの?』
「、…は?」
『あぇ、?』
私の喉からは私ですら予想していない言葉が発せられた。
あれ、私、今、なんて?
「何いってんだ、?」
あなたは大分心外なことを言われたのか、何処か恐ろしげな顔をしている。
『ごめん、なんか、こんなこと聞くつもりさらさらなかったんだけど、笑』
お互いパニックの中、
少しの沈黙が流れる。
『んじゃ、また来る。』
『元気でね。』
「おー。」
「さんきゅな。」
『うん。』
私は半ば逃げるように面会を終わった。
「耐えたぁ…。」
あなたの声が、扉越しに聴こえた。
あなたの声は少し震えていた。
まあ、無理もないよね。
恋人との1年半ぶりの再開。
実のところ、私も危なかったんだ。笑
ちょっとあなたが可愛く思えた。
悲しい、苦しい、辛い、しんどい。
こんな負の感情を全て捨ててもなお、俺は、あいつのことを求める。
負の感情は捨てたのだから、もうあいつなんていらないはずなのに。
忘れたい、忘れたくない、忘れられない。
あいつのもきっと、俺のことを好き。
でも、おれは、死にたい。
いや、別に死にたいわけじゃない。
俺を知る全ての人間から、俺の記憶がなくなってほしい。
助けて、なぁ、たすけろ、
たす、けて。
こういった言葉をあいつの前でこぼさないために、
俺は日記を書いている。
『え、、』
わたしはこの文章を見て、どう思っただろうか。
泣き過ぎ堪え過ぎのせいで、もうよく覚えていない。
あなたは、死にたかったの?????
苦しかっ、たの???????
なんで言ってくれなかったの?????
他のページも何かしら書いてあったが、見ることは不可能だった。
限界まで疲弊しきった私の心は、
体を支配しやがて動けないまでに至った。
はぁ、『死にたい、』
あなたのいない世界で生きていく意味なんて、、、
いや、きっと意味はある。
んだろうけど、
とても耐えられたものでは、、
いや、きっと、
時間が経てば耐えられるようになるだろうけど、
それでも、私は。
私の心は。
あなたの死という乗り越えられない事実に蝕まれるばかりで。
死んだらあなたに会えるのか死ラ。
死ぬって、なんなのか死ラ。
梗香、!
梗香!!!!
おいおい笑
前教えたろ?笑
死ぬと言うのは。
死ぬということは、
なんかじゃねぇよ!!!!!
馬鹿なのか!?!?!
死ぬってんのはな、
あなたの声が脳内に溢れる。
嗚呼、そんなこと言ってたっけ、笑
でも、今、あなたの意見も一理あるって、思えたよ…。
確かにあなたは死んでしまったけれど、死んでないわ。
あなたの理論上、はね。笑
だって、…
だってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだって
今でもあなたは、あなただもの。…笑
私が保証するわ。
確かにあなたはあなたよ。
自ら命を絶つとは思っていなかったけど、
これまでを振り返ると、
別に不思議ではなかった。
じゃあまだあなたは、死んでいないのね。
そうなのね。
良かった。
私はまだ、
あなたを愛することが、
許されているのね。
コメント
6件
あ、泣くむり好き 天才だろぉぉぉぉぉぉ!?日記のところとか大好きなんだが…!?! 「〜かしら」が「〜か死ラ」になってるのも最高…😇