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「な、なるほど…えーと、では皮のついたりんごを丸かじりして…?」
「いいえ、端間さんが果物ナイフを持ってきていて、それで順番にそれぞれ皮を剥いてから食べましたけど。」
島田さんは言う。
「なるほど…
他に変わった事などありませんでしたか?」
「いいえー?
あとは幸田さんが急死した事くらいでしょうか?
みんな、びっくりとうより意気消沈していましたよ…
しかも、それが殺人事件だなんて…」
そして、何の収穫も無いまま、島田さん宅を後にした。
♦︎♦︎♦︎
いつもの喫茶店ココにて。
「りんご、丸かじり、ねぇ…?」
宇賀神先生はどうもその事が引っかかっているようである。
しかし、果物ナイフからもりんご本体からも毒物は検出されなかったのだ。
「困りましたね…」
私は気弱に言う。
「ねぇ、綾乃?」
「何ですかー?」
「この事件が無事に解決できたら…
どこかに出掛けに行きませんか?」
「はぁ…
デートって事ですか?」
「いえ、そうじゃなくて…
その、泊まりで…」
「えぇ!?」
「僕たち付き合ってるんですよね!?
だったらいいじゃないですか!」
「いや、で、でも…」
「優しくします…」
「聞いてませんっ!」
「ダメですか…?
やはりあなたは僕のことあまり好きじゃ…」
「…分かりました!
行きますよ!
その代わり!
事件が解決したら、ですよ!?」
「本当ですか!?
ねっ、今言いましたよね!?
嘘つきませんよね!?」
「しつこい…」
それから、宇賀神先生はやる気になって(単純…)女子会のデジカメの写真を調べ始めた。
「うーん、みんな楽しそうですけどね…」
私が言うと…
「あれ?
この写真…」
「どうしたんですか?」
「いや、幸田さんだけ左手でフォークを持っていますね…?
幸田さんは左利き…ですか?」
「だとしたら、何かあるんですか?」
「いえ、ただ…
何か引っかかって…」
先生は綺麗な指先を顎に当てて考える。
「!!!
綾乃、この事件の真相が分かりましたよ…」
先生はニヤリと笑ってそう言った。
♦︎♦︎♦︎
そして、第2回目の裁判で…
私はまた飯森さんを証人として弁論を展開する。
「飯森さんにお伺いします。
亡くなった幸田さんは女子会で唯一左利きだった、そうですね?」
「え、えぇ…
確かに彼女は左利きでしたけど…」
「ありがとうございます。
女子会のメンバーである端間さんはりんごを用意されたそうですね?」
「はい。
皮のついたりんごを端間さんが用意した果物ナイフでそれぞれ剥いて食べましたけど…」
「そこに、この事件のトリックがあります!」
「弁論を進めて下さい。」
裁判長が先を促す。
「遅延性の毒物はこの端間さんが持ってきた果物ナイフに塗られていたんです!」
私は声の大きさを上げて言った。