闇夜に浮かぶ王都の影。
レイスはその闇を切り裂くように駆けていた。
彼の足元には、波紋を広げながら疾走する血の馬。
己の血を編み、骨と肉を形作る。
かつて異魚天と誓った──どんな手を使ってでも、お前を助けるという約束を果たすために。
「異魚天……待ってろよ。」
冷たい風が頬を叩く。
そのたびに、レイスの記憶は蘇る。
──過去。ケンドラ城塞。
血まみれになりながら、刃を交えた日。
戦いの果てに、いつの間に二人は笑っていた。
そして、共に誓った。
『お前が倒れるときは、俺が助ける』
『お前もだ。約束しろ』
『ああ、約束だ』
……今、異魚天は戦っている。
アレクシスが、どれほど恐ろしいものかは知らない。
だが、異魚天が止めようとしているなら、それだけで十分だった。血の馬は、王都の門を超える。
レイスは目を細め、夜の王城を睨みつけた。
「親友を迎えに来たぜ。」
──血と誓いを背負い、彼は戦場へと駆ける。
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