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王城の広間。
黒曜石の床に月光が差し込み、影が不気味に揺れる。
アレクシスが玉座に腰を掛け、ワイングラスを傾けていた。
その背後には、龍神陛下の古びた肖像画──そして、王国を崩壊させるための契約が刻まれた石碑。
「裏切り者ども。」
血の馬を乗り捨てたレイスは、赤黒いオーラをまといながらゆっくりと歩み出す。
異魚天は刀を抜き、鋭い視線でアレクシスを見据える。
「……随分と酔っているようだな、アレクシス。」
「フフ……まあな。」アレクシスは微笑む。「だが、最後の晩餐になりそうだ。」
異魚天が冷たく睨む。「随分と余裕だな。」
アレクシスはワインを飲み干し、グラスを床に叩きつけた。
その瞬間──
王城が歪んだ。
──100年前の戦場、ケンドラ城塞。
レイスと異魚天が共に戦った、あの因縁の地。
その瞬間が、王城の広間に具現化する。
壁は崩れ、天井は黒雲に覆われ、地面には無数の死体。
その中央に立つのは、巨大な影──
かつて王国を崩壊させた興魔族、ケンドラが蘇る。
「異魚天、レイス……お前たちは、この過去を乗り越えられるか?」
アレクシスが微笑む。
異魚天は刀を構え、レイスは血を操る構えを取る。
崩れ落ちる瓦礫、黒雲に包まれた空、地を覆う無数の死体──
そして、その中心に立つのは、興魔族ケンドラ。
黒い鎧をまとい、異形の四本腕を持つ巨躯。
その口元には、不敵な笑みが浮かぶ。
「100年ぶりだな、レイス。」
ケンドラが低く嗤った。
レイスは拳を握り締める。
こいつのせいで、王国は崩壊した。こいつのせいで、すべてが狂った。
「……二度と蘇るな。」
レイスは血を操り、無数の血刃を宙に浮かべる。
異魚天は静かに刀を抜いた。
「久々に本気で斬るか……!」
「再び王国を地獄に沈めよう!」
ケンドラが叫び、四本の腕が一斉に振り上げられる。
次の瞬間、雷が大地を砕き、黒い瘴気が広間を満たした。
──その一撃で、城の床が大きく陥没する。
異魚天とレイスは、同時に後方へ跳躍。
「まずいな……こいつ、100年前より強いぞ。」
異魚天が苦笑しながら呟く。
アレクシスは玉座に腰掛けたまま、静かに微笑む。
「さて、お前たちはこの“過去”を乗り越えられるのか?」
ケンドラが再び襲いかかる。
レイスと異魚天は、それを迎え撃つ。
──過去との決着をつけるために。