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最近はレアン寮の寮が暗くて、目が悪くなりそうだというような悪評が殺到していた。
タチが悪くて、早く他の寮に追いつこうととてもとても必死になったため、七魔牙の会議は一時期のみ無くなった。
それで、俺は今までほぼ毎日していた七魔牙の会議が無くなってしまったことに少し寂しさを感じた。
『あの…!』と後ろから呼びかける声がして振り向いた。同じ七魔牙のメンバーの一人であるアビスだった。
俺は、『うわっ、なんだアビスかよ~ビビっちまったじゃねぇかよ~』と言って笑った。
でも、彼は俺がいつもより気が落ちていることが分かっているように、『ワース、いつもより元気ないじゃないですか。悩んでいるのならいつでも相談してください。私達は同じ寮室で、ルームメイトなので。』と言ってその場を離れた。
『俺って、気ィ落ちてんのかな…』とまた寂しさがつのった。
翌日、七魔牙の会議は一時期のみ無いと言われていたというのに会議があった。俺は気が落ちていたところから一気に気分が上がった。
俺はレアン寮の監督生であるアベル様に『アベル様、なんで一時期のみ会議は無くなるとか言ってたのに一日だけだったんスか?』と聞いた。
彼は言った。『一日だけで明かりが明るくなって、一時期ではなくてもよかったからだ。』と。
俺は3年生以外のメンバーと会えなかったので、次々とそいつらに絡んだ。
神童と呼ばれるマイロは、『第三魔牙、落ち着こう。』と慌てながら言っていた。
メンバーでたった一人の女の子のラブは、『ワース、会えなかったからってそんなにウザ絡みしないでほしいなの。』と照れ隠しをして言った。
体格の大きい後輩のオロルと、真理ばかり言う後輩のアンサーは、『ワース、一旦落ち着いてもらえると幸いです。』、『第三魔牙、知っているか?抱くとは、人のストレスが緩和される行為だ。』といつものような顔つきで言った。
そんなこんなで会議が終わり、皆して自分の寮室へと戻っていった。
俺は、喧嘩をしてしまった幼馴染に謝らなくてはいけないことを思い出した。
そして、『アベル様、失礼しました~~~~~!』と慌てて会議室を抜け出した。
俺は幼馴染の寮室がどこか分からなかったので、向かっている途中で会った寮生に聞いた。
『あのさ、シュエン・ゲツクっていう子の寮室ってどこにあるか、分かる?』
『ああ~それならその子と同じ寮室なんで、付いてきてください!』と言っていた。
俺はなんの構いも無しにその寮生に付いていった。
『シュエン!』と着いた先の寮室の戸を開けた。そしたら、彼は一言も発すること無く不機嫌な表情でこちらを見つめてきた。
『シュエン、本当…ごめん!』
『え?』
『お前の気に入ってる手鏡割っちまったの、実は俺なんだ!』
『言うのが怖くなっちまったから、ずっと黙り込んでたんだ…本当にごめんなさい…』と俺の目から自然と涙が溢れてきて、年上のくせして泣いてしまった。
『ワース、謝りに来てくれたんだな。あ、丁度俺も言わないといけない…』
『…え……?』
『お前がずっと行きたいって言ってたラスライズ州ってあっただろ?』
『そこ、隣のテイトリー州に占拠されてて今は行けない状況になってるらしい…』
『というかもう立ち入ることすら禁じられてるみたいなんだ…』
『約束だって言ってたけど、無理みたい…』と言った後に彼は黙り込んでしまった。
案内してくれた寮生は『ワース先輩、どうします…?彼、もう話してくれなさそうですし…』と言った。
俺も、『そうだな…シュエン、話したいことあんだったら後からでいいから話しに来いよ~』と言って自分の寮室に戻った。
寮室には、勉強机と椅子とベッドとその他諸々が置いてある。俺は寮室に入った途端に暗かったので、アビスはもう寝てるんだと分かった。会議は22時に終わって、俺が戻ったのも22時何分かくらいだったのでアビスが寝ていてもおかしくない時間帯だった。
俺は静かに寮室の戸を閉めて、速攻で風呂場に向かった。
『ふぅ…やっぱ一番落ち着くのは、風呂入ってるときだな~…』と言いながらシャンプーで頭を洗っていたら、ガタンと音がしてビックリした。でもそれは、ただコップが落ちるギリギリのところに置いてあって落ちただけだった。俺は、早く風呂から上がって部屋に戻って夕飯は食べていなくてもいいやと言って歯を磨いてから寝ようとした。
すると、アビスのベッドから小さな光が一つ見えた。俺は、気になってアビスのベッドに向かった。すると、そこには小さなランプが一つ置いてあった。アビスはベッドに横たわって寝ていたけど、寝相が悪いとかもない。寝癖もなく、凄く綺麗な髪をしていて少しだけ羨ましいなと思った。
そして、その小さなランプは汚れていなかった。ものすごく綺麗に手入れされているようだった。
そして、今日から俺達3年生は”高校4年生”だ。
コメント
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小さなランプが時の訪れを教えて、いつの間にかアベアビワスは新学年になってたっていう設定です。