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レモン「………………かみ、さま?」
佐藤「………………夢って、いつもすぐ忘れちゃうのに…………その夢だけはずっと覚えてます。」
佐藤「何かものすごく広くて、暗くて、光が見える場所に、私は一人ぼっちで泣いていて、」
佐藤「そうしたら神様が現れて、私に何かを言ってくれるんです。」
佐藤「それを聞いて私、すごく救われた気持ちになったんですけど…………….」
佐藤「何を言ってくれたのかが、どうしても思い出せなくて………………」
レモン「なるほど、ねぇ…………….」
レモン「……でも、それがあの事件とどんな関係があるの?」
佐藤「今では集団幻覚だって事にされてますけど………」
佐藤「夢幻覚事件の現場にいた多くの人は、当時インタビューを受けた時、まるで示し合わせたみたいに同じことを言ったんです。」
レモン「…………同じこと?」
佐藤「______光の中に、神様を見た。」
佐藤「もう少しで願いを叶えてくれたのに。」
カラスは何を感じ取ったのか、どこかへ羽ばたいていく。
佐藤「おかしいですよね……誰も神様なんて見たことがないのに、その日大勢の人が疑いもせずにそんな事を言ったんです。」
佐藤「でも私には、その人達の感覚が…………分かる。」
佐藤「もし彼らの言う”神様”が、私が見た”神様”と同じなら、あの事件の真相について知ることで神様に会えるかもしれない。」
佐藤「もし会えたら聞いてみたいんです。」
佐藤「夢の中で私に何て言ったのか……………。」
佐藤「………や、やっぱり、変な話、ですよね……?」
レモン「う〜ん……そうだね、変だね!」
佐藤「……ぁ、………アハッ………」
レモン「いや、夢で見た神様探すなんて、普通思わなくない?」
レモン「めっちゃぶっ飛んでるよw やっぱり燈利ちゃんって変わってんねw」
佐藤「………よく言われます」
佐藤「やっぱり、神様なんているわけないですよね…………。」
レモン「…………いや、いたと思うよ。今は分かんないけどねw」
佐藤「え?」
レモン「……てか、その”神様”?に会って、その……救われた言葉?」
レモン「それ聞いてどうすんの?」
佐藤「どうするって……私がそうしてもらったみたいに、誰かを救ってあげるんです。」
佐藤「そしたら、」
佐藤「幸せな世界になるじゃないですか!」
レモン「………やっぱり変わってる。」
レモン「あ、もうこんな時間……そろそろ帰んないと怒られちゃうw」
レモン「燈利ちゃんも帰りな?最近この辺で不審者がうろついてるらしいよ〜?w」
佐藤「え!?か、帰ります………」
佐藤「あ、そうだ……..あと、今度ここの跡地を見学させてもらうことって………」
レモン「あ、さては最初っからそれが目的だな?」
レモン「何回も言うけどダーメ!ほら、帰った帰った!」
佐藤「う……分かりました……。じゃあ、さようなら〜!」
レモン「じゃあね〜!」
レモン「ふぅ………。」
スマホに目をやる。
レモン「………な〜んで、こうなったんだか………」
半ば投げやり、指でスマホの画面を叩くが[error]としか出ない。
指が捉える先には1つのアプリがあるだけだった。
心のすべてを見透かされているような感覚のするほどの目のアイコン。
気味が悪かった。
レモン「まぁ、始まったら始まったで…………」
レモン「始まらなきゃ良かったのにとか、言ってたりして。」