em「……いい加減にしないと家から追い出しますよ…」
gr「むぐッ?!」
そこには洋菓子を頬張った少年が居た
綺麗なルージュのような赤い瞳は綺麗だった
em「いいんですか?貴方と私じゃ地位が違うでしょう…スッ…」
em「ましてや…教師の息子と軍事国家に所属してるとこの方とでは違いが多すぎる…ゴク…」
少し熱めのハーブティーがちょうどいい
口の中でやけどしない程度に冷たくない程度に
gr「ふむ…ゴクン」
gr「お前はその程度の縛りに締め付けられるのか?」
em「ムッ…」
gr「そもそも、この国も世界もどうかしている」
gr「戦争は確かに利益を得る」
gr「だがその分どれだけ損害を出させないかが肝心だ」
em「戦争ではドイツも負けていないでしょう…」
gr「確かに、ドイツは強い」
gr「だが弱点もある」
gr「”強い”というのはある部分に特化したとこのみだ」
gr「けして損害を出さずに利益を得ているわけではない」
em「そんなの私でも分かります」
em「一体何が言いたいんです?」
em「言っておきますが私はそこまで戦争に興味h((((((」
em「そんなの誰だって知っているでしょう…いつだって人という生き物は醜い」
gr「はて?それは本当に人間だけか?」
gr「私は全てが醜く見えるゾ…」
その瞳はまるで獲物を離すまいとする鷹の目だ
鋭く気高いその瞳は真実を映す鏡のようだ
gr「それはちょうでさえもだ」
em「……侮辱する気ですか…ジトッ…」
gr「そういうふうに聞こえるか?ならお前はこれ以上私とは話せないカツカツ…」
彼は優雅に足を運んだ
em「貴方の言いたいことは多少は分かる…」
em「ですが謎が多すぎる」
gr「つまり幼児が食べやすいくらいに噛み砕けということか?」
em「言い方に悪意が感じますが…まあそういうことです」
gr「正直なのは嫌いじゃないゾw」
em「人間は汚れている、それは分かっています」
em「ですがソレ以外の生き物もというのはどういうことです?」
gr「そのままの意味だ、争いをするのは人間だけではない」
gr「人も生き物も全てプログラムされている」
em「……ならば…それは全世界の人間…生き物がですか…?」
gr「あぁ、いつだって頭にはそれがある」
gr「だがそのプログラムを理解するのは不可能だ」
em「いわば…人間が蝶という生き物を理解したと思っているだけで本当はまだ未知がある…ということですか?」
gr「あぁ、分かりやすく言えばな」
gr「だが…そんな我々と彼らに違うとこは一つだけある」
em「知能…?」
gr「そりゃ…他のと比べたら知能は高いだろう…(汗)」
gr「正解は”裏と表”だ」
gr「人間は必ず裏と表がある」
gr「これはどんな生き物を探ってもきっと人間しか居ないだろう」
em「裏と表…そうですね…それは理解が出来そうです…」
美しく飛ぶ蝶が窓の外をふわふわと通り過ぎていく
美しいあまりに見惚れそうだ
em「でも…私はつくづく思ってしまう…」
em「裏のことも表に染みるように出てくる…」
gr「あぁ…全くだ」
em「貴方は…やはり人ではない…」
em「私にはすべてを見透かした”神様”に見える」
gr「ははwアイツにもそう言われたなぁw」
em「貴方は何者なんですか?」
em「どうして私と巡り合ったんですか」
gr「さぁな…w」
em「運命…ですか…ボソ」
em「また神様は変なのをお作りになられたようですね…サラ…」
gr「だが…きっと神はこう思っている…」
gr「いや…神は願っている」
gr「この先何十年…何千年…何億年という年月をかけて」
em「神様も暇ですね…ある意味退屈そうに思えてきます」
gr「神はいつだって退屈さw」
gr「たかが世界で何万の人間が死のうときっと涙は流さない」
gr「神には目も鼻も何も無いからなw」
em「貴方は…もし神様が実在するなら…何を望みますか?」
gr「クックッw」
gr「面白いことを聞くじゃないか…w」
gr「神の助言などいらんw」
その時の彼はすごく綺麗で光っていた
眩しくて眩しくて
彼を見ていられないほどに
em「それもまた…いい考えですね…スタスタ」
そして少年は部屋をあとにした
きっと知らないだろう
彼がこの先どうなることも…
em「パラ…」
自室とはとても心地が良い
不思議なものだ
父はよく私によく理解不能な言葉を言う
em「……」
夜は静かで誰も居ない
いるのはいつも私に会いに来てくれる蝶のみ
em「今日もいらしたんですね…スッ…」
それは小さくてか弱いかが
とても美しい
em「貴方ともあと数年経てば会えなくなる…ナデ」
em「とても残念に思います…」
人とは人個人で生きれる時間は決まっている
それがどれだけ善人や悪人であろうと
私は運悪く20になるまで生きられない
なんとも憎い話だろうか
em「せめて…その日が来るまでとはずっと来て下さいね…フワ」
蝶は遠くへと飛んでいった
そしてまた戻ってくることを私は願った
em「…汚れた世界で一番美しいもの…ボソ」
em「……それは一体なんだろうか…ボソ」
誰も彼の言葉に返事はしない
誰も居ない夜と彼だけが世界に取り残されたかのように…
次回➳嫌 い な 人 間
NEXT➳♡600
コメント
1件