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【side:ジュリ】
私には本命がいる。
それはツキじゃない。その事は初めからツキには話してある。彼は既婚者で、とても自分から誘える様な相手じゃなかった。私にはツキがいる。そう、ツキは彼の身代わりなんだ。満たされない身体を埋める為に都合良くそこにいた彼をセフレにした。ツキも満たされない心を身体で埋めていたからお互いに一致したんだ。
ツキと一緒に過ごした夜から2年が経った。今も関係自体は変わらない。ツキとはセフレだけど、でも今はそれだけじゃないと思っている。友達の様な、お兄ちゃんの様な…とても、とても大切な人。
セフレになった数日後、私の部屋で初めてエッチをした。やっぱり土壇場でビビった私に、「無理しなくて良いんだよ。」と言って、とても優しかった。
確かに私はバーでツキを見た瞬間とても気に入った。だって顔が好きだったから。ツキという人の中身なんかはどうでも良くて、本当にただ見た目だけだった。
「もう分かったよ。周りのお客様にも迷惑になっちゃうから、お店が終わったら話ししよ。」
そう言って、暇さえあればバーに何日も通って勢い良く話す私の話しを聞いてくれた。
本当はめちゃくちゃヤバいやつで薬とか何か飲まされて姦されたらどうしようとか、ネットに晒されて社会的にも働けなくなるかもとか、バカみたいにあれこれビビってた。考え無しなところとかあるから今までも失敗する事とかもあったんだけど、私は何だかんだ周りに助けられて生きてる。
でもそんな事は一つも無かった。
ツキはね。運命なんだよ。私の人生の一部。
勢いだらけの私の話しを呆れながら聞いてくれるところとか、口数少ないけど、聞いた事にはちゃんと答えてくれるとことか、私が飲み過ぎると心配してくれるとことか、気持ち良いところを探しくれる優しいエッチとか、「大好きー!」って抱き付いた時の困った笑顔とか。ツキはとにかく優しい。
バーにいる時は私が行っても無表情で塩。まさに塩の塊みたいな人だけど、2人になるとめちゃくちゃ雰囲気が柔らかいし、話し方も本当に優しい。たぶん、私がかなり年下だから妹みたいに思ってるんだと思う。
始めの頃、冷たい態度が寂しくなって、どうしてお店だとそんなに素っ気ないのか聞いてみた事がある。
そしたら、「だって、外でジュリが変なのに絡まれたら困るでしょ。僕、恥ずかしいけど、ケンカ出来ないし。」って言ってた。それに、「仕事の同伴とか、誰かと一緒に居る時に使うのは良いけど、出来れば1人では来ないで。」って言われた。「心配だから。」って。心配なんてキャバの店長とか黒服にしかされない。私は金のなる木だから。
ツキの優しい言葉選びが好き。本命を好きな気持ちは変わらないけど、その好きだって気持ちが無事に成仏してくれているのはツキがいてくれるから。
何度だって言える。
ツキはとても、とても大切な人。
・・・・
ある朝、起きたらツキのアゴにヒゲがうっすら生えていた。「きゃゃぁぁぁ!!!!」私の盛大な叫び声に「どうしたの?」ってツキが寝ぼけながら心配していた。
「ツキ!!ヒゲ!ある!」カタコトで言うと、「ふふ、僕、男の子だよ?ヒゲくらい生えるよ。朝から元気だね。」って呆れた顔で笑われた。
即、医療脱毛の予約をした。
「はい、ツキさん!これから出かけます!お風呂!着替え!早くー!!」
「え?僕も?えー。」
あの頃は本当に勢いだけが取り柄だったからツキも渋々ついて来てくれたけど、自分がされる側だと知った途端に受付でUターンしようとしてた。
「一生のお願い!もういっそのこと毛根根こそぎ抹殺して全身ツルツルになって!!!」手を合わせて全力でそう頼み込むと「はぁ…わかったよ…でも、一番痛く無いやつにして下さい。」と、一生のお願いを聞いてくれた。
「ぃやったぁぁー!!」自分のバースデイイベントの時よりテンションが上がった。
ツキがツルツルになるまで全て付き添った。
今ではどこもかしこもツルツルになって、お肌の手入れも全身保湿をする赤ちゃんの状態になった。元から体毛は薄かったけど、マジで下も全部ツルツル。
さすがに本人は恥ずかしいらしいんだけど、「2人ともツルツルで気持ち良いね。」と、ツキが可愛い笑顔で言っていたのは私の一生の宝物だ。その笑顔はココロのスクショに永久保存してある。
◆◆◆◆
眠る前、ツキと布団の中でイチャイチャしている。イチャイチャしてると思っているのは私だけかもしれないけど、ツキもスマホでゲームしながら脚を絡ませてもギュッとしても何も言わないでくっついてくれている。この時間もとっても好き。
別に本当に思ってい訳じゃないけど、敢えて、たまには不満を言ってみる。
「最近あんまり会えて無いね。ちょっと寂しいかも。」さぁどうだ?
「わかった。行くから寂しかったら呼んで。」
「やったー♡」100点満点の回答。
最近感じている事をツキに聞いてみた。
「ねぇツキ?」
「なに?」
「あのさ、最近好きな人できたでしょ?」
突然の質問にツキが驚いた顔で胸にくっついてる私を見てる。すぐに困った笑い顔になり、「…そんな人いないよ。」そう言ってまたゲームに戻っていた。
「ふーん。だよね!ツキには私がいるもんね!」
「そうだね。」
「もし、気になる人がいて、嫌な事されたら私がぶっ飛ばしてやるよ!ツキ、ケンカ全然出来ないし!」
「ふふ、ジュリ、カッコ良いね。」
「そうだよー。ジュリちゃんは可愛いくてカッコ良いんだぞっ♡」
「お姫様なのに王子様?」
そう言うとツキは優しく笑っていた。
「ツキ、大好きー♡」
「ありがと。」
『ツキ…最近本当によく笑うようになったね…。』
少しの寂しさと一緒に、ツキの変化が嬉しかった。
ツキが離れてしまうその時まで、私がツキにとってのお姫様と王子様の両方でいたい。そう思った。