急いで、もう冷たくなった長尾を持って殺風景な自分の家に帰えろうとした瞬間、上から黒い大きなものが降ってきた。
よく見ると、薄紫の長髪の彼が居た。その彼は、顔こそ見えなかったものの、僕がよく見ていて、知っている人物のような気がした。そして、彼は小さく呟いた
「長尾景の〜〜〜〜を返してよ。」
小さく呟いたせいか、桜が騒いだせいか一番大切な部分が聞こえなかった気がする。
でも、その彼から嫌な気持ちが感じられる。
どうしたら良い?こんな時長尾がいれば…
考えてたってしょうがない、まずはこの状況をどうにかしなくちゃ
「やっ⤴︎やぁお兄さん!鬼ごっこしようよ!」
声が裏返っちゃったけど、通じたかな?
「したいならする?じゃあ僕が鬼だからね!出発の合図は笛で知らせるね、早く逃げてね…」
「は、はいぃ!」
まず、おげんに…いや、巻き込んじゃう…そしたら長尾に?でも…長尾にこれを見せるのは…
「あと10秒だよ?逃げないの?」
その声で現実に引き戻されてから、まず彼から逃げなきゃという答案が頭に浮かんできた。
まずは逃げてから始めないと
ダッ
そろそろ10秒経つ頃に遠くの方から、ピーという音がした。この音、どっかで聞いたことがある?
そう言えば、弦月の魔呼びの笛で…
ハッとした時にはもう遅かった。
瘴気があると思えば後ろに大型の狼魔が居た。
やばい。
札も置いてきちゃったし、今使えるのと言ったら弦月達を呼ぶ事と、軽い拘束の術。
その時、頭の中に長尾の言葉が思い浮かんだ。
(晴は、しっかりしすぎなの!たまには頼れって!)
しょうがない、頼るしかないのかな?僕が頼っていい人たちなのかな…
もう!なんとかなれ!
シュイン
「ハル!今どこに居る!」
「長尾!助け…」
「ハルもうすぐ消えちまうんだろ、なら早く還ってこいって…」
「え?」
「弦月は、泣き疲れて寝ちった。」
「お前が早く帰ってこないとVΔLZはもう無くなっちまうだろ!」
「……」
「だから早く…」
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