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彼はとても私によく接してくれた。しかし妙に引っかかることがある。彼は話してもないのに私の好きなものや趣味を知っていたり、兄が失踪したということも知っていた。保健室の先生には兄がいたことを話しており、先生が言ったのかなとその時は勝手に解釈した。そして彼は放課後に近くの公園に来てほしいと言ってきた。私は彼を疑うことはしなかったので、素直にかわいさとして了承した。
そして放課後、約束通りあの公園に来た。その時は既に彼はブランコに座っていて私を見つけると小さく手を振った。私が隣に座ると、彼は一輪のスノードロップを差し出した。スノードロップはよく家の花瓶に飾っていたものだった。母曰く、それは兄の好きな花だったらしい。この花を見た瞬間、会ったこともない兄の顔が浮かんできた。なぜだろう。Aはどことなく、浮かんできた兄の雰囲気に似ている。
そして次の日、保健室の机の上にたくさんのスノードロップが入った花瓶が置いてあった。先生に尋ねると先生が来たときには既に置いてあったらしい。私はすぐに、Aが置いてくれたと思った。その晩、私はたくさん泣いた。気づいたら涙が溢れていた。今日は何も嫌なことは起きてないはずなのに、なぜか胸が強く痛い。それも私からは日常茶飯事だ。泣いて寝て憂鬱なまま学校に行くつまらない毎日が私の人生だ。