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3話ー!!
第三話:夜の記憶と絆
静寂の夜に霧が立ち込める中、3人の影が石畳を踏みしめながらゆっくりと進んでいく。
廃工場での任務を終えたばかりの彼らは、次の目標を探しながら夜道を歩いていた。
深い霧は景色を隠し、夜空にはかすかな星が瞬いている。
「さてさて、次の任務は何だろうねぇ?」
イタ王が軽快な声で笑いながらリボルバーを指でくるくる回している。
「ioとしてはちょっと派手で刺激的なのがいいけどね!」
ナチスが鋭い目で彼を見やりながら短く返す。
「騒ぐな。任務を見極めるのが先だ。」
その声は低く静かで、夜の静寂に溶け込んでいった。
日帝は影の中に身を沈めるように歩き、静かに答える。
「重要なのは、正確に仕事をこなすことだ。」
彼の声は深く、重みが感じられる。
それぞれの足音が石畳に響く中、彼らは廃工場近くに貼られた古びた掲示板に辿り着く。
掲示には次なるターゲットの情報が記されていた。
「連合国の重要人物、行動が追跡されている。」
ナチスが手際よく情報をまとめ、
「この人物を排除することで、我々の目的に近づく。」
と冷静に分析する。
その言葉にイタ王が興味を示しながら、
「へぇ、面白そうだねぇ!でもさ、ioたちがこんなことしてる理由って何なんだろうね?」
と軽い調子で問いかける。
ナチスは軽く眉をひそめながら静かに答える。
「理由は明白だ。奪われたものを取り戻すため、正義の名をかざす者たちに反旗を翻すためだ。」
日帝が暗い声で続ける。
「俺たちは…家族を、故郷を壊された。連合国の正義は偽りだ。」
イタ王が少し真剣な表情を見せつつ、
「まぁ、ioも全部失った。でもさ、それを埋めるものは刺激的な人生。面白いと思わない?」
と軽い笑みでその場を和ませた。
霧が立ち込める夜道を、3人の影が黙々と進んでいく。
深い夜の静寂の中、石畳に響く足音だけがその存在を知らせていた。
イタ王がリボルバーを回しながら、ふと口を開く。
「ねぇどうして2人とも、そんなに復讐に燃えてるの?」
声は軽い調子だが、どこか真意を探るような響きを持っていた。
「ioとしては、ちょっと気になる話題だよ。」
日帝が一瞬視線を動かし、低い声で答える。
「俺の理由は…簡単だ。家族を守れなかった。俺が弱かったから…」
その言葉にイタ王は少し驚いたように目を丸くし、
「へぇ、日帝でも失うものがあったんだね。」
と冗談交じりに言う。
日帝は霧の中を見つめながら、その日の記憶に触れた。
「日帝…弟たちを頼んだ…!」
「兄さん僕達を置いていかないで…!」
父の頼みの声が、彼の耳に響いていた。
敵が押し寄せる中、刀を手に戦ったが、全てを守ることはできなかった。
「…俺の刃が遅かった。それだけだ。」
日帝の声は低く、重く響く。
ナチスがその言葉に短く応じた。
「お前はよくやった。自分を責めるな。」
冷静な口調だが、その中には確かな思いやりが感じられた。
イタ王は肩をすくめながら、
「いやいや、日帝はその真面目なとこがいいんだよ!…でも、ちょっと肩の力を抜いても、神様は怒んないんじゃない?」
と明るく笑った。
そんな言葉に、過去を認めてくれたような、責められることがなかったと言うような…
なんというか未知の気持ちに日帝の心は埋め尽くされた
次にイタ王がナチスを見つめ、
「じゃあリーダー、君の理由は?冷静すぎて、何考えてるのか分からないけど。」
と問いかける。 ナチスが短く息をつき、
「…連合国に裏切られた。たったこれだけだ」
と答えた。
ナチス、家族を見捨てざるを得なかった日の記憶を呼び起こした。
廃墟となった街、その中で彼は戦い、生き延びることを選んだ。
家族を守ることは叶わず、決断の重みが胸に残る。
「正しい判断だった…はずだ。」
ナチスの声には、冷たさの中にわずかな揺らぎが感じられる。
自分自身に「正しかった」という催眠をかけ、後悔から逃げることしか出来ない自分に、気づいていたにもかかわらず。
日帝が静かに頷く。
「お前は合理的な選択をした。それは誰にも否定できない。」
「俺からの意見だが、それは正しい判断だろうな」
イタ王が軽快に笑って、
「ほらほら、真面目な話ばっかりじゃん。ioならそんな後悔に浸るなんてゴメンだよ!」
と明るく空気を変えた
ただただ自分に催眠をかけ続けていたナチスにとって、これ以上に欲しかった言葉はないだろう。
心が温かくなるような、不思議な感覚を、ナチスは忘れられなかった。
ナチスの話が終わった後、イタ王は自分の胸に手をおいた
「まぁ、ioも全部失ったけどさ。」
そう呟くイタ王
彼の記憶の中には、愛する者と見上げた星空が蘇る。
その静寂の幸せは、突然の襲撃で消え去った。
全てを失い、彼が選んだのは刺激を求める生き方だった。
「…こんなやり方しか、埋められなかったんだよ。」
「…まぁ!今は平気だよ!これから出会いもあるだろうし、!!」
イタ王は小さな笑みを浮かべながら語った。
自分でも分かっていた。
これ以上仮面は被りたくない。平気なフリをするのにも疲れてしまった。って
もういっそのこと、あの子のもとにいけばって…
イタ王の異変を察知したナチスが口を開く
「お前は本当に平気なのか?。」
「…………え…?」
核心をつくような言葉に思わず声がでる
「俺と日帝でさえ、過去に縛られ苦しんでいるんだ」
「お前だけ平気なのは変な話ではないか?」
「………」
イタ王はどうしたら良いか分からなかった
あの子が死んでから、仮面ばかり被っていたから…
仮面の外し方も、本来の気持ちも忘れてしまった。
前に進まなければならないのに_
「無理して前ばかりではなく、後ろを振り返ってもいいんじゃないか?」
日帝が口を開く
「確かに新しい出会いや体験を求めるのも大事だ。実際、そのおかげでお前達と出会えたしな。」
「…だが」
日帝がイタ王の目を見つめる
「時には過去を振り返って思い出に浸るのも悪くないだろう?」
「……ッ…」
どうにも言えない気持ちが、込み上げてくる
この気持ちは一体__?
よく分からないが、目頭が熱くなる、
「無理して押し殺した人格よりも素のほうがよっぽどお前らしい」
ナチスが、まるで当然かのように言う
「もちろん無理は禁物だ。少しずつで良いんだよ。きっと」
……やっとできた仲間にそう言ってもらえた
もう、仮面を被る理由も無くなる
でも怖い…
嫌われたらどうする。引かれたら?、また、ioの前から消えるかもしれない。
そんな不安そうなイタ王に日帝は言う
「まぁ、俺達はお前がどんな選択をしようが、ずっと隣には居るさ」
……え…?今、日帝は何と言った、?
隣にいる?ioの、?仮面をかぶってる、?
「それは復讐が終わっても…?」
所詮io達は復讐のため…きっと…
だが、返ってきた言葉は__
「居てはいけないのか…?」
胸がキュッて締め付けられた
その瞬間、確信した。こいつらは、きっとioを見捨てないって_____
「うん…ありがとう二人とも」
霧の深まる夜道の中で、3人の会話は自然と過去を繋ぎ、それぞれの記憶を呼び起こしていった。
その言葉の裏には、仲間としての絆が確かに刻まれていたのだ。
次なる任務へ向かう彼らの歩調は揃い、その影は夜の闇に溶け込んでいく。
彼らの間にあったわだかまりは解けきり、
目の前に広がる霧とは反対的に、3人の心は温かい色に澄んでいたのだった。