「僕と付き合っているのに浮気する貴方が悪いんですよ?
此れ迄に僕は貴方を愛して居るのに、何故貴方は僕を見てくれないんですか?可笑しいですよ
何故ならば僕と貴方は運命で繋がれた存在なのだから。ポっと出のシグマさんに何誑かされているんですか?
可哀想に、無理矢理僕の物から略奪されたのにも気付かず……洗脳されてしまったのですね………
大丈夫ですよ。直ぐに僕が貴方の全てを救済してあげますよ。さぁ!!一つになりましょう!!」
「は、………ゃ、ぐ……にげ、」
目の前で親友の筈のドストエフスキーに嬲られ、身体中を変形させる彼に釘付けになっていた
あり得ない……だって、さっきまでデート中で笑い合って……其れなのに、何故、、
鈍い音を立て、彼の頭からたらたらと血液が垂れる
「はぁっ、……はーっ、……」
助けないと、助けないと、助けないと助けないと助けないと助けないと助けないと助けないと助けないと助けないと助けないと助けないと助けないと助けないと助けないと助けないと助けないと助けないと助けないと助けないと助けないと助けないと助けないと助けないと助けないと助けないと助けないと助けないと助けないと助けないと助けないと助けないと助けないと助けないと助けないと助けないと助けないと助けないと助けないと助けないと助けないと助けないと助けないと
けれど愚かな私は動けなかった、虚な瞳の迄すっかり動かなくなった彼を見てからやっとかっと足が動いた
「はっ、はっ、はっ、」
息が切れる程走って、走って、知らない処で倒れてしまった
そんなトラウマから数年後、身を隠し山奥深くでひっそりと暮らしていた、彼奴が救ってくれた命を無碍には出来ず死ぬ事も出来なかった。
少し肌寒い夜、勝手に住み着いている小屋の窓から視線を感じる
「貴方の所為で僕の、僕だけのニコラーシャは奪われた…
彼の純潔は彼の悦びは、彼の運命は僕だけの物なのに
何で貴方ばっかりなんですか?何を吹き込んだのですか?
あぁ、あ、ぁぁ、僕の、……僕の、僕の、僕の物なのに!!!!!
何故シグマさんなんかに!!僕の何が駄目なんですか、?
ニコラーシャの事なら何でも知ってますよ、?
睫毛の数、生年月日、心拍数、爪の短さ、コンプレックス、口癖、手癖、寝癖の数………嗚呼、勿論ですとも、自慰行為は1日3回、而も陰茎では無く後孔、何て可愛らしいのでしょう!!彼が僕を求めている……早く小蝿を処理しないと……」
間違い無い、奴の声だ。而もボソボソとしていて聞こえづらいが、此れは本格的に危ない。本能がそう言っている
ドアに手を掛けた、やっと、逃げられ
「僕のニコラーシャを簒奪した貴方を赦すとでも?」
殺されたかと思ったら手脚を縛られアンティーク調の家具が並ぶ部屋に居た。
其処に居たのはヒョードルでは無く恋人であった彼だった。
「………」
彼は指一本すら動かせず、血濡れのベッドで眠っていた
「そんな……真逆、、、有り得ない、」
睡る彼の傍らにあったフルーツナイフ。
きっと自害したのだろう……
「動物には擬死という習性が有ります。此れは母が子を守る為自ら死骸の振りをするのです」
「ですが、此れで貴方の愚かさは十分理解したでしょう?」
僕に覆い被さる様に血塗れになっていた彼を必死に抱き締め、迫り来る悪魔を睨み付けた
「何と、あはれな。貴方には僕しか居ないのに」
血に濡れたかさかさの手が、頸に触れた
「可哀想に………悪魔に取り憑かれているんですね。今、煩悩から全て解放して上げましょう」
両目をぎゅっと瞑り、痛みに耐えようとするが、何故か彼は僕の腹を撫でた
有り得ない、だって、僕は男なのに、何で其れが…………
「ほら、貴方は僕からは逃れられない」
脈打つ其れが、捨ててしまいたい程にきみが悪い