コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
夜の帳が降りる頃、まどかたちは街外れの宿に身を寄せていた。長旅の疲れを癒す間もなく、彼らは次の一手を考えていた。
「レイス、お前の情報はまとまった。」まどかが言った。「王国はお前を危険視してる。アレクシスはお前を味方にしようとしてるけど、拒否すれば──」
「殺しに来るってわけか。」レイスは静かに呟く。
その言葉が終わる前に、窓の外の闇が揺れた。
──パキンッ!
ガラスが砕け散り、黒い影が一斉に部屋の中へと飛び込んできた。黒装束に身を包んだ暗殺者たち、《黒影》の精鋭部隊だった。
「……来たか。」サブが短剣を抜き、即座に態勢を整えた。
「全員、逃がすな。標的は如月まどか、レイス・ワイル、そしてその仲間たち!」黒影の隊長らしき男が命令を下すと、暗殺者たちは一斉に殺気を放った。
「チッ、面倒なことになってしもうたな……!」みりんがテーブルを蹴って遮蔽物を作り、すぐさま後退する。
「ここでやるしかない!」まどかは剣を抜き、最前線に立った。
黒影部隊の暗殺者たちは無駄な動きをせず、冷徹に彼らを包囲し、確実に追い詰めていく。
「全員、各個撃破しろ!」隊長が号令をかけた瞬間、十数人の暗殺者が四方から飛びかかる。
「ふざけるな!」まどかは疾風のように動き、目の前の暗殺者を一閃した。血飛沫が宙を舞うが、黒影たちは怯むことなく襲いかかってくる。
レイスもまた、赤黒い目を光らせながら、その鋭い爪を振るい、一人、また一人と闇に沈めていった。
「手数が多すぎる!」サブが叫ぶ。
「だったら──」萌香が息を呑み、胸元の十字架を握りしめた。「──神の名のもとに、退け!」
瞬間、神聖な光が宿全体に広がる。その光を浴びた黒影たちは苦悶の声を上げ、後退した。
「くそっ、こいつら、厄介だ!」隊長が舌打ちをした。
その隙を逃さず、まどかは彼の懐へ飛び込み、渾身の一撃を叩き込む。
「グッ……!」隊長は剣を受け止めるも、その威力に膝をついた。
「お前らの狙いは分かってる。」まどかが言い放つ。「けど、こっちも簡単にやられるつもりはない!」
隊長は悔しげに睨むが、部下たちの状況を見て決断した。
「撤退するぞ!」
黒影の暗殺者たちは、影に溶けるように姿を消した。
静寂が戻る。
「……やれやれ、これじゃ安眠もできやしねぇな。」サブが床に座り込み、ため息をついた。
「でも、これではっきりしたなぁ。」みりんが鋭い目で言う。「アレクシスは本気で私たちを消しに来てる。」
「……ああ。そして、次はもっと大規模な戦力を送り込んでくる。」レイスは夜の闇を見つめながら呟いた。
まどかは剣を収めると、決意を固めたように口を開く。
「……私たちも動くわよ。やられる前に、先手を打つ。」
王国との全面戦争の幕が、今、上がろうとしていた。