今日も人の子が化け物から逃げている。助けを呼ぶ声。それと同時に鼓膜が破れそうな程の爆発音がした。
「バクが悪い夢を食べるって言うけどそれ、僕たちが倒したのを食べてるんだよね〜。知ってたぁ〜?」
寝癖のついた髪に羊のような角の生えている少年のような風貌の少女は言った。名はスアロキン。
羊族の仕事は人の夢を守り幸せな夢を見せること。羊族はこの仕事を誇りに思っている。ただ、1人を除き。
(いつも通りの夢いつも通りのセリフ)
スアロキンはこの仕事に嫌気が差していた。
「いつも同じ事ばかり。誰かの夢を守って幸せにする。幸せじゃない僕が誰を幸せにできるんだよ」
スアロキンには両親も友も居ない。
昔はいた。大切な両親とただ1人の友が。その友は今やみんなの人気者である。
「ロタネブ、、、」
スアロキンの目線の先にはたくさんの人に囲まれた昔の友の姿があった。
ロタネブは浄化の力を持っている。化け物を倒すだけでなく壊れた物も直せる。
「僕は壊すことしか出来ないもん。仕方ないよね」
スアロキンの破壊の力は化け物だけでなく、時に全てを破壊するのだ。
「あ!スアロキンだ!!!早く逃げねーと全部壊されちまうぞ!!!」
ロタネブの近くにいた少年が叫んだ。
周りの人々も騒ぎ出す。
(いつも通りの朝、だけど慣れることなんてできないよ)
スアロキンは罵声が聞こえないように耳を抑えて走った。
(怖い、怖い、辛い、もう嫌だ!)
今にも泣き出してしまいそうだった。
だが走って逃げることしか出来ない。そんな自分にも嫌気が差していた。
「スアちゃん、、、 」
ロタネブ小さく呟いた。だがその声はスアロキンには届かなかった。
コメント
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続きが気になりすぎます(´。✪ω✪。 ` )