ハァハァ、、、
ここまで来れば大丈夫だろう。
草は伸び放題の丘の上。今は誰も近寄らない。
「ちゃんとコントロール出来るのにな」
溢れないように抑えていた涙が溢れてくる。
「僕ちゃんと化け物を倒してるよ。みんなのもの壊してないよ。なんで、、、」
生まれ持った力のせいでスアロキンの心が壊れていく。
(生まれて来なければ良かった)
-「スアちゃん!」-
スアロキンは幼少期を思い出した。
昔はまだ力が無く、みんなと仲が良かった。いつもスアロキンが前を歩きロタネブが後ろをついてくる。ロタネブが名前を呼ぶ度に嬉しくなった。
あんなに仲が良かったのにいつからだろう。もう会話もしなくなったのは。
「ロタちゃんも今頃僕のことを悪く言ってるのかな」
(そんなの嫌だ)
昔の友が自分のことを酷く言っていると思うと怖かった。考えたくもない。
でも、きっと今頃酷く言っているのだろう。ロタネブとスアロキンは昔は同じだったかもしれないが今は住む世界が違う。ロタネブはみんなに囲まれて、スアロキンはただ1人。
もし、願いが叶うならもう一度友達に戻りたい。そして破壊の力では無い、恐れられることのない力が欲しい。
ただそれだけでいい。みんなからの尊敬や大金などは願わない。
その願いが叶わないのならば、1度でいい。感謝をされてみたい。
今まで沢山の化け物を倒してきた。
だが一度も感謝をされたことはない。
みんな恐れて頭を下げて逃げていく。
頭を下げる。この行為が感謝を表しているのかもしれない。もしそうならば
「ありがとう」その一言が欲しい。
そうすればきっと何かが変わるかもしれない。
自分の仕事を誇りに思えるのかもしれない。
コメント
2件
この話読むと友達の大事さが分かってしまう