-mm side
善「次は僕がいきますね」
その発言の後、カードが読み上げられる。
その人間には 友人Aがいた
Aはその人間から見ても 人生に恵まれていない人物だった
Aの家庭環境は劣悪
虐めにもあっており
犯罪をさせられたことだってあった
Aはその人間に助けを求めた
だが その人間はAに手を貸さなかった
そして最終的に Aは自殺をしてしまった
さて この人間は生きるべき人間だろうか
死ぬべき人間だろうか
芽々「私は変わりません。生きるべき人間だと思います」
麗扠「死ぬべき人間かな」
胡霸「…俺も同じだ」
胡霸さんは捲し立てるように言葉を続けた。
胡霸「この人間は手を貸さなかったんだろ?」
胡霸「仁義が無え」
胡霸「死ぬべき人間だ、絶対に」
そのとき、この場にそぐわない椎名さんの明るい声が響く。
椎名「生きるべき人間じゃないですか?」
椎名「友人といっても、他人でしょ?」
椎名「自分の人生は自分でなんとかしないと」
椎名「俺を救ってくれた人も、そう教えてくれたので」
善「僕もそうかな…生きるべき人間だと思います」
善「もしかしたら手を貸せない状況だったのかもしれないし」
確かに、この文章にはこの人間に対しての描写が何もない。
手を貸すことによって、虐めの標的が自分になる可能性もある。
麗扠「うーん…やっぱり私も生きるべき人間、かな」
納得したのか、意見を変えた麗扠さん。
胡霸「…そうか」
胡霸「俺は変わらない、死ぬべき人間だ」
椎名「固いですねー…」
芽々「では、生きるべき人間、という意見が四人ということで…」
芽々「スマイリー。この人は、生きるべき人間です」
スマ『はい、回答を承りました』
スマ『続きをどうぞ』
椎名「最後は俺っすかね」
その後、椎名さんのカードを読み上げる声が響いた。
その人間は常に笑みを浮かべていた
その家庭環境が劣悪だったにも関わらず
家での家族の口論は絶えず
部屋は散らかり放題 罵倒は飛び放題だった
その人間にすがるようにして
様々な人間が手を伸ばした
実際 この人間は多くの人を救った
しかし この人間の救い方はだんだんと方向性が変わっていき
沢山の人がその言葉を信じて
自殺するようになった
死んだ当人にとっては救いだったのかもしれない
だが 他の人間及び世間はどうだろう
さて この人間は生きるべき人間だろうか
死ぬべき人間だろうか
胡霸「…どっかの宗教の長みたいだ」
麗扠「“死は救いだ”とでも言いそうだね」
麗扠「これは死ぬべき人間_ 」
そう麗扠さんが続けようとした瞬間だった。
椎名「これは生きるべき人間でしょう!」
椎名さんが叫ぶように言った。
胡霸「は?」
胡霸「死ぬべき人間だろ」
善「生きるべき人間じゃないですかね」
椎名「…!そうですよね!」
善さんに同調する椎名さん。
椎名「だって救っているなら本人たちも納得してるってことでしょ?」
椎名「なら良くないですか??」
善「…この人間は」
善「人を殺して、それが救済だって言っているんじゃなくて」
善「本人たちが自分で死んで、それが救いだって思っているんだったら」
善「この人間の関与する話ではないと僕は思います」
それに対して、胡霸さんがでも、と続ける。
胡霸「最初は自殺せずに救っていたんだろ?」
胡霸「なぜわざわざ自殺するようにする?」
胡霸「自殺が救いだなんて馬鹿げてる、死ぬべきだ」
麗扠「自殺へのレールを敷いたのはこの人間ってことだもんね」
吐き捨てるように言った胡霸さんと、
顎に手を置き考えている麗扠さん。
善「自殺したことと救ったことの因果関係はないんじゃ?」
椎名「これも結局他人なんだし、この人間に関係はないでしょ」
椎名「知ったことじゃない」
芽々「…白熱してきましたね」
みんなが討論している中、私は複雑な感情を抱いていた。
これに書かれている人間は、どこか。
…私に似ているような気がする。
_むしろ、自分自身のような気さえする。
私は軽く頭を振り、口角を上げながら言った。
芽々「‥仮定の話をしてみましょうか」
全員が聞き耳を立てる。
芽々「確か、麗扠さんのカードでしたよね」
芽々「その人は夢を追っていて、ある人物の言葉で自殺をしてしまった」
芽々「仮に、そのある人物がこの人だったら?」
芽々「“実力が無い”とか、“追っても無駄だ”とか、明確な悪意や殺意を持ってそう言った場合も」
芽々「善さん、椎名さん。あなたがたはこの人間が生きるべき人間だと思いますか?」
私がそう言うと、眉を八の字にして善さんは答える。
善「それは、生きるべきではない、と思います」
椎名「…同じく」
芽々「なるほど」
芽々「では、胡霸さん、麗扠さんに聞きます」
二人に視線を向ける。
芽々「この人がただの親切心で、その人のためを思って助言をしたが、その人は死を選択してしまった」
芽々「その場合も、死ぬべき人間だと思いますか?」
胡霸さんはハッと笑いながら言った。
胡霸「言葉ってのは難しいな」
胡霸「それは生きるべき人間だろ」
麗扠「そう言われれば、生きるべき人間だって思っちゃうね」
胡霸さんは私に続ける。
胡霸「本当によく口が回るな、魂檀芽々」
芽々「色んな人の相談を受けてきたので」
芽々「‥それではまとめます」
芽々「死ぬべき人間が2、生きるべき人間が2」
芽々「本当に綺麗に分かれますね」
だが、私の意見は変わらない。
芽々「スマイリー。この人間は、生きるべき人間です」
スマ『はい、回答を承りました』
スマ『お疲れ様です』
スマ『さて、改めて問2』
間髪入れずにスマイリーが言う。
スマ『この審判にて、最終的決定権を保持していた魂檀さんは正しいものでありましたか?』
スマ『それとも、正しくないものでありましたか?』
スマ『選べないという選択肢は無しです』
スマ『そして、魂檀さん自身にも答えて頂きます』
スマ『では正直にどうぞ』
胡霸「…一番難しいな」
胡霸「まあ、お前の言葉を借りるなら、正しい。俺はそう思う」
麗扠「最初のルールには従ってるしね。正しい」
善「うん、異論はないです」
椎名「芽々さんが正しくないなんてことないっすよ!」
芽々「私も今回の審判に対しては、嘘偽りなく答えたつもりです」
芽々「正しいと信じたいですね」
スマ『参考になる答え、ありがとうございます』
スマ『それでは次の部屋へどうぞ』
その声を境に、新しく扉が出現した。
コメント
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うぱさん好きです 仁義…仁義ぃ! めめさん口回るなぁ…それにしてもめめさんはそんなことしてたんか…… れいまりさんめめさんのこと心酔しててかわいい