三界にして、天界・冥府界・地上界と…
ついでに「自然界」も。
そういった世界、天使や神々…人間や魔物がそれぞれ暮らしている。その中で、一人の天使がこの地上界に舞い降りた。
名は──“ピット”。
光の女神パルテナに仕えし天使である。人間ではなく、本物の天使。
天使…なのだが、実は飛べない天使として記されている。それはなぜか…人の欠点を着くのは痛いにもほどがある、自分自身でも承知の上。冥府神ハデスにはそのようなことを質問され、少々心が傷ついた気がした。あれはさすがに酷い…酷すぎる。
それで…ピットが飛べない理由は…おそらく、生後から飛べないカラダになってしまったのだろう。状況が状況だから、そこは仕方ないとしか言えない。その時のパルテナは非常に悲しいお顔をしていた。飛べないということは、ピットにとっては悲惨なこと。背中に純白の翼があるのにも関わらず、それを活かせることができない天使などこの世に…
その話に関してはいつか……
現在、パルテナにお使いのついでに地上界の人々が平和で暮らせるよう、冥府軍が襲来してないかの調査を頼まれ、今こうして参上している。
「うーん…冥府軍はいなさそうだな。」
これなら、地上の人々に問題は起きなさそうだと安堵な笑みを浮かぶ。その様子を天界から見守っていたパルテナが口角を上げ、微笑む姿が見られる。ピットのことを心の底から信頼している証として__。
「冥府軍もこんなに静かだったらなぁ…なんて思うの、ボクだけだよね」
そろそろ、パルテナに頼まれたお使いをチャチャッと済ませようと商店街へ向かう際、茶フードを被った一人の少女に話しかけられ、「キミ、ひょっとして迷子?」と不思議に思いながら尋ねる。
「……?」
「あ、えっと…(迷子…じゃなさそう?)」
「もし迷子じゃないならさ、親御さんらは…?」
「……」
「……黙ってちゃ分からないよ。」
「あ、そういえば自己紹介まだだったね!」
「ボクはピット!よろしくね!キミの名前は?」
「……ない。わから…ない」
ハッとし、少女の名は名無しだということに驚くピット。ということは…家族も名前もない、ってことになるのだろうか。もしそうだとしたら…
ちなみに、翼は奇跡により、隠してあるので自分が天使だということは一切バレない仕組みとなっている。さすがはパルテナ様の奇跡!
「名前がわからないんじゃ、仕方ないよね。」
「よし!ボクが決めてあげるよ!えっと…キミの名前は…」
…の前に、少女が顎に手を添えて考え込むピットの服を少し引っ張り、向こうに冥府軍の襲来が来ていることを知らせる。
「え?わっ…冥府軍!?」
「さっきまで平和そうな雰囲気だったのに…」
「……」
「キミは安全なところに隠れてて!ボクがチャチャッとやっつけてくるから!」
「あ…!」
止めようとしても無駄だった。一足先に冥府の連中へと走って行ってしまったからである。少女は彼の背中を見届けていると、地面に一つの白い羽を発見。手に取ってみるとふんわりとした純白の羽が少々揺れて見えた。
ここで気づいてしまった。ピットの…彼の存在が。少女に気づかれてしまったことに関しては本人も驚くだろう。冥府軍の浄化が終了後、尋ねてみようと決心を。
「ふぅ…いっちょ上がり!」
一瞬で冥府軍を自慢の神弓で浄化し終えたところ、先程の見慣れた少女が駆け寄ってきて、片手に1枚の白い羽を持って。
「……コレ。」
「ん?え…それって。」
自分の翼の部分である白い羽を見せられ、これはマズイと思ったか、非汗が出始める。
「……羽。」
「そ、その羽…一体どこで拾ったかわかる、?」
ピットが冥府軍を浄化しに行ってくると去っていった後に地面にポロリと落ちていたと人差し指で方向をさしながら少しの説明を。
「あの時かぁ…」
「(もうこうなればはな…イヤイヤイヤ!さすがにそれはパルテナさまに酷く怒られる!何を考えてるんだ、ボクは)」
「……?」
天使と打ち明けようとしたその時、パルテナ本人にその話を拒否されつつ、その少女ごと回収することになり、天界エンジェランドに招き入れることに。
ここからが、ピットと少女による物語が進行していく──!
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