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10月14日、王城の南翼にある広大な訓練場。月明が石畳に鋭い影を落とし、冷たい夜風が戦場のような緊張感を運んでいた。

その中央に立つ二人──かつて親友となった剣豪、レイス・ワイル闇夜異魚天

「久しぶりだな、異魚天。」

レイスはゆっくりと愛用の細剣を抜き、月光を反射させた。

異魚天は豪快に笑い、肩にかけた大太刀を担ぐ。

「おう、レイス! こんな夜更けに何の用だ?」

レイスは微かに笑いながら、鋭い目を向ける。

「お前がどう動くか、確かめに来た。」

「……ほう?」

異魚天の笑顔が、わずかに薄れる。

レイスは言葉を続けた。

「お前も知っているだろう? 王城の中で何が起きているか。」

「王国軍の掌握、異端審問官の粛清、新王の即位計画……そして、10月31日にはすべてが終わる。」

異魚天は口笛を吹いた。

「ずいぶんと大掛かりなことをやってるみたいだな。」

「お前はどちらにつく?」

レイスの問いに、異魚天は腕を組んでしばらく考え込んだ。

「アレクシスの計画は悪くねえ……だが、つまんねえな。」

レイスは目を細める。

「つまらない?」

「そうさ。俺はな、権力闘争なんざ興味ねぇ。強ぇ奴と戦って、うまい酒を飲めりゃ、それでいいんだよ。」

レイスは沈黙した後、静かに剣を構えた。

「なら、試させてもらう。」

異魚天は驚いたように目を見開き、すぐに笑う。

「へぇ……やっぱり、そうなるか!」

彼もまた、腰の大太刀をゆっくりと抜く。

「久々にお前とやるのも悪くねえ……!」

そして、次の瞬間。

二人の剣が交差した。

キィン!!

鋼が鋼を弾き、火花が夜の闇を裂く。

レイスは素早い刺突を繰り出し、異魚天は紙一重でそれを回避しながら斬り上げる。

異魚天の剣撃は重く、速く、正確だった。だが、レイスの剣はそれ以上に鋭く、まるで風のようにしなやかだった。

「相変わらずだな、レイス!」

「お前もな、異魚天。」

互いに斬り合いながらも、二人の目には喜びが宿っていた。

だが、異魚天はふと動きを止め、剣を下ろした。

「悪いが、俺はアレクシスの側につくつもりはねえ。」

レイスもまた、剣を収める。

「……そうか。」

「けどな、もしお前が本気で止めるってんなら、その時はお前の敵になってやるよ。」

異魚天はニッと笑い、肩を叩く。

「それまでは、酒でも飲みながら待っててやるさ。」

レイスはその言葉を噛み締めるように聞き、静かに頷いた。

そして、月が高く昇る中、二人は再び別々の道を歩き始めた。

参加型 転生者たちの王国※拡散希望

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