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違和感はあった。
ボロボロの相澤先生、
勝ったはずなのに 悔しそうな13号先生。
そしてどこにもいないデクくん。
どこに行ったの?
大丈夫なの?
そんな不安を必死に隠して、帰りのバスに
乗り込んだ。
「・・・」
「・・・」
誰も何も話さない。
みんなも不安を感じてるんだ。
そんな中、最初に口を開いたのは梅雨ちゃんだった。
「おちゃこちゃん」
すごく不安そうな顔で私を見つめる。
「大丈夫、緑谷ちゃんを信じましょう」
「っ、」
あれ、私泣いてたんだ。
梅雨ちゃんがハンカチで優しく涙を吹いてくれて、本当に温かい気持ちになった。
「うん」
覚悟は決まった。
ごめんね
ごめんね梅雨ちゃん。
きっと私は、これからあなたを悲しませるから。
━━━━━━━━━━━━━━━
あれから、どれほどの時間がたったのだろう。
僕は今、死柄木弔率いる敵連合のアジトにいる。
「・・・」
大丈夫。まだ足は動く
まだ逃げられる。
「ハハッ、お前イカれてんな」
「うグッ」
死柄木が僕のお腹に蹴りを入れた。
口の中が切れたのだろう、鉄の味。
「お兄ちゃん..」
「っ大丈夫、僕は大丈夫だから」
僕がOFAを使えば、この子供が死ぬ。
黒霧は本当に厄介極まりない
僕が個性を使用しようとした時点で
子供の首だけ残して海に飛ばすらしい。
つまりはギロチン。
「ねぇ、仲間になってよ..緑谷出久」
「いやだ」
「なんで?楽しいぜ?敵連合。」
「僕はヒーロー志望だっ!」
「ヒーロー志望..ねぇ?」
死柄木が僕の髪の毛を掴んで、自分の顔の前まで持っていく。
「矯正でもしてもらうか?」
「・・・」
「そう睨むなよ、ちょうどいいのがいる」
一体誰のことだ?
僕の知らない敵か?
いや、この頃から敵連合の起こす事件は
ほとんど僕たち1年A組が関わっているはず。
知らない敵とは考えにくい。
「黒霧、あいつ..鳥のやつ」
「ああ、彼ですか」
「こいつ元無個性出し、実験にでもって言えば乗ってくるだろ」
「いいのですか?お気に入りのオモチャが壊れるかもしれませんが..。」
「壊れたら壊れたでその時考える」
鳥。
ぱっと頭に浮かんだのは常闇くんだけど、まず有り得ない。
あとはホークス・・・
彼なら公安の侵入調査で有り得るかもしれない、けど時期が分からないんだよなぁ。
「まぁせいぜい頑張れよ、緑谷出久。」
僕の意識はそこで途切れた。
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「切島くん」
私が最初に声をかけたのは切島くん。
誰よりも友情に暑い男の子だから、きっと私と同じ気持ちをどこかに抱いてる。
「おっす・・・麗日」
切島くんはどこか上の空で、何も無い場所をじっと見つめてる。
最初に声をかけれて良かった。
「切島くん」
「・・・」
「一緒に来て。デクくんを助けたいの」
真っ直ぐと彼の目を見つめた。
目を逸らしちゃダメだ
切島くんはきっと応えてくれるから。
「緑谷を、助ける・・・」
切島くんは自分の手を広げて、
自身の個性を発動させた。
「俺の、こんな地味な個性をさ
プロにも通用するって..
カッコイイっつったんだよ、アイツ。
だから俺は、アイツを助けたい
俺を連れてけ、麗日!」
「っうん!!」
やっぱり切島くんは切島くんだ。
たった7日しか一緒にいない私と戦ってくれると言った。
たった7日しか一緒にいないクラスメイトのために戦うと誓ってくれた。
「頑張ろう、一緒に。」
𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄
次に誘うことになったのは飯田くん。
私と彼と特に仲の良かった男の子。
ちょっとおかたい所があるから、ちょっと心配だけど、きっと来てくれるはず。
「飯田くん、ちょっといいかな」
「む、麗日くん・・・どうかしたのか?」
「うん、いい?」
「もちろんだとも」
いつものような覇気がない。
ちょっと大人しい..みたいな
「ド直球に言うね、デクくんを助けたいん」
「っ、」
「一緒に来てくれんかな?」
「すまない..麗日くん」
「えっ…」
あまりにも意外な答えに、動揺してしまう。
なんで、どうして?
友達じゃないん..?
そんな疑問が私の頭を飛び交う。
「俺には、力がない
彼の戦いぶりを見て痛感したよ
正直、まるで動きが見えなかった。
俺が行っても足手まといにしかならない。
だから、すまない。
俺は一緒には」
「そんなこと思ってたん?」
「っ大事なことではないか!」
「そなちっちゃいこと、怖がってるん?!」
「ッ君には分からんだろうが」
「分かるんよ!分かっちゃうんよ..っ
けどね、飯田くん
デクくんをそなちっちゃな理由で助けない、なんて白状なこと..私はできん
飯田くんも一緒やと思ってたん
確かにデクくんは強い。
強くてびっくりしたんも、私じゃ邪魔になる思たんも本当。
けどな、本当にそれだけやねん。
強制はしん、できない。
けど、一緒に来て欲しい。
ダメ….かな?」
今の私の正直な気持ちを伝えたつもり。
これで来てくれんのなら、それも飯田くんなりの覚悟。
バカにはしん。
けど、本当に私は..君に来て欲しい。
「…条件、いいかい?」
「条件・・・?」
「もし危険だ、俺たちは邪魔だと判断したら..即帰還する。それでもいいか? 」
「っもちろん!!」
┈┈┈┈┈
「なぁ爆豪」
「・・・」
「爆豪って!」
「んだよ、うるせぇ」
「俺は緑谷助けたい!」
「・・・」
「お前もそう思ってんだろ?!」
「っ誰があんなクソナードをッ」
爆豪はプライドの擬人化みてぇなやつだ。
何をしても1番がいい。
1番しか取りたくない。
つまりは超頑固!!
「男見せろよ爆豪!」
「男男うるせぇんだよクソ髪!!」
「んでだよ、幼馴染なんだろ?!」
分かりやすく爆豪がピタッと止まった。
やっぱり思うところがあるんだろ?
そうだよな、爆豪!!
「・・・うるせぇ、うるせぇんだよ!!」
爆豪が俺の肩を乱暴に掴んで、今にも爆発しそうな引きつった顔で..なんつーか、
すっげぇ苦しそうだった。
「あんなクソのために俺が行動?ねぇわ」
「クソクソって、ひでぇよ爆豪っ」
「なんと言われようと俺は行かねぇ」
「・・・悪ぃが見損なった」
「・・・」
去り際の爆豪の表情はよく見えなかった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「悪ぃ麗日、爆豪無理だった」
「ううん!爆豪くんはしょうがないよ!」
「お、飯田..協力してくれんだな」
「ああ、よろしく頼む」
こうして私達は3人になった。
爆豪くんが来てくれるのを全く期待してなかったと言えば嘘になる。
切島くんが誘ってくれれば・・・
なんて期待してたのは本当。
「よろしくね、2人とも。」
「「あぁ、よろしく頼む!」」
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「お兄さん、大丈夫..?」
「・・・・!」
僕が目を覚ましたら、目の前に誰かがいた。
聞き覚えのある幼い女の子の声。
銀髪のロングヘア。
小さな可愛らしいツノ。
「えり…ちゃん?」
「えっと..なんで私のなまえ?」
そうだ、僕が名前を知っているのはおかしな話だよね。
「ごめんね、昔会ったことのある女の子にそっくりだったから」
「そっか、私もね、エリってなまえなの」
僕の顔色を慎重に伺ってる。
明らかに普通の子供のする行動じゃない。
それだけ周囲の大人が怖いんだ。
「エリちゃん、よろしくね」
「うん、お兄さんは?」
「僕はデク。デクだよ」
僕らは暗い部屋に2人きりだった。
窓はひとつもなく、鉄の扉が1つあるだけ。
「お兄さん、怪我してる..」
エリちゃんが僕の腕をみて、すごい心配そうにしてくれてる。
「もう痛くないよ、大丈夫だよ」
「・・・せ…」
「エリちゃん?」
「私の・・・せいっ」
「!」
「ごめんなさいっごめんなさいっ」
ごめんなさいと繰り返すエリちゃん。
そうだ
この子はそれほどまでに傷ついていた。
笑うことすら許されないほどに。
「・・・大丈夫。」
僕はぎゅっと、自分の手でエリちゃんを包み込んだ。
「心配してくれてありがとうね」
「あり..がとう?」
「エリちゃんのおかげでもう痛くないんだ」
「え?」
「エリちゃんの『大丈夫』が嬉しかった」
「私の、ことばが…?」
「うん」
「私のせいじゃ、ない?」
「うん」
「私、傷つけないの…?」
「そうだよ」
エリちゃんが僕の腕の中で眠ってしまった。
きっと疲れていたのだ。
「・・・今度こそ、守りきる。」
前を知ってる、未来を知ってる僕が…
みんなの未来を守るんだ。